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第76話 地を知りて地を蹴るべし

「そうだなぁ……普通にやりゃあ勝てるんじゃねえの?」


 かくもあっけらかんと言われたなら、もう張り詰めて顔色を悪くすることなどできやしない。ヨウシア・ペテリウスは溜めこんだ息を吐いて己が緩むことを覚えた。先刻までは意識的に深呼吸するなどして緊張を解きほぐしていたものだが、こうなると逆に理性でもって引き締めないとならない。


 それを察したか、古参の騎士がずいと出て厳めしく話しだした。咳払いする様子はどこか家庭教師をしてもらっていた頃を思い出させて、それが既にヨウシアを和ませているのだが。


「お言葉ですが、オタラ殿、それでは身も蓋もありませんぞ。もそっとこう、閣下の戦意を鋭くするような発言を心掛けていただきたい」

「そんなこと言われてもなぁ……忌憚なき意見って、要はぶっちゃけた話をしろってことだろ?」


 困ったように頬を掻く大男オイヴァを、ヨウシアは遂に微笑みすらして見やった。贈呈した黒白斑毛の大馬も彼の股の下にあっては並みの大きさに映る。さりとて近づけば人馬揃って大きいわけで、ヨウシアは自分が子供に立ち戻ったかのようにも感じられた。


「まあ、なんだ。何かあっても俺が盾になるから、伯爵様には擦り傷一つつけさせやしねぇさ」

「その発言のどこに人を発奮させるところがあるのか理解しかねますし、そもそもからして、そんなことはオタラ殿がおられんでも当然のことですぞ。我らがおりますれば」

「いや、そらそうなんだけどさ……ううむ?」


 何かしら見栄をきろうとしたのだろう。胸を張るも叱られ、振り上げた手のやりどころを失ったものか、オイヴァは情けない表情で腹を撫でるのだった。彼の着こむ甲冑には飾り気がないからどこか鉄色の樽のようにも見えてしまう。そういえば喉が渇いていたと気付き、ヨウシアは水筒を取って少し飲んだ。


 そしてヨウシアは改めて思うのだ。かかる決戦の時にあって歴戦のオイヴァが側にいてくれることの何と心強いことかと。第三王女親衛団において歩兵部隊の指揮を執るこの男は、その個人としての武勇もさることながら、どんな状況にあっても揺らぐことのない大柱のような存在感がある。それは今のヨウシアに最も必要なものだ。


 龍将軍マルコによる手配だった。この戦いにおいてはペテリウス領軍の堪え方が戦局を左右すると聞かされているが、ここに集いし一万の内の実に半数が実戦経験に乏しい。ヨウシア自身も未熟を自覚していた。そこを補うべくの人材がオイヴァである。紹介の言葉として、今年十八歳となった英雄は言ったものである。


「僕は彼ほど逞しい武人を他に知りません。往々にして死地とは人の本質を露わにするものですが、彼こそは死地の雄と言えるでしょう。追い込まれるほどに、危険であるほどに、耐え難きを耐えて決して惰弱に陥らない闘魂を秘めています。普段はそれをおくびにも出さないところが彼らしさですね。その昼灯明ぶりも含めて、きっと伯の援けとなるでしょう」

 

 その言葉のままに、ヨウシアはオイヴァを頼りにしていた。お仕着せの信頼ではない。今日に至るまでの三年余りで培った信頼だ。オイヴァと彼の歩兵隊はペテリウス領復興において大なる功績があった。


 帝国軍十万余の侵攻に晒されたペテリウス領は、主要な町こそ比較的穏便な扱いを受けたものの、農村においては壊滅的な被害を受けた。掠奪と狼藉によって一夜で廃村と化した村も多く、避難していた民が戻ったところでそこには家も畑も残っていなかった。戦争とはいつも弱者に対して酷薄で容赦がない。


 伯爵位を継いだヨウシアが重要視したのは農村の復興であった。財を奪われ、領都を完膚なきまでに破壊されたペテリウス領である。国庫からの支援なしには何も回らず、戦後の冬は生存することに必死であったが、次の冬を迎える前に民の生活を回復しなければならなかった。それはもはや新たに領政を興すに近いものがあったが、そこへ思わぬ援軍がやってきた。オイヴァ率いる親衛団歩兵隊である。


 彼らはまるで絵物語に登場する山鬼のようだった。牛馬をそのままにほじって食べそうな鉄匙を握り締め、瓦礫を撤去することも水路を新たにすることも驚くべき速度でやってのける。しかも彼らは農業技術者を引き連れていて、メコン麦やシエラ麦の作付けのみならずクワンプの種とその活用法を広めていく。矮馬の牧畜も併せたなら、それは冷害に強い村作りが為されていったのだとヨウシアは理解している。


 一連のことは全て誰に費用を求めることもなく実施されたが、無償の行為というわけでもない。対価としてはペテリウス領内に広く細かく形成された販路とその支配権があった。ヨウシアは笑ってそれを認めたものである。不備や無理があったならば話は別だが、余りにも合理的に過ぎて感心してしまったのだ。聞けばヘルレヴィ領で採用されている方式のようで、ヨウシアとしては言われてなるほど、これならば自立して戦ができると感じたものだ。前線領ということに胡坐をかき、疎かにしていたものがあると教えられた思いだった。


 その思いを更に進めたならば、ヨウシアはそこに龍将軍の望むものが見えるような気もするのだ。


 王国内乱の今、北部の盟主がユリハルシラ侯であることは誰の疑問も何の異論もあろうはずがない。しかしそのユリハルシラ侯が恃む者こそが龍将軍マルコ・ハハトであり、両者の結びつきがあって初めて表彰式典に教会批判の熱弁が振るわれたのだということもまた、ヨウシアら北部重鎮の了解するところのものだった。


 いつから両者がこの事態を想定していたかはわからない。しかし軍事行動をここまで遅らせたのは龍将軍の意思である。表彰式典を終えた後、密議をもった北部一侯三伯を前にして彼は言った。


「王権への礼を失した陣営が戴く王は、その即位前から権威を綻ばせることになります。向こうがそれをするならばよし、そうでないのならこちらが軍を動かすことはあってはならないでしょう。準備はすべきです。しかし攻めてはいけません」


 国王病臥の際は自粛し、崩御よりの三年は喪に服して慎む。それは非の打ち所のない道理だ。しかしヨウシアは思うのだ。彼ほどの軍事の天才と北の精兵がいたならば、南部を制圧することは実に容易いことだったのではないかと。それこそ、ペテリウス領の復興を待たずして決着を見られたほどに。


 しかし軍は動かず、内政に明け暮れる三年間があった。それはペテリウス領のみならず南北各領どこであれ逃れられない改革の日々だったのではないだろうか……ヨウシアはそこに龍将軍の意思を感じる。


 一つの論拠がある。東龍河の封鎖だ。それは龍将軍が主導して中立の二侯に約束させたものだが、大河を戦場にしないことで王都を戦火から遠ざけるという理由は建前に過ぎないとヨウシアは考える。何故ならこの内乱はあくまでも王権の下に争われているものである。そういった暴挙はどちらにとっても望ましくないものだし、仮に船団を組んで南へ侵攻したとしても戦場は南方支流近くになるだろう。南の水利はそこに集中している。


 実際、軍事面で考えれば大河の封鎖は北部にとっての不利益でしかない。今も兵站を担うヘルレヴィ領からユリハルシラ領南部への最短経路が使えないからだ。しかもそれは物資の大量輸送が可能な水運なのだから影響が大きい。一方で南部勢力にはそもそも大河を遡行する意味がないのだ。攻めるべきユリハルシラ領は地続きで隣接しているか対岸でしかない。


 しかし、王国の物流を広く俯瞰したならば、大河の封鎖は違った意味をもってくる。水運の封鎖は即ち南北の分業を徹底的に破壊するものだ。


 王国においても帝国においても、北方とは瘴気を伴う寒風に晒されるという点で変わることがない。次第に酷さを増しながら続いた冷害は忘れ難いところだ。農耕に向かないのである。その一方で行禍原で敵国と接続しているから、自然、北方とは生産よりも消費の優る軍事的な経済体となる。南方はその真逆だ。前線から遠く瘴気被害も少ないため、消費よりも生産の優る非軍事的なそれとなる。中央は両者の中間にあって物流を司り、商業的に発展する。


 全ては東龍河を用いる膨大な規模の物流があってこそのものだ。水運のそれに比べれば陸運の影響力は小さい。内乱状態になろうとも行禍原に臨む前線砦には国軍が駐屯するというのに、この三年間というもの、それを支える物資も蓄える物資も南方からは届かなかった。いや、届けさせなかったのだ。国家の大事たる前線軍備でそれである。民間においては幾つの商家が潰れたとも知れない。水運の既得権益は崩壊したのだ。


 北部においては物資の枯渇は二つの方法によって回避された。一つは当座のものとしての鹵獲品である。王国軍十二万を支えるために用意され、帝国軍十万が活用していた物資だ。その他にも出所の定かでない物資が多くあり、また、北方支流の水運についてもこれまでにない機動性でもって物資を損耗なく円滑に行き渡らせたものだ。あれほど国軍を悩ませた川賊の襲撃もない。龍将軍の威光によるものか。


 もう一つの方法は各領の領政改革である。これについてはヨウシアが復興事業の中で実践していったことがそのままに当てはまる。南部に依存することのない自立した経済体制を構築せんとすれば、それはつまるところ農政改革に行き着くからだ。荒地を開拓し、水利を突き詰め、冷害に強い生産体制を普及させなければならなかった。ヘルレヴィ領が既に実施していたところのものが大いに参考とされた。


 南部においてはどうか。何事もなく平穏というわけにはいかなかったろうとヨウシアは見る。物資というものは足りなければ困るが余ればいいというものでもない。需要と供給の均衡が長く固定的であったがゆえの弊害はむしろ南部経済体において大きかったのではないだろうか。


 この会戦にも一つの証左を見ることができる。北部が用意した兵力は四万一千であり、これは現状の生産力で運用できる数字としては最大数に近い。ヘルレヴィ領からの細やかな輸送計画と水運の活用、そしてユリハルシラ領の整備された陸運と訓練された後方要員が揃ってようやくの今日である。秋の収穫を待っての日取りでなければ長く維持できるものではなかった。しかし、この日取りを指定してきたのは南部側なのだ。潤沢な物資を持つ側が見せた余裕だろうか。ヨウシアはそう思わない。


 幾つもの農村を周り、大地に寄り添う民に接したことで見えたものがあった。彼らは貴族に仕える騎士のようにではなく、王に仕える貴族のようにでもなく、いかなる主義主張や思想も必要としないままに大自然へと頭を垂れていて……本質としては権力にまつろわぬ民であると感じられた。権威に従わされているだけで、自らそれを作ることはしない。成さんとするのではなく、成るがままに生きているのだ。


 ところで戦争とはそこに大義名分や主義主張のないわけがなく、ましてや此度の王国内乱などはそれが全てと言っていい。領土争いでもなければ、対立こそあれ憎悪からの殺し合いとまでもいかない。例えば事前協定における一項目がそれを物語っている。敗走した相手への追撃の禁止だ。この会戦は互いの正当性を戦の形でもってぶつけ合い、占うものなのだ。勝敗をもって再び団結することを予定されている。


 納得できるものだろうか。軍人や貴族はむしろ己の旗幟を鮮明にするところだが、大地の民たる者たちにとっては命を懸けるに値するだろうか。納得し、命を懸けた者たちを結集することで五万の大軍となるだろうか。戦争を遠いものとしてしか感じていなかった土地で、そんなことが叶うだろうか。


 ヨウシアは五万の意味を思う。戦争を我が事とする北部であっても四万一千を精鋭で揃えられたわけではない。南部が事前協定における上限の数をもって布陣した意味とは何か。そして秋の収穫を待った意味とは何か。


 わからない。まだ届かない。しかし未だ至らざる己であるから、全てをわからないことは当然であるとヨウシアは考えている。多くを見聞きしよう。多くに思いを巡らせよう。そして尋ねるべきは尋ねるのだ。


 様子を伺ったなら、オイヴァは「勝てると思うけどなぁ」などと呟いている。

  

「普通に戦えば勝つ……戦は数ではない、ということでしょうか」

「え? いや、数だけど」


 潤った舌口で問うてみたならば、返事は気持ちのいいほどの即答だ。ヨウシアの口調といいオイヴァの答え方といい、そこには身分とは別のところの人間関係があった。ヨウシアにとって信を置いた人物とは全てが師であり教えを乞うべき存在である。礼は自ずと湧くものだった。そして教わり方を指定するの愚を犯すつもりはない。


「ならば何故でしょうか。我らの前方にはアハマニエミ領軍が九千の兵で幾重もの横陣を敷いています。全体としても同様の不動の構えと見受けられます。総兵力も敵方が優っていますが」


 重ねて問えば、ヨウシアの信頼するところの大男はちらと騎士の方に視線を投げ、その黙認する様子を確認してから安堵の顔になった。図体の割に、という思いを抱いては失礼だろうかとヨウシアは密かに笑む。彼は口調こそ砕けているものの随分と気を使う。


「ああ、ちょっと訂正だ。戦士の数って意味だ。何かいじけてるんだよなぁ……敵さんのあれ、きっと味方が余計なことをしないようにって縛り付けてるんだよ。それが証拠に、こっちの動きにまるで反応しないだろ? 後ろの騎兵だって予備にしても位置がおかしいぜ。味方を見張ってるんじゃねえか?」


 その見解は鋭くヨウシアに響くものだった。


「大軍は飾りであると?」

「無理に揃えた風ではあるよな」


 ヨウシアの知る限り、南部の各領は通常五千ほどの兵しか備えていない。それがこの三年間で三倍の一万五千を数えるに至った。そこに無理があったことは想像に難くない。そしてその兵が決戦の地にあって柔軟性を欠いてでも押さえつけなくてはならないほどの脆さを抱えているのならば……見えてくるものがあった。


「まさか……常備兵ではない、ということでしょうか」

「かもな。この時期を指定してきたってのは、つまり、そういうことなんだろ」


 導き出された答えはヨウシアにとって些か不可解なものだった。これが南北の常識の違いというものだろうかと思う。行禍原に隣接して生きる者としては、軍とは専属の兵によって形を成し、日々の調練に磨かれて初めて剣にも鎧にもなるものだ。それは前提条件でしかない。弱卒の上に軍略は乗らないし、敵とはいつ如何なる時に攻め寄せて来るとも知れない。


「まあ、数を揃えること自体は間違っちゃいねえし、無理にもそうしたかった理由も何となくわかるけどなぁ」

「……恐れ、ですか」


 確認したなら、どこか憂いの表情を帯びてオイヴァは敵方を見やった。


「南部って騎士団以外は前線知らずだろ? その騎士団にしたところで帝国にやられちまってるし……圭丸騎士団もかなりの損害だったみたいだしよ」


 つられて見た敵陣は先刻までと違って窮屈な在り様に映ったから、ヨウシアは己が敵の数に呑まれかかっていたことを悟った。横陣においては最前列と最後列を熟練兵で固めて中ほどに新兵を挟むことが常道であるが、遠目に見ても槍の林の揺れ動き方は奥に行くほど大きくなるきりだ。それは厚みの内実が空疎であることを示している。


 その傾向は概ね南軍全てに見られるようだ。時限的な徴兵動員でしかないのだとすれば、それでもよく訓練されていると見るべきか。しかし目的意識の共有などは無理な話であろう。踏み止まれない軍ということだ。なるほど、劣勢になれば一気に崩れるかもしれない……ヨウシアはオイヴァの発言を改めて口中で舌に乗せた。普通にやれば勝てる、と。


「まあ、油断は禁物だけどな。敵の右翼……エテラマキ領軍か。ありゃなかなかのもんだ」

「圭丸騎士団だけでなく、ですか」

「ああ、右翼全部がだ。よく抑えが効いている。目の前に軽騎兵がああも並んで、しかも先頭にはマルコがいるってのに、浮き足立つどころか集中しているように見えるな」


 オイヴァの声には警戒の色があった。実際、ヨウシアにも南部の軍勢の中ではエテラマキ領軍が最も整然としているように見えていた。そこに理由を求めた時、ふと、ヨウシアの口からついて出た言葉があった。


「信仰心……でしょうか?」

「……だとすれば危険だな。マルコは教会に狙われている」


 殺意だったろうか。ヨウシアの背筋に冷たく戦慄が走った。樽のような甲冑をまとう大らかなその男から、その瞬間だけ、鋭利に過ぎる意志が放たれて戦場を貫いたかに感じられたからだ。まるで野暮な拵えの剣が実は殺戮の刃を秘めていて、その白刃の輝きが僅かに覗けたかのような……危険な光だった。


 油断はできない。


 そんな当たり前のことをヨウシアは再認識した。どんなにか事前協定に理知の条文を並べようと、いざ始まってしまえば戦場の混乱が生まれて暴力の風を吹かす。予測不能の事態を引き起こす。結局、試されるのは思想の優劣ではなく命運の有無でしかないのかもしれない。人事を尽くしたる後は己の運命を信じるよりないが、一生懸命の努力は当然だ。信じるとはそういう行為だとヨウシアは思う。努力を欠いては何もかもが言い訳めいたものになるからだ。


 南北両軍の陣は定まった。戦機はいよいよ熟し、その熱に押されるようにして両軍から代表者が前へ出た。北からはユリハルシラ侯クラウスが、南からはアハマニエミ侯ウンタモが出て馬上に互いの正義を宣言するのだ。その儀をもってしてこの会戦は開幕する。両軍総計九万一千の戦いが始まる。


 ヨウシアは再びその唇を水で湿らせた。伯爵としての初陣である。一人の男として参加するわけではない。そんな自由はない。瞑目する。己以上の己になるための力を求めた。


 胸に亡父の誇りを抱け。


 背に戦没の一万将兵の勇敢を背負え。


 いざ目を見開いたならば、今ここにはペテリウス伯爵に付き従いたる精勤の将兵がいて、その身命を他の誰でもなくヨウシアに委ねているのだ。受け止めなければならない。そして戦おう。ペテリウス伯ヨウシアとして……盟主クラウス・ユリハルシラと龍将軍マルコ・ハハトに全力の信頼を寄せ、また、寄せられよう。期待し、期待され、己の責務を全うしよう。ヨウシアの覚悟とはそれである。


 静かに深呼吸を一つ終えた。甲冑の音も猛々しく右手を高々と上げる。それはアスリア王国四侯六伯が一人、ペテリウス伯爵の決意を体現した挙手だ。これを振り下ろしたならば、サルマント領軍と並んで前線に武勇を誇るペテリウス領軍が進み戦うのだ。重大事が己の腕の一本に宿っていることを承知して、ヨウシアは待つ。進み攻めよという、全軍に呼び掛けるその声を。


 そして、号令は為されたのである。

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