覚えのない日記
僕の日記
そう、見返した僕の日記には、一ページだけ意味のわからない箇所がある。
字も酒で酔っていたのだろうか 何を書いているのかわからない箇所
「なんだろう?変だな」軽くため息
読み取れるのは「逃げろにげろ」「知らせを」そう読めなくもない これは僕の字で間違いない‥はず
書きなぐったような‥
しかも日付は明日になっているのだ
日記の傍に置かれた見たこともない不思議な装置 小さなキーホルダーぐらいの大きさ
「なんだろうこれ? どうなっているのか?」
そう、その意味は‥次の日に知る事になった
次の日 謎の日記の当日
その意味は・・意味は
来襲‥何の前触れもなく 奇妙な生き物たちが遅い来る
人よりも大きな生き物が大きな口を開けて 人間を食らうのだ
必死で逃げ延びる ああ、逃げなくては
「‥君」「あ、隣の家の奥さん」‥どこかの研究所の職員だという
「はい?」
「この装置」小さなキーホルダーのようなものを手渡そうとするが
「あの 僕もってます 持ってます!」「え?そうなの!わかったわ」
「貴方だけが適合したの 過去の時間に逃げて そして知らせて」
「過去の時間に跳べば記憶は消えるわ だから‥何かにその事を記録して 昨日ならまだ間に合うの 昨日の私に知らせて!」
「貴方が数週間前の私たちの実験の被験者だったことは記憶から消して 貴方は覚えてないでしょうけど
あの人食い化け物たちを感知して 人知れず戦いながら 長年、私達は秘密裡に対抗策を研究していた」
「過去の時間にタイムトリップ出来る装置 最大 一日前よ」
「もう一度言うけれど 過去の時間に跳べば記憶は消えるわ
だから‥何かにその事を記録して 昨日ならまだ間に合うの 昨日の私に知らせて! 攻撃前にこちらが‥」
「『昨日の私』に この事を知らせて!お願いよ」
「そのスイッチを押して早く ああ!」隠れていた僕たちはすぐに見つかり
彼女は捕まり それから怪物の口に身体半分を食いちぎられて
「ぎゃああああ!!」悲鳴が響き渡る
必死で逃げながら 僕は鞄に入れていた日記にこの事を書こうとするが 震えて うまく書けない
「ああ」このままでは食われる 目の前には人食いの化け物が
僕は装置のスイッチを入れた
そうして 昨日の時間に巻き戻り
「何だこれ?」僕は日記を見ながら そう思う
見返した日記には、一ページだけ意味のわからない箇所がある。