1.かっこいいところ
あたしの好きな人はーー…別にモテモテなわけじゃないんだ。友だちのマミだって、
「なんであんなやつ」
って言うくらいで…。でもあたしは、いいところいっぱい知ってるの。
彼の名前は大原裕。一週間前から好きになったの。
席がえで隣になっちゃって、やだ〜〜こいつって思ったよ。最初はね。なんでかというと…。
『不良』ってウワサが流れてて、そのウワサを信じて君を傷つけた。
「不良なんだって〜?」
「なんとでも言えよ」
って君は言った。
悲しそうな顔をしてた。
前のあたしは、バカだったと思う。だって、実際裕はすごく優しくて、いつも笑顔をみせて、笑わせてくれて…。
皆はカオばかりみてて、わかってない。
裕がどんなにいい人か...。そう、それは隣の席の“あたしだけ”が知ってるの。
「おいそこのチビ!勉強教えろ!」
「でかいくせして、こんな簡単な問題もできないわけ〜?」
みたいな会話ばっかで、どうして、素直になれないんだろ。
「バッカヤロー」
実はいろいろマミに相談してたわけでぇ。
「ひどーい。はずかしいのが恋でしょ!」
そうだよ…。恋は、はずかしくて、声がかけられなく…
「ちがーう。大原だけに優しくしてりゃあ、あ、こいつ俺のことすきだな。って意識しはじめるんだよ!」
そうなの!!!!!
ついつい逆だと思ってしまった。
「でででも!裕.かっこいいから、彼女いるかも」
「や、いないね」
即答かいっ!なんか、悲しいな…。
そこまでかっこわるい?彼女いるのもやだけど、そんなこと言われると悲しくなるなぁ。