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激闘


 洞穴を後にして再び私達は歩き始めました。この洞穴にあった家紋を見るのは恐らく最初で最後になると、そう私は思いました。






 武器を手に入れた私は更に暗闇を歩きます。






 暗くて道が全く分かりません。方向も良く分かりません。ただ山を登っている事は分かるのですが、来たことも無い場所をひたすら歩いているのです。








 拳銃だなんて・・・・・そんな物を使う日が来るのかと思うとゾッとしました。






 自分の生活からかけ離れたものかと思っていたのに、ダマテにはなんの抵抗も無いのです。






 これを撃つ相手は島民・・・そう思うと手が震えます・・・。昨日まで仲良くしていた人を撃たなくてはいけません・・・・。






 果たして私はそんな事が出来るのでしょうか?・・・・。






 父の子である以上、それが出来なくてはいけません。仲間を守る為、自分を守る為、その為の勇気を私に与えて欲しい・・・・。お願いお父ちゃん・・・私に勇気を下さい・・・。










「居たぞ!!あそこだ!!!」






 私達が歩いているちょうど下の林道にたいまつの灯りが見えました。






 島民が下から私達の方を指さして叫んでいるのが見えました。






 身を隠しながらの山登りでしたが、とうとう位置がバレてしまいました。私とダマテは暗闇の中猛然と走りました。






 出来れば戦いたくありません。そう思いながら私は必死に走りました。途中で転んで怪我をしてしまったようですが、そんな怪我に対して耳を貸すことは出来ません。耳を貸せば、私は殺されてしまいます。わけの分からない人間、低俗な人間達に犯された上で殺されてしまうのです。






 女に女らしさなど要らない。今私には不屈な男らしさが欲しい。どうしても欲しいのです。もし島民に捕まってしまうような事になった時、私に自決する勇気を下さい!!神様!!






 私の事を好きだと言ってくれる人が過去に何人も居ましたが、それは私の事を女性だと思ったからであって、今の私の姿など見て誰が好いてくれるものですか、もうすっかり腹が括れているじゃあないですか。






・・・・・・




・・・・・






・・・・・・・








パーン!!!






 私は私の足を掴む男に向かって引き金を引きました。






ハク「私に触るなこの野郎!!・・・やってやる!!私も父の子なんだ!!」






 かつての清潔感のあった姿はそこには無く、濁声で泥だらけのハクは銃口を構えます。腰には父のドスを装備しています。物凄い形相です。まるでそれは「蛇」のような表情でした。人間ではありません、爬虫類のような無表情に近い表情なのです。






島民「うわぁぁぁああああ!!!なんだこいつは!!」






 島民が恐ろしい表情をしたハクを見てひるみます。






ダマテ「おっら!!!!!」






 前方に向かって飛び上がり日本刀を思い切り振り下ろすダマテの姿が見えました。






 後ろから男が思い切り抱きついてきました。






 私は持っていたドスを思い切り自分のカバン越しに相手に突き立てます。






島民「うあああああ!!!!」






ハク「放せこのー---!!!!!」






 そのまま抱きついてきた島民と共に私は真っ逆さまに崖を転げ落ちます。






ガンッ!ガンッ!!






島民「このアマー!!!」






ハク「私は!!!どうしてもここで死ぬわけにはいかない!!いつまでも守って貰おうなんて思っちゃいけない!だから本当は私が一番に奮起しないといけない!!そうじゃなければこの父が作った集団に居る資格は私にはないっ!!放せこの裏切り者!!・・私を・・・私達を甘く見て貰っちゃあ困るからね!!」






 転がり大声で叫びながら男性の腕を思い切り振りほどきました。






島民「なんなんだこの女は!!」






 好きな人に触れられた感触とは全然違うのです。戦いが始まったと体がそう感じる事が出来た時、一瞬で体が動きました。あの父の洞窟に行った時、あの家紋のようなものを見た時、私の中で何かが吹っ切れました。覚悟という言葉は男性のみにあるものだと思っていました。そうじゃない、私にもあるんだこの男性とは違うこの不動心が、もう知らないうちに備わって居るんだ父の不動心が。決して父と血が繋がっているからではありません。血の繋がりは関係がありません。父と一緒に過ごしたからです。一般の家庭と比べれば家族の思い出は多く無いです、少ないです。でもそんな事は関係のないことなのです、一緒に居た時間の量ではなく、父が守ってきたもの、どれだけの物を背負ってこれまで生きて来たかを感じ取る事が出来たかどうかなのです。






 決して人を殺したいわけではありません。私達をあの卑劣な集団達に売った、金に目がくらんだ島民に後悔させないとどうしても私は死にきれない。相手には最低でも先10年は動けなくなって貰わないと困るのです。今までの温情や関係を断ち切る心が、私には無かっただけなのでした。たったそれだけの事で尻込みしてしまう。最終的にこんなお金の権力に負けるそんな小さな小さな人間で、そんな人生で終わってしまうと思ったら、絶対に許せない。この私の不動心が、私の体に流れる血が、義が絶対にそうさせたくなかったのでした。






ハク「・・・ダマテ!!!伏せて!!!!」








 パーーーン!!!!






 私はピストルを迷いなく撃ち抜きました。






ダマテ「・・・・・よしハク!!そのまま崖下って逃げろ!!」






 2人は転がるように崖を下っていきます。さっき崖から落ちて頭を打って血が止まらない状況でした。きっと冷静になればかなり痛いのでしょうけど、痛みなどもう無くなっていました。






 何人も倒しましたが、私達に群がるように次々に何人も襲い掛かってくるのです。






 私達たった2人に対して島内の男ほぼ全員です。全勢力をあげて私達に襲い掛かってきます。






 これまで平和だった島もこれで、この一件でおしまいです。一体何が島民達を動かす原動力になっているのでしょうか・・・・。私を犯したいだけでここまでの事をしようだなんて到底思えないのです。なんの魅力が私にあるのでしょうか。






 この島を動かしている人間は、とてつもなく巨大な力を持っている人間である事は間違いありません・・・・。






 汗なのか血なのか涙なのか、何か分からない液体を振り払いながら私達は暗闇を駆け抜けていきました。

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