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プロローグ

「あーーーもう!!! こんなん管理できねーよ!!!」


 神界に、耳をつんざく絶叫が響き渡った。

 頭を抱えて机に突っ伏しているのは、絶対神〝ゼン〟


 全知全能

 全ての神を統べる存在

 神の中の神

 ――Top of the God


 そんな肩書きを持つ彼ですら、最近の異世界転生ブームには完全に音を上げていた。


「ったくよぉ! どいつもこいつもチートだのスキルだの!」

「何も持たせずに放り出すやつもいりゃ、ゲーム世界にまで干渉するやつもいる!」

「終いには地球に戻して無双だぁ? 好き放題にも程があんだろ!」


 愚痴は止まらない。

 慌てて天使たちが駆け寄る。


「ゼン様、お体は大丈夫ですか?」

「少し休憩を――」

「ゼン様がいなければ、世界は回りません!」

「そうです、どうかご無理をなさらず……!」


 だが、限界を迎えた神の耳には、もはや何も届いていなかった。


「……そうだ! そうしよう!」


 ふと顔を上げたゼンの目が、怪しく光る。

 天使たちは嫌な予感を覚え、息を呑んだ。


『業務委託すればいんだ』


「「「えぇぇぇーーーっ!?」」」


 天使たちの悲鳴が、神界に木霊する。


「そうと決まれば話は早い」


 ゼンは机の上の書類をすべて薙ぎ払い、どこからかマイクセットを引っ張り出した。


 

 * * *


 

――あーあー……聞こえてる?

――あ、オーケー? よしよし。


――全世界の諸君!

――私は全ての神の頂点、絶対神ゼンである!


――あ、これマルチ翻訳ちゃんとしてる?

――してる? えらいえらい。


――さて、昨今、異世界転生が多すぎる!

――正直、管理しきれん! もう無理!


――え? 言い方?

――いいじゃん、堅苦しいの疲れるし。


――とにかく!

――この混沌を整理するため、新しい機関を設立する!


――その名も…………

――『異世界出入管理局』! 通称・入管!


――え? 日本にもうある?

――細かいこと気にしない!


――で、職員募集なんだけど、もうこっちで勝手に選ぶから。

――リンク送るね。


――あ、拒否権はなし。

――拒否しても強制執行。


――それでも嫌なら、一族郎党、世界の歴史から消しまーす。


――……いや、さすがにそれはやり過ぎか(笑)


――まぁそんな感じで、

――適正な異世界交流のため、各自がんばるよーに!

――以上!


 

 * * *


「ふぅ……スッキリした」


 

 一通り話し終えたゼンは、高級そうなリクライニングチェアに身を沈めた。


「ゼン様! いきなり全世界放送なんて、各世界が大混乱です!」

「もう担当神たちが押し寄せてきていますぅ!」

「それに人選はどうなさるおつもりですか!」


 天使たちが一斉に詰め寄る。


「あーもう、うるさいうるさい。そっちで何とかして」


 ゼンはくるりと背を向けた。


(……人選、か)


 両手を広げると、空中に光のウィンドウが展開される。

 そこには、光の勇者、最強の魔王、悪役令嬢まで――

 全世界の人物リストが時代を超えて並んでいた。


(ま、こいつらに任せときゃ問題ないっしょ)


 ゼンはウィンドウをくしゃくしゃに丸め、そのままゴミ箱へ放り投げた。





 



 


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