友達は大事に!
もう13話ですか、、、最初に考えていた話だと斎藤先輩は軍師のポジションで皆を導く役立ったのに、、、
九尾を解き放った織田家に対して将軍や公家の反応は悪い。その結果が重臣達の妻子を使った『憑依』だ。既に可能性の有りそうな女性がかなり犠牲になり、九尾の所為で京は半壊状態だ。これに腹を立てない者は少ないだろうが、その為に関係ない僕達まで巻き込んでの九尾退治が始まる時に桐原や信長様、織田家の女性は来ていない。
国主や城主の妻子も集まってくる中で当主やその妻子が来ないのはまた反感を買うことになる。すでに何名かの重臣が早馬を出していたが其れについて何の返答もされなかった。
「なんなのだこの状況は!当主が動かないとは、、、最近特におかしかったがこれには耐え切れん。俺は帰らせて貰う!」
「貴様は逃げたいだけであろう?臆病者は邪魔ださっさと帰れ!」
「・・・止さんか!だが最近は本当に様子が変だな。桐原と言ったかな?奴が現れてから織田家は狂いだした。」
重臣達の話し合いは中々進まない。そんな話し合いの場に将軍の使者が現れて更に状況は悪くなる。
「・・・邪魔をする。何時までそんな事をしているつもりだ?京を守るのはその方達の仕事である筈だが?」
「当主が居ないのに動けるものか!」
使者は薄笑いを浮かべ、
「そうかやはり織田の武士は腰抜け揃いか。・・・もう結界も持たんのだぞ!何をしに来たんだ貴様等!散々暴れた挙句に責任も取らんとは、、、先程可能性の有りそうな娘がわかった。すぐに九尾を封印せよ!これは勅命でもある反論は許さん!」
・・・その場が一気に静かになり使者が出て行くまで誰も喋らなかった。
一度自分の部隊に戻るとアリスが出迎えてくれたが顔色が優れない。理由を聞いてみたら選ばれたのが優斗の娘『伊代』が選ばれたらしい。だが成功出来る可能性も低く、失敗すれば次々に試していくらしい。・・・つまりは生き残る者など居ないと言う事だ。
「柴田様には妻子が居ません。その為に、、、田中君の奥さんと娘が、、、縁者でしたから。」
「そ、そんな、、、成功もしないのに二歳の子を犠牲にするのかよ!」
叫んではみたが何にも解決しない!・・・優斗!優斗は何処に居るんだ。僕はすぐに勝家様の部隊を目指して走り出した。後ろでは部下の呼び止める声がしたが足は止めなかった。
勝家様の部隊では崩れ落ちた優斗を囲んで皆が俯いている。・・・息が切れている僕の息遣いがその場ですると優斗が見上げて来た。
「・・・綾人か?俺の子が選ばれたんだってよ。・・・なんでだろうな、、、なんで伊代なんだろうな?」
「優斗、、、」
「秋山、今は外せ。・・・すまんが優斗と話がしたい。これは退く事の出来ん戦だからな優斗には覚悟を決めて貰わねばならん。」
「そんな言い方!」
「黙れ!!!あの子は選ばれたが織田家重臣の全ての妻子の命も掛かっておるのだぞ!・・・失いたくは無いのは同じだが、、、お前も覚悟を決めよ!」
追い出される様に出て行くと外は曇っていた。今にも雨が降りそうな中を帰るとアリスが待っていた。その目には決意の表れか力強い光が宿っていた。・・・今は見たくない目だ。
「・・・私が行きます。最初に私が試します!」
「な、駄目だ!許さない!・・・重次!アリスを絶対に外に出すな!」
「はい!」
「どの道同じです!」
「「「・・・」」」
部下も黙る中、、、勝家様の言葉を思い出した。
『覚悟を決めよ!』
嫌だ!失いたくない。・・・だけど、、、逃げる事も出来ない。ここで逃げれば確かに生き残れる。アリスは失わない。だけど他の物は全て失う!其れをすれば楽だろうが全てが無駄になる。・・・決めたのに!進むって決めたのに何でこんな事に!その時だ、アリスが僕を優しく包むと笑顔で泣いていた。
「・・・あなたは死なないでね。進むと決めたのでしょう?だから無理しないで、、、生き残ってね。」
「なんで、、、そんなに、、、」
泣きたいのを我慢した。今は泣けない!まだ死んでいないのだ。可能性が低かろうが関係ない、、、成功させればいいのだから!
すぐに使者に報告して順番を変えて貰う。部下全員に指示を出すと重臣達を回り説明をして先鋒を願い出た。だが木下藤吉朗の答えは冷たかった。いや、優しかったのかもしれない。少なくともねねさんは失わないのだから、、、
「悪いが木下家は協力できん。此度の積は織田家にある。いや、桐原か?兎に角、そんなことの為に将兵を無駄には出来ん!すまんが引き上げさせて貰う。」
「・・・そう言う事だ。秋山、諦めるんだな。」
「木下様!そんな事を言わずにお願いします!木下様の鉄砲隊の力が必要なのです!」
地に頭を着けて土下座をするが、、、答えたのは斎藤だった。木下藤吉朗の片腕とも言われるこいつの言は木下様も無視できないのだろう。
「よく土下座をする奴だ。・・・そうだな考えても良いな。」
「本当か斎藤!」
「斎藤?おいおい『様』を付けろよ。」
悔しいが今は僕のプライドなんて関係ない。再び頭を下げて、
「お願いします斎藤様!」
「そうか、考えてやろう、、、、、、やはり無理だな!」
「そ、そんな!」
「悪いのう秋山、斎藤がこの調子でな。・・・まあ頑張ってくれや。」
その後も逃げ出す部隊が多く最後には家と柴田家に明智だけとなった。集まった兵の半分が居なくなる中で結界の周りに配置に着くと手が震えていた。
僕の我侭でアリスが死ぬのか?なんであの時に斎藤を助けなかった?どうしてすぐに桐原を始末しなかった!どうしてこんなに、、、僕は弱いんだ!!!その時肩を叩かれ振り返ると優斗が立っていた。
「・・・勝家様が綾人を助けてやっれてよ。それに利家様も心配してたぜ。・・・しかしでかいよな九尾は、、、先生の件はすまなかったな、正直ほっとしたのも事実だ。だけど俺にはこいつでしか応えられそうにない。」
槍を突き出すと真剣な表情をして
「助けたいんだろう?痛めつければ力を落とせて成功する確率が上がるって言ってたぜ。・・・綾人には借りがあるから安くしとくぜ?」
こんなに頼もしかったのか優斗は、、、何時の間にか置いていかれたばかりか周回遅れもいい所だな。
「・・・言ってくれるよね本当に、、、でもこれでお互いチャラだ!そして本当に、、、対等だ。」
「おう!」
そうだ僕には優斗がいる!部下も居るじゃないか!一人で無いならやりようはある筈だ。
「・・・先生は本当に綾人が好きなんだろうな。成功してもお前の傍に居たいってよ!まあ無理だと思っていたけど九尾の管理は公家の管轄でもないから許したみたいだな。忍者の連中は嫌がっていたけどさ。」
「アリスらしいよ、、、そろそろだな。」
なんだか交渉している様子が思い浮かんだ。信じてくれているなら其れに応えないと、、、もう覚悟は決めたんだから、、、
光の壁を挟み九尾が此方を睨んでいる。この光は魔物にしか効果が無い。だから一度入れば九尾との間に隔てるものが無くなる。
「一豊は大砲で結界の外から援護しろ。・・・重次は弓隊で気を引くだけで良い。大砲の前に誘い出せ!」
「「はっ!!」」
「他の者は気を引き締めよ!これより大砲にて攻撃後に突撃する!」
「「「おう!!!」」」
・・・始めようか九尾!お前と俺等の戦いを、、、
こんな駄文で楽しんでいただけたら幸いです。・・・先生は何を考えているんでしょうね?




