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魔女狩りに遭ったら、大魔法使いになれと言われました  作者: めしあん
学園編

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2

 ノアさんとの魔法の勉強は、なかなかにハイスピードで進んだ。

 半年分の勉強を半月も無い時間で取り返そうというのだから、そもそも無理がある話ではある。


 ノアさんは、そんな中でも最低限押さえておくべき部分を重点的に教えてくれた。

 2学期で使う必要が無い知識は除外し、とにかく授業についていけるように、基礎を固める計画だ。


 二年生までは実技がないとはいえ、闇魔法というのは使い方によっては物体ごと消してしまえる魔法だ。

 今回は時間がないので使い方を教わることはできないが、いずれクロ先生が教えてくれるらしい。

 二年生までにある程度制御できるようになれる、とクロ先生は言ってくれた。

 それまでは絶対に一人で使うことのないように、と念を押された。


 闇魔法を持っているというのは明白に差別されることはないとはいえ、生徒の中には嫌悪する人もいるという。

 先生たちには事情を話してあるので、何かあればすぐ相談するように言われた。


 ノアさんは、この基礎固めが終わったらしばらく遠出する用事があるそうで、その間はシュカ先生とクロ先生が保護者役をやってくれるそうだ。

 ノアさんが居なくなるのは不安だったが、あの優しい二人が居てくれて嬉しかった。


 そんなわけで、ここ1週間ほどはノアさんとほぼずっと一緒に生活している。

 さすが飛び級で卒業したこともあり、ノアさんの知識は確かなものだった。

 質問すれば噛み砕いて丁寧に話してくれるし、メモの取り方、勉強計画の立て方なども教えてくれる。


 こんなに良い待遇を受けて良いのか、また不安になりつつも、そう思っている分頑張ろう、とやる気にもなった。

 時折、私が力みすぎているのを見計らってか、ノアさんは外で散歩をしようと誘ってくれる。

 とはいえ、散歩の途中でさっきまでの内容のクイズを出してきたりするので、ただの気分転換だけでなくて、記憶の定着にも繋がっている気がする。


 彼はいつも穏やかで落ち着いていて、とても四つしか違わないとは思えなかった。

 でも、時折、なにか諦めたような表情を見せる時がある。私は、彼のような人でも悩み事があるのかもしれないな、と思った。


 ただでさえ、私の生活費も出してくれているのだ。

 いくら優秀な彼でも大変なのかもしれない。


 そういえば、彼はなんの仕事をしているのか聞いていなかったな、と思い、聞いてみた。


「そういえば、ノアさんはお仕事は何をされているんですか?」

「うーん、そうだね、魔獣駆除の仕事とか、魔道具を作って売ったりだとか…どこかに所属しているわけではないんだ。だから、ある程度自由も効く。それに魔獣駆除とかは報酬が高かったりするから、なかなか悪くないよ」

「魔獣駆除…」


 魔獣、というのは淀んだ魔力の溜まり場に発生する、攻撃性の高い生き物のことだ。

 駆除するには相手を倒せるだけの戦闘能力と、淀んだ魔力を浄化する必要がある。


 魔力が淀むのは、空気中の魔力濃度が高いまま、長時間魔力が同じ場所に滞留してしまうためだ。

 その場所の魔力濃度が高いほど強い魔物が発生する…と、一昨日ノアさんに教えてもらった。


 いくら優秀な人だとはいえ、大丈夫なのだろうか。


 そんな不安が顔に出ていたのか、ノアさんが宥めるように穏やかに言った。


「自分の手に負えないようなものは受けていないよ。それに、受ける時は大抵他にも同行者がいるから、誰かが倒れてもすぐ逃げ帰って治療することになってるから大丈夫だよ」


 ノアさんはなんでもないことのように微笑んだ。


 そう言われても、私はなんとなく以前もらったお金の重みが増してしまったような気がして、居た堪れなかった。

 でも、今は彼の期待に応えられるよう、そして自分のためにもこの機会を活かせるよう、やれることをやるしかないな、と思う。


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