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僕の戦国記  作者: 三嶋 与夢
それぞれの世界
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ラスボスは近くに居る!

年齢に対する指摘も有りましたので自分なりの理由を考えてみました。

美濃が騒がしくなる中、僕等は軍備増強に明け暮れている。表向きは斎藤家の援護となっているが誰の目から見ても侵略する為の準備だ。その証拠に援軍すら送っていない。


漁夫の利狙いが見え見えなのだが稲葉山城が堅牢だからか内乱を続けていたんだが、、、すぐに内乱はおさまった。


「マムシの奴、意外に腑甲斐なかったな。だがその息子も国も大分弱っていよう。・・・我等にはマムシの遺書がある!美濃の攻略を開始する!」


・・・軍議での信長様は遺書を取り出し美濃の後継者の正当性を名目に美濃攻略を開始した。




はっきり言って順調に行き過ぎている。当主の病死による世代交代が有った頃には、木下藤吉郎による竹中半兵衛の調略に始まり、周辺の豪族達の調略が済むと少数による稲葉山城の攻略が開始された。


呆気ない程簡単に美濃を平定したのだ。戦なんて殆どする事もなく、閉め出された当主の捕縛の為に動いた数千の兵が向かっただけで終了した。


・・・この美濃平定での一番の功労者は木下藤吉郎とその部下の斎藤真人、、、怪し過ぎて仕方ない!




そんな事が有ったからか織田の派閥争いは激化している訳で、、、


「・・・何これ?」


「田中様の結婚の招待状ですが?」


「千代さん其れはわかってるんだよ。だけど納得できないんだよ!なんで優斗が結婚するんだよ!」


八つ当り気味に千代さんに詰め寄ると呆れた顔をして淡々と説明を続けられた。

「柴田様の縁者ですから断る事など出来ないでしょうし、何より嫁を取るのですから祝うならまだしも、、、綾人様も話だけなら来ていますよ?」


マジで!嬉しいんですけど!!!・・・違う違う、結婚だよ気持ちとか大事じゃないか!


「で、式は何時?」


「・・・二週間後ですね。」


「え、は、早すぎないかな?そんなものなのか。」


「優斗様も派閥争いに巻き込まれていますから、、、綾人様は何処にも参加されていませんが、既に織田家は木下派と柴田派の二大派閥状態なのですよ!」


そんな事言われても忙しいんだよ!魔物なんかもわいてくるから誰かがしないといけないのに!!!僕にばっかり押し付けるから!!!


「派閥とかはわからないんだ。・・・誘われてない。」


「綾人様は何でもそつなくこなすから皆が頼りにしておいでですが、人に対して無関心過ぎる所がお有りですからね。」


「無関心?」


「なんと申しましょうか、、、此方を向いて話していないというか、違う場所を見ている様な感じがします。」


・・・無関心、、、確かに先輩達の行動にも気付かなかった。優斗の様に誰かと特に付き合いがある訳でもない。そう言えば城でも事務的な会話が多いな、、、



考えてみたらなんだか疲れた。もう夕暮れだが何時もの様に槍を振るう気力が無い。縁側に座り槍は横に置いて庭を見ていた。


この世界に来てから1年と少しだったか?思えば其れすら気にしていなかった。

ただ仕事をしていれば良いと思っていたけど違うのか?何が駄目だったんだ?


「あー、秋山君みーつけた!何考えてるの?」


槍とは反対側に上川先生が腰掛けて上目遣いで僕の顔を覗いてくる。照れ臭くて目を逸らして対応した。


「いや、その、、、何時になったら帰れるのかな?って、」


「ふ〜ん、嘘を吐くんだ。」


「え、」


暗くなり始めたからか逸らした目を再び先生に向けると、無邪気な笑顔は消えて妖しく微笑んでいた。


「当ててあげようか!・・・こんなに頑張っているのに何で上手く行かないのか、でしょう。」


「いや、そんな事は無いですよ。」


「嘘ね。普段はふざけて居るけど本音は臆病だから周りを見たくないだけよね。」


・・・何なんだ今日の先生は何処かおかしい。


「篠原さんや立花さんの事は聞いてるわよ。あんなに金を出したのに僕を裏切ったのは許せない!斎藤も横から奪った泥棒野郎!こんな所よね?」


「だから何なんですか!」


「優斗も一人で上手くいっているのに僕だけどうして!」


「・・・イカレてるのかよ先生。」


「この世界で強い僕に従わないのが許せない!辛い思いをしたのに誰も見てくれない!・・・人は殺してない、奴等はゲームのキャラクター!だから殺してかまわない!魔物と一緒だから殺してやろう!」


何なんだこの女!嬉しそうに笑いやがって、そんなに可笑しいのかよ。


「何も知らないと思った?考えてないと思った?調べればこれぐらい簡単にわかるのよ。」


「其れがなんだって言うんだよ!」


「簡単な事よ、、、我儘な坊やは皆に迷惑を掛けているのに気付かないから教えてあげてるのよ?・・・貴方はゲームだと思って浅はかな考えで戦場に出て人を殺した、、、寧ろ其処で死んでおけば他の皆はもっと上手くいっていたかもしれない。」


・・・な、なんで上手くいくんだよ!


「わからないでしょう。貴方が皆を遠ざけたのよ。特別な力を隠して都合が悪いときだけ使って、、、もしかしてばれてないと思ってた?其れとも皆がピンチの時に使いたかった?・・・言わせて貰えばそんな事を貴方がしたら皆は貴方を許さないでしょうね。」


「僕だけじゃない!」


「貴方は田中君とは違うでしょう?田中君はもっと素直だもの。特別な力で威張り散らしたりはしないわよ。」


「さっきから僕の事ばかり言ってますけど斎藤達のした事はどうなんですか!裏切りじゃ無いですか面倒も見てやったのに!」


先生がお腹を抱え背中を丸めて笑い始めた。何処か恐ろしさを感じてしまう。


「ハハハ、はぁ、可笑しい事を言うのね?さっきは否定したのに認めるなんて、、、でもね斎藤君達のした事は責められる事かしらね?」


「・・・僕だけが悪いって言いたいんですか?」


「ほら、その言い方!まるで僕は可哀想!そんな感じがするわね。でも貴方は彼等を助けなかった。力があるのに、助けられる方法も有ったのに、土下座でもして貰らいたかったの?」


・・・


「この話はここまでね。其れと、、、」


ガタッ!


先生の伸ばした手を反射的に避けようとして背中が柱にぶつかって槍が庭に転がった。


「暗いから見えにくいけど、、、ほら!子供達の背がね此処に来たときより伸びてるの!」


「や、止めろ、、、」


「和君は背伸びしてちゃんとはかれないけど雪ちゃんが背が一番「止めろって言ってんだよ!」・・・。」


胸が苦しい!息がしにくい!身体がなんで震えるんだよ!庭に飛びだして槍を拾い先生に向かい構える。槍が小刻みに震えていたが其れでも構えは解かなかった。


「・・・何が恐いのかな?先生に教えてくれない?」


「お前もいい性格してるよな?そんなに僕が嫌いなら出ていけば良いだろう!」

既に外は暗く周りは見えにくい筈なのに、、、先生の口が笑っているのだけはしっかりと見えていた。


「千代さん、、、おかしいわよね?一豊さんとは歳が離れている筈なのにもう17歳なんですって、、、元の世界の歴史なら、、、6、7歳くらいかしらね?・・・秋山君も不思議に思っていたんでしょう。」


「・・・其れは!」


「違和感が有るから傍に置いてるのよね。そうする事で自分に『ゲームの世界』だからって言い訳できるからね。」


カッカララ


槍を落として両手で顔を押さえる。見たくない!聞きたくない!言いたくない!


「初陣で結構殺したのに数日で復帰したのよね?知ってた、田中君は毎晩泣いていたらしいわよ?凄い精神力、、、では無くて、凄い無関心よね。」


あああ、何で言うんだよ!忘れていられたのに!アイツ等の顔を忘れられたのに!!!


『殿を救い出せ!』

『殿、今行きます。』

『貴様よくも!!!』


・・・く、来るなよ!なんで来るんだよ!そんなに命掛けてまでなんで救けようとするんだよ!!!


「あ、ウヮアアアアア!!!!!!」


僕の所為じゃない!僕は関係ない!僕は、ぼ、く、、は、




気が付けば縁側で仰向けになり横になっていた。身体が酷く怠い。目はなんだか熱くてしょうがない。


周りには蝋燭の光が感じられ何人もの人の気配がする。頭を動かすと子供が周りに集まってこっちを見ている。誰かに膝枕されてる様だな?誰に、、、


バッ!ダッダダダ、、、


すぐに起き上がり周りを囲んでいた子供達を飛び越えて転がるように壁まで逃げ壁に背中を預けた。


「すっげー忍者だ!」

「先生見た!」

「危ないぜあやとさま!」


・・・子供等の反応を頷くだけで応えて右手が胸を押さえていた。心臓の音が聞こえてきそうな程に驚いていた。


「・・・なにしてんだよ。」


「秋山君が倒れたから看病してたのよ。」


川上アリス!まるで違う人の様な感じさえするがこの人は僕の中では既に危険人物だ!


「・・・こっちに来たら?子供達も遊びたいだろうしね。」


「冗談でしょう。いったい次は何をする気ですか?」


「ほら早くしなよあやとさま!」


子供に腕を引かれ縁側に全員で座ると小さい子が僕の膝の上に座る。


「暖かいでしょう?生きてるから当然なのよ。・・・少しは実感できたかしら。」


「その為だけにあそこまでしたんですか?あなたも嫌な人ですよね。」


足をブラブラさせている子供が目を輝かせて空を見ていた。空が高くて星が綺麗に輝いていた、、、その数に驚いた自分に気付いて考えたが、ここに来てからも空を見上げたことは有ったがこんなに綺麗だとは思えなっかた。この世界の空を初めて見た様な気がする。


「綺麗でしょう。・・・ちゃんと見ないと向こうも見てくれないのよ。」


「先輩達の事ですか。確かに僕は見返りを求めてましたよ。二人とも美人でしたし、、、斉藤先輩を見限って来たとか思っていました。僕を選んだんだって!でも、、、」


「秋山君は歪んでるのよね。凄い力を手に入れたら誰でも狂うわよ。・・・でも田中君は成長して、斉藤君は自分の力だけで今の地位を手に入れた。二人は凄いけど秋山君は歪んだままね。」


笑顔で本当の事を言うよなこの人は!だけどさ、、、何してもそこそこしか出来ないんだよ。知略は先輩達に適わない!武功は優斗に及ばなくなってきてるし!何も無いじゃないか、、、


「・・・泣くなよあきやまさま!男は泣いたらいけないんだぜ。」


「どこか痛いの?」


「俺、千代さん呼んでこようか?」


何で優しくするんだよ。こんなに嫌な奴にお前らに優しくされる資格なんて、、、


「人気者よね秋山君は、知ってる?この子達は将来君の役に立ちたいんだってよ。・・・それなのに何時までもうじうじして良いのかな?」


「何で俺なんかの為に、、、」


「君が救った命でしょう?」


それはまつさんが困っていたからで、ついでに炊事の出来る人が欲くてその人たちの子供は助ける気なんて無かったんだ。


「せめてこの子達の目標で居てあげてね。出世したいならすればいいし、生き残りたいなら武士なんか辞めれば良いじゃない。君には部下も居るんだし頼りなさい。・・・山内さんも気にしていたわよ。」


「何をすればいいのかな、、、何も思い浮かばないんですよ。」


「戦国時代とは違うけど、、、堺に行くのも良いかもね!色んな物を見て聞いて考えれば視野も広がるわよ。」


・・・堺か、大阪の事だよな?この世界でも貿易で栄えているのか。信長様も堺の話はしてないけど部屋には南蛮?の物が有ったな。


「あやたさま、お土産が欲しい!」


行ってみるか、、、何もしないよりは動いていたいしな!でも時期は何時にするか考えないと、

先生は最初の段階でラスボスの予定で考えていたんです。難しいから辞めましたけどね!

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