見られそうです。
「………退屈ね」
アレクサンドリア麗華は退屈していた。
「………あいつでも呼ぼうかしら。
kalrm…ngquis……スタック…khajatlugha」
突然麗華は奇妙な一人芝居を始める。
「はぁいはいはい。
お呼びで? ご主人。
………確かに呼んだわ。
いやいや、それはわかってますって。
枕詞みたいなもんですよ。
言うなればおしゃれっす。
おしゃれといえば、彼が来てからご主人のお召し物のバリエーションがふえましたなぁ。
ふふーん? あーやしーい!
………カジャ、うるさい。
はいはい。
んで、本日の御用は?
………取り敢えず、彼が今何しているのか見て来て。
いやいやご主人、ストーカーは犯罪ですって。
………カジャ、これはストーカーじゃないわ。
彼に性的な好意は…無いもの。
………そう、これは勉強よ。
人間の勉強。
はいはい、そういうことにしときましょう。
どうせカジャはご主人の言うことには逆らえません。
逆らったら消されちゃいますからね。
ピチューン!
…とんでもないブラック企業に就職してしまったものです。
………いいから早く!
はいはい、んじゃいってきマース」
電源が切れたかのように、がっくりと項垂れる麗華。
かと思えば、腰掛けていたベッドから立ち上がり突然そわそわし始める。
「………どうしよう」
どうしたものか。
「………トイレ中とかだったらどうしよう。
ダイレクトで見えちゃう…」
恐ろしいシステムである!
「………瑛太」
突然鼻歌を歌いだしたり頭を抱え込んでみたり、枕を抱きかかえて足をバタバタしてみたりする麗華。
忙しいのである!
「………どうしよ、どうしよ、どうしよ」
枕に顔を埋めて、バタバタの速度を速める麗華。
「えっと、ご主人?」
ピタッと、片足が空中に浮いたまま動作を停止する麗華。
「………な…な…な…な!
………何よ。
いやいやいいんですよ、引き続きお楽しみいただいても。
あっしの目は節穴でござんすから。
………楽しんで、ないから。
何もしてないから。
わかった、カジャ?
おお、怖い怖い。
あ、そうそう、瑛太君に今すぐにでもお繋ぎ出来ますけど、どうします?
………お願い。
かしこまり。
あ、ただ…」
麗華の視界に映るものが、今瑛太が見ているそれに置き換えられて行く。
「なんか彼、今死んじゃってるみたいで、ちょっとあの世的なものの様子が見えちゃうかも知れません」




