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Dead! Dead!! Dead!!!  作者: quklop
観測者による主観的観測記録
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逃げました。

「いや、いいんだ。

君が気に病むことでは無いぞ。

それだけはわかる。

それにここも悪くはないぞ!

こんなに可愛いらしいメイドさんに囲まれて生きられるなんて、男冥利に尽きるじゃないか。

ハハハ!」

「え、でも……おかしいだろ」

「なにがおかしいんだ?

おいおい、木葉。

クッキーが床にこぼれてるぞ。

ちゃんと皿の上で食べるんだ」


木葉はずっと、手も口も動かしておらず、ただまばたきと呼吸を繰り返しているだけだった。


頭を抱え込むA太。


「やっぱり僕だ。

僕のせいだ。

僕のせいでバースさんがおかしく……」


突然A太は、後ろから小さな腕で抱きしめられる。


「ちがう」


鈴がチリンと鳴るような、そんな小さく透き通った声だった。


「鈴音ちゃん……。

君はまだ正気を保っているのか」


鈴音はA太に見えないように首を横に振る。


「だれもくるってないよ。

みんなそれぞれ、ちがうものみえてるだけ」

「え?」

「にんげんってかってなの。

じぶんのつごうがいいように、せかいをまんげきょうでみて、それがせかいのすべてになるの。

いまのみんなは、それがちょっとほかとはちがういろをうつしてるだけ。

わたしもそうだった。

でもそれでいいとおもう。

だってそれこそがにんげんらしさだから」


今の鈴音がどんな顔をしているのか気になって、いや、恐怖を覚えてA太は鈴音の腕を振りほどく。

振り向くと、今までと何ら変わった様子の無い鈴音の顔が、A太の眼球に映った。


「いまはすこし、あなたのいろにちかづいた、かな?」


A太は後ろを向いて、リビングから廊下に繋がる扉を潜った。

なるべく誰にも目を合わせないように、慎重に。


長い長い廊下の途中で、床が不自然に黒ずんでいる部分をA太は見つけた。

A太が目を凝らすと、それは人間の形をしているように見えた。


そのままひたすら走り続けて、A太はマツモトミヨシのトイレで生還するが、結局最後まで瑞希に会うことは無かった。


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