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生物エネルギー

作者: TOMMY

最近僕の街にある噂が広まっている。


その噂は森や山に住む動物が次第に減ってきているというものなんだ。


住宅地拡大による動物の住みかの減少とか地球温暖化の影響とか、密猟者による動物狩りなのかUFOに連れ去られたのかは分からないけど最近動物が急激に減っているんだって。


僕は小さいころから山が好きでよく学校の裏山に遊びに行っていた。


だから僕は噂が本当か確かめるため探索に出掛けることにした。


早速学校の裏山に入るとそこはシーンとしていて、どこか静かで落ち着かない。


今は夏だから普通だったら蝉の鳴き声とか蝶々とかを見かけて何か生物がいることがすぐに分かると思うんだけど、今は何の音も聞こえなければ何も見つからない。


まぁそんなすぐに動物に出会えるはずもないか。

っと自分を励まして山の奥へと足を踏み入れた。


しばらく歩いたけれど一向に動物の気配がしてこない。

僕は心なしか焦りを覚えた。


僕は悔しくてどんどんと山の奥へと進んだ。


とうとう山の頂上まで到達したけれど鳥の1匹ならまだしも昆虫の1匹すら出会えなかった。


次第に空は赤みを帯び、キラキラと星が顔を出しはじめる。


今日の空は雲1つない晴天だ。

星がいつもより輝いて大きく見える気がする。


僕は星が大きく見えて嬉しかった。


僕は空の星々に見とれて時間がたっていることをすっかり忘れていた。


慌てて山を降りようとしたら背後から焼かれるような強い光りを感じる。


その光を浴びた時だと思う僕は意識を一瞬失って、気が付くと何もなく平らで真っ白な世界の中にいた。


辺りを見渡してみると、どの方向も果てなく広がっていて真っ白なだけで気が遠くなるくらい広い。


僕は取り敢えず探索するため足を前に踏み出した。


すると足を降ろした場所が一瞬光った。


ビックリして後ろに退くとその床はさっきより大きな光りを放ちまた光った。


その光はまるで夕焼けの太陽のようなオレンジ色をしていて僕の足元を円を描くように輝いている。


僕はその色を見ていると心が落ち着いた。


しばらくすると足元の光は静かに消えていった。

だけどまた足を踏み出せば同じように足元は光りだす。


僕は歩きだした。

ここの地面は柔らかくて歩いても疲れない。


少しでもこの真っ白な世界で安心したかったから、歩き出さずにはいられなかった。



だけどここはどこで何なのかな?


「誰か〜いませんか〜?」


すると今度は僕の口の正面の空間が光った。


その色は快晴の空のようで透き通った海のような青色だ。


僕はビックリして、

「うわっ」っと声を上げるとまた正面の空間は青く光りだした。


「今度は青か。」

と正面を青く光らせながらつぶやいた。


この世界は一体どうなっているのだろう。

僕は試しに拳を前に突きだしてみる。


すると突きだした拳の軌道が光りのラインとなった。


それは闘牛士のもつマントのような濃い赤色だった。


何となくこの世界の仕組みが分かってきた。

この真っ白な世界は僕の動きや音に反応して光を発する仕組みみたいだ。


逆に何もしていないと真っ白なままで落ち着かない。


そこで僕は何もないこの空間を歌を歌いながら歩きだした。


すると真っ白な世界はいろんな色に輝やき色鮮やかな世界になった。


僕は楽しくてしかたがない。


さらに歌の曲調に乗せて色は変化しいった。

明るい歌を歌えば黄色に。落ち着いた歌を歌えば緑に。

体を動かせば様々な色が辺りを彩った。


僕は時間を忘れ楽しみ、いつの間にか寝てしまっていた。



何時間寝ていたんだろう。

目が覚めると僕は自宅のベッドの中にいた…


昨日の出来事は夢だったのかな?


それにしてはよく覚えているし、リアルな体験だったなぁ。


でもよく考えればあんな世界なんてあるわけがない。

っと僕はいつも通り学校に向かった。


学校に着くと何だかみんなが騒いでいる。


急いで駆け寄ってみると学校で飼っているニワトリとウサギがいなくなっている。


みんな動物が減っているという噂がここまで来たと大騒ぎだ。


すぐに全校集会が開かれ、今日は大事をとって休校になった。


次の日の朝今度は街中が騒がしい。


話を聴いてみると、

『愛犬のポチがいない。』とか

『おとなしい猫のタマがいなくなった。』とか

しまいにはハムスターやカブトムシなどペットにしていた動物から昆虫まで一匹残らずいなくなっているらしい。


街中を警察や警備員さらには消防士が懸命にペットを探した。


僕はペットを飼っていなかったから慌てなかったけど取り敢えず外を見て回った。


僕の今の気分は探偵だ。

何かこの事件の手掛かりはないかな。


そんなことを考えているとすごく楽しい。


街を歩いてると何だかいつもより地面が柔らかい気がした。

一昨日見た奇妙な夢の中の地面のようだ。


これは大きな手掛かりだぞ。


僕はさっそうと学校の裏山へと向かった。


ひとっこひとりいない山の中を駆け回って気がつくとここがどこなのか分からなくなっていた。


いまだに山の静けさは続いていて、虚しさを感じた。


夢の中の世界だったら色とりどりで美しく、虚しさなんかないのにと思った途端、また背中に熱い光りを感じた。


そして僕は気付くとまた真っ白な世界の中に移動していた。


しかし今度は一人ぼっちじゃなかった。


学校で飼っていたニワトリとウサギがいる…


さらには隣の家の愛犬ポチや友達の家のおとなしい猫のタマまでいる。

さらには山にいたであろう動物から昆虫がたくさんいた。


その一匹一匹が僕と同じように色とりどりに光りを発していてとても綺麗だ。


アリの行列は天の川のように流れ、鳥たちの羽ばたきは上空を色とりどりな雲のように漂い、鹿や狸の走る姿はまるで色鮮やかな竜がそこにいるかのようだった。


生命の一つ一つが物凄く大きく感じられて、アリ一匹さえ踏み潰すわけにはいかないと思った。


人間はペットにした動物以外はどうでもいいような行動をとるけど、ここではすべての動物が同様にいとおしかった。


僕は少しの間、動物たちと遊んだ。

しかし動物たちの様子は少しおかしかった。


何かに追われているかのように走り回り、何かから逃げているように必至だった。


僕は動物たちをなだめようとしたが一向に止まる気配はなかった。


このおかしな世界で僕は何をしたらいいのだろう?


次第に疲れ果て座り込もうとした時、僕は山の中に一人ポツンといた。


外は真っ暗だ。

星々は瞬き昨日より一層光りを増していた。


期待は膨らむばかりだ。


僕は街に戻り今の話をみんなに話した。


だけど誰も取り合ってくれない。

くだらない話をするなと怒られもした。


しかたなく僕は家に戻って寝ることにした。



…zzz…zzz



「まだ足りないか?」


「まだまだ足りないぞ!」


「ならもっと増員するしかないな。何せ時間がないからな。もうすぐそこまで来ている。」


「そうだな。しかたない街の人類も使うか。」


「それしかないようだ。しかし人類は多量に使うと怠ける者が出てくるぞ。」


「なら今日動物にやったように少しの苦痛を与えてやる。走ればなくなる苦痛をな。」


「そうだな。よし、そうしよう。」



… …



朝の日差しに体が暖められ僕は目を覚ました。


なんだか変な夢をみたな…


僕は朝食を取り、外に出掛けた。


外は異様に静かだった。

お隣さんも留守。友達の家を回ったが誰もいない。


誰かいないかと街を歩いていると長身で真っ白な服を着た紳士的な二人組の男性が姿を表した。


僕はとっさに話しかけた。

「街の人を見かけませんでしたか?」


すると男性二人は顔を見合せ小声でなにか話している。


「あれ。この少年はなぜワープしなかったんだ?」


「まぁいい。飛ばせ。

時間がないのだ。」


男性二人は両手を前にかざすと手から焼けるように熱い光りを受け、僕は気を失った。


目を覚ますと、そこはまたしても真っ白な世界だった。

辺りを見渡すと、その中では街のみんなが忙しく走り回っている。


やっぱりあの二人組の男性がこの騒動の犯人なんだろう。


だけどいったい何のために動物を走らせているのか理解できない。


僕も止まっていると体中が痛いから走り続けながら考えた。


彼らは何のために動物にこんな拷問を強いるんだろう?

何故僕だけ今朝この世界に来なかったのだろう。


やっぱり何度もこの世界を訪れているせいなのかな。

それならこの世界からでる方法も分かるかもしれない。


そうだ。

僕がこの世界から出る時はいつも疲れて静かになる時だ。


僕は体の痛みに耐えゆっくりと座り込みじっと待った。

するとこの世界から解放され、もとの世界に戻った。


もとの世界では、さっきの2人組が何かを作っている。

僕はすぐに電信柱に隠れ二人の話に耳を傾けた。


「もう少しだな。これがあれば星を壊すことができるかもしれない。」


「中の生物はどうだ?

よく動きこの装置のエネルギーを溜めているか?」


「大丈夫だ。

これならなんとか間に合いそうだ。」


この二人は地球を破壊する装置を作っているみたいだ。


さっきまでの奇妙な世界はその装置にエネルギーを送る発電器なのかな。


確かに地球上の生物をすべて使い、運動エネルギーを電気に変換出来れば凄まじいエネルギーを生成できる。


それなら奴等は地球を破壊しにきた宇宙人なのかもしれない。


僕はお前らみたいな種族に地球を破壊させないぞ。

っと勇気を振り絞り鉄パイプを手に二人に飛びかかった。


「僕らの地球を返せ!!」


一人を殴り飛ばした僕はもう一人を鉄パイプを突き付けながら脅した。


「何をするのだ!!

君はこの計画を分かっていないようだね。


人類の力を使ってしまって悪かったが仕方ないことなのだ。


今は太陽の光で見えていないが人類が星と呼んでいる光源は地球を滅ぼす侵略者の破壊光線なのだ。


今は我々の力で何億光年も先の宇宙で食い止めているが、我々のバリアはもう限界なのだ。


地球には生物が動くことでこのバリアを充電させるシステムが備わっていたが人類が運動せずに生きる技術を作り過ぎたせいでバリアはあと10年もたたずに消滅してしまうところまできている。


何故ここまで知能が発達したのかは定かではないが・・・」


僕はニヤニヤしながらそいつを脅し続けた。


「そんな話信じられない!

早くみんなを返せ。」


お前らがすべての元凶だったんだな。

僕は今までにない殺気をそいつに放った。


その結果、奴等は何かを感じ取ったのか観念したようだ。


「仕方ない。

私がやられてはもともこもない。


すべてを君に返そう。

君は世界のヒーローだ。

ヒーローはヒーローでも地球を破滅に追い込んだヒーローだがな。」


その言葉を残しスッと男が消えたかと思うと、何事もなかったかのように人が街にあふれいつもの日常に戻った。


しかし真っ白な世界に行っていたことを覚えている人は一人もいなかった・・・


夜になり光輝く星々を見ながら僕はあいつが言っていたことを思い出した。







「ふっふっふ。

僕はヒーローでもましては人間ではないのさ。

どちらかと言えば、悪の親玉的感じかな。


てかあぶなかったー。

あと少しあのエイリアンを脅すのが遅かったら僕らの計画がすべて水の泡になるところだったよ。


僕らは地球を侵略するため地球が持つバリアシステムの存在を知ってから人間に知恵を付けさせ運動や会話をしないでも生きられるようにさせてきた。

地球を侵略するのは僕らだ。


あの星が地球に降り注ぐところを早く見たいな。

だけど地球の生物は美しかったなぁ。


侵略したらあの真っ白な世界にあった動くだけで光輝く美しい惑星にしよっと。


生物が動くことで生まれるエネルギーを使えばもっと発展した惑星になるよね。」


ーおわりー


展開がいきなりすぎてすいません。

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