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Dead! Dead!! Dead!!!  作者: quklop
観測者による主観的観測記録
59/98

最終決戦が始まるかもしれなくもないそうです。

作戦は非常に単純なものだった。

まずは松原と松浦が与那城研究所の入り口前に、在庫のゾンビをありったけ投入する。

その際、他のメンバーをゾンビが襲う可能性があるが、恭蔵と楓がゾンビの集団を統率することにより、被害を最小限に抑える。

布陣が整い次第、ジャックが与那城研究所の正面入り口を破壊する。


過去のA太の経験から考えると、このタイミングで世界を管理していると思わしき兵達が現れる。

ジャックを含めたゾンビ達と兵隊が交戦している隙に、研究所の内部構造に詳しいA太が研究所に潜入する。

麗華は作戦中guelnilaを使用し、作戦の目的である与那城伯瑛や成功を妨げる兵の座標などを逐一観察し報告する。


伯瑛を捕らえた後のことは、敢えて誰も口にしなかった。

それを言ってしまうとこの集団は、集団を保てなくなることくらい、誰の目にも明らかだった。


一同は与那城研究所の隣の隣のビルの影に立つ。

松浦が片膝をついて、アタッシュケースの中から装置を取り出した。


「観測開始。

x,3286 y,2362 z,80791 max,214zht min,28zht」

「zが異常値だな。

まあ界域幅が狭いから何とかなるだろ。

干渉、sを240から180へ5秒、そのまま固定。

範囲指定は……まあお前の方が上手いだろ」


ブラウン管式のモニターの下部に取り付けられた、小さなツマミを松浦が回す。


「完了しました。

起動から推定12秒で、約200体が集まります」

「よし……」


恭蔵が、研究所前の植木の傍にしゃがみ込んでいる人影を見つける。


「待て、民間人がいる」

「こんな時間にか?

只の自殺志願者だろ。

続行する」


スイッチを押そうとする松浦の腕を、恭蔵が掴んで止める。


「釜谷氏?」


目を細めてしゃがみこんでいる女性を見る恭蔵。

そのまま女性の方まで駆け出してしまう。


慌てて後を追いかける楓。


「待て、今目立った動きを起こすのはまずい」


松原の制止も聞かずに、恭蔵は女性の顔を覗き込む。


「大家……やはりお前か。

ここは危ない、早く何処か遠いところに逃げてくれ」


恭蔵の声を聴いた途端、志倉は小刻みに震えだす。


「化け物」


志倉の呟きがしっかりと恭蔵の耳に入る。

しかし、その言葉の対照が自分だとは微塵も考えない恭蔵。


「そうだ、化け物だ。

じき、この場所に我が魔王軍が押し寄せる。

だから早く……なんだそれは?」


志倉は背中の方から、一般に市販されている赤いポリタンクを引きずり出す。

ポリタンクの蓋は外されていた。


「怖い」


尋常では無い勢いで、志倉はポリタンクを投げ飛ばす。

恭蔵の鳩尾に、タンクのノズルがめり込んだ。


「うぐッ!?」

「魔王様!

こ、この女……」


タンクの中身がそこら中に散らばる。

透明な液体が恭蔵の服に染みこみ、そこから伝染するかのように、地面にも広く広がっていった。


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