齧りました。
部屋の中を探し回る二人。
「お、おい瑛太。
これは、もしかして」
「ああ、もしかしなくてもそれは誘拐された二人が残した暗号だよ」
黒い下着を広げて見せる躯呑。
それを凝視してううんと唸るA太。
「あの糞婆と同じくらい………って事はDだね」
「ごくり…。
結構あるんだな、芽衣ちゃん」
「もう少し捜索を続けよう。
もっと決定的な証拠を探さなければ!」
「与那城探偵!」
「なんだね躯呑ちゃん」
「つ、ついに見つけてしまいました。
決定的な証拠です!
…ってかちゃんはやめろ」
「おおお!
…して、なんだねそれは?」
「あたし達が見てもよく分からないって事は、あ、アレだろ。
すっごいやつ…なんだろ?」
「すっごい、やつ。
ごくり」
「お、なんかスイッチついてる。
押しちまえ!」
「ま、待て、待つのだ躯呑ちゃん!
爆弾が仕掛けられている可能性がある!」
「お、お、お、お、おう。
なんか震えだしたぞ?」
「………」
「………」
有る意味爆弾である!
作者にとっては!
「…ほんと何なんだろうねそれ?」
「さあ………うきゅう!?」
パシリという小気味良い音を出して、芽衣が躯呑の頭を軽く叩く。
「一体ここで何をしているんだい?」
「あ、えっと、これはだな、芽衣ちゃん。
その、芽衣ちゃん達が誘拐されたんじゃないかと、思って、え、瑛太と、その……お、おい、あんたも何か言ってくれよう!!」
しかしA太は芽衣がやって来る気配を察して、早々に窓から外へと緊急脱出していたのだった!
「どうして瑛坊がそこで出てくるんだい?
まあ、いいけど」
「へ?」
「今日は許してやる」
「え?」
鼻歌を歌いながらリビングへと向かう芽衣に、躯呑は何かおぞましい物を感じとってその場にへたりこんだ。
「ああなんだ、それかい。
芽衣と二人で、瑛太君のハンター登録をしていたんだ」
食事の席で何故寝室にいなかったのかを話すバース。
「へーへー、びゃーみゃんべせーせーあけありゃふてめーひゃんもいっひょらっあん?」
「こら、木葉!
喋る時は口の中の物を無くしてから喋りなさい。
淑女としての最低限のマナーですわ!
というか、それでは何を言っているのかわかり…」
「あれ、木葉ちゃんには言っていなかったかな?
芽衣はこの街のハンター協会のボスなのさ」
「わかられてた!?」
「だから芽衣の承認があって始めて登録が完了するんだ」
躯呑は一人合点がいく。
「ああそっか、なんか今日の芽衣ちゃんやったら機嫌良いなぁと思ったら」
「ああ、間違いなく瑛太君効果だ」
当の本人は聞く耳も持たず、ただのトーストをただ我武者羅に齧りまくっていた。




