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序 変わり果てた日本で

カンカンカン……。

金網の上を猛スピードで走る人影。

〈あっちじゃ!あっちじゃ!〉

薄暗い通路の中で、エコーの効いた声が響く。

「わかってるよ!……っちょ、前をちょこちょこ走んな!」

人影が足元を同じように走る不思議な生き物を怒鳴りつける。が、その生物は、プギャー!と鳴きながら飛び跳ね、彼の肩に飛び乗った。

「……追い詰めた……」

狭い通路をひたすら走り、角を曲がった行き止まりのところで“何か”を追い詰めたのか、背負っていた長い鉄箒の先をそれに向けた。グッと柄に力を入れて、先で小さく弧を描き、

「箒!」

と、大きな声で短く唱えた。すると、先端から白くて眩しい光が出、カッと薄暗い空間を一気に明るく照らした。けれどそれはほんの一瞬で、視界が目を開けられるほどの明るさに戻った時には彼らが追いかけていたものはそこから消えていた。

〈やったの!遼太郎やったの!〉

肩の上で喜ぶ何本もの尾が生えた生き物は言うが、話しかけている相手の表情は、とても浮かないものだった。

「でも、また蓮の手がかりは掴めなかった……」

彼は呟き、目を伏せる。手に持つ箒を握り締め、悔しそうな顔をした彼、瀬崎遼太郎はその場から背を向けた。



日本は、変わった。

以前のような平和な国家ではなくなり、“あるもの”の侵略を受けていた。

それは常人の目には決して触れることのないもの。

常人の目には、決して触れてはいけないもの……。


“惡霊”に犯されたこの国で、遼太郎は今を生きている。


この過酷な現実を、色の違う右目と共にーー。

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