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Dead! Dead!! Dead!!!  作者: quklop
観測者による主観的観測記録
62/98

走ります。

麗華がマツモトミヨシ社の連絡端末に向かって呟く。


「………釜谷恭蔵が消えた」


その報せは、ゾンビ達による小さな戦争が発する騒音の中でも、耳に装着した受信機を通して、全員に伝わった。


「………………………」


楓がジャックの腕の中で、音にならない声を上げる。

それ以外のものは淡々とその結果を受け止めた。


A太が走る。

流れ弾が腕に当たるが、微塵も気にせずに走る。

地面にジャックの肉で出来た足の平が叩きつけられて、僅かに裂傷が生じた。


ほとんど誰にも気に留められずに、A太は研究所の裏口まで辿り着く。


「着いた。

与那城伯英は?」

『………最上階。

それと……』

「なんだい?」

『………荘司郎がいる。

与那城伯英の隣』


頭痛に耐えながら、A太は死後の世界でのアレクサンドリア邸の様子を思い浮かべる。

そこに荘司郎の姿は無かった。


「ねぇ、麗華ちゃん。

君は、死なないよね。

いや、そのうち死ぬんだろうけど」

『………あなたが私に死んで欲しくないと、もし仮にそう思うのなら、私は死なない。

死んでも死なない。

グチャグチャの中身だけになっても、生き延びてみせる。

でも、きっと、今の瑛太は……』

「ごめん、そういう話は今する事じゃ無かったね。

始めよう」


A太はカードキーを扉に取り付けられた装置に突き刺す。

音が鳴ってから引き抜き、ポケットの中へと乱暴に突っ込んだ。


「内部に二人以外の人間は?」

『………いない』

「じゃあ、入り口の方は後どれくらい持ち堪えそう?」

『………もう駄目みたい』


その一言から、A太は敵の戦力が思った通り絶望的に強大である事を知る。


あの集団を壊滅させるということは、その中にいるジャックすら上回る、異常な戦力を持った敵がいるということであり、ジャックに及ばなかった自分が太刀打ちできる相手では無いと、A太は自覚した。


目的を達成して、そのまま逃げ切る。

可能かどうかはわからなかったが、A太はそれを目指すしかなかった。


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