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暗夜


 アリタはやられてしまいました・・・・・。






 ハネダは泣いていました・・・・。ノブハラも泣きそうな顔でアリタが用意してくれていたリュックを手に取りました。






 辺りは真っ暗・・・。


 先程ハイバラが来たことは間違いありません。






 何故この場所が分かったのでしょう・・・・。






 ふと、丘の下を見下ろすハネダ・・・・・・。






ハネダ「・・・このおじさん・・・・。」






 ハネダは丘の下に倒れている島民に見覚えがありました。






 島に来て隠れ家を作っていた時に、唯一、自分に声をかけてきた島民でした。






 この島民がハイバラにリークをしたこと、それは明らかでした・・・・。






ハネダ「・・・・・・・・」






 木の棒を握りしめ、島民の亡骸に思い切り振り下ろしました。






ハネダ「・・・あんたが言ったのか?!この場所を!!!」






 バシッ!!バシッ!!!






ハネダ「あんたさえ言わなければアリタは死んだりしなかった!!どうせ金か何かを掴まされたんだろ!!同じ島の仲間だろ!!仲間だったろ!!」






 バシッ!!バシッ!!!






ノブハラ「あっ・・・やめろハネダ!!」






 ノブハラは慌ててハネダを止めます。




ハネダ「放せノベタン!!こいつが・・・・こいつがこの場所を知っていたんだよ!!俺達と仲が良いふりをしやがって!!金がかかったら手のひら返しやがって!!」






 バシッ!!バシッ!!!






ノブハラ「・・・もう死んでるだろ!!ハネダ!!死んでんだよこいつは!!!」






 ガサガサ!!・・・ゴロン!!




 その場で転がる2人・・・・・。






・・・・・・・




・・・・・・・






ハネダ「わぁああああ・・・・ああああ・・・・・アリタぁー・・・なんでお前が死ななきゃいけないんだぁ・・・。」






 ハネダは泣きました。自分の両親や祖父母が亡くなった時よりも大きく泣きました。彼にとってこれほどの悲しみはこの人生の中で、二度とありませんでした・・・・。






・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・






・・・・・・・・・・








 ダマテとハクは山の中の道なき道を歩いていました。島民達がすぐそこまで近づいてきているのです。早く山を越えて、ボートがあると言われる場所まで到着しなければなりません。






ダマテ「ハク、山道や林道のような人間が通りそうな場所は見通しが良いから歩けない。この獣道を歩いて行こう。」






ハク「うん、分かった。・・・ノベタン達は分かってるのかな?ボートの事。」






ダマテ「あいつらの勘が良ければ分かるはずだ。気にせずに行こう。ただ・・・俺が一つ気にしてるのは、ノブハラ達がそのボートに乗って、ハクを乗せずに先に島から離れていないかどうかって事だ。」






 ダマテは淡々と語っていました。先ずそのボートに辿り着くと言う事。それが最優先だというのです。それ以外の島の脱出プランは、泳いで本土に渡る事。島民達が敵に回ってしまっている以上、もう私達が残された道はそれしかありませんでした。






 草木を掻き分けて、私達は進みました。虫が凄く沢山いて、掻き分ける手の指が切れて指先から出血していました。・・・・こんな時に切り傷など気にしている場合ではありませんが、温室育ちの私にとっては体に傷が入ってしまう事がつらかったです。






 山道や林道を進めばこの道よりも早く山を越える事が出来るのですが、そこには島民が歩いています。絶対に見つかるわけにはいきません。






・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・・




島民「山に向かう道沿いに奴らは居ました!!間違いありません!!」






 島民同士が騒いでいました。






イツキ「・・・しっかし派手にやってるなぁ・・・・。」






 先程坂下に落とした軽トラックが民家にぶつかり、炎をあげて燃えていました。






 イツキは散らかった家屋の破片をサッカーボールように蹴っていました。






ハイバラ「最終的には・・・ここの島民にすべての罪を被って貰うんだから・・・どれだけ派手にやろうが、何人死のうが、知ったことかそんなもん・・・。」






イツキ「・・・・・・・・。」






ハイバラ「・・・おいイツキ、もしかしてお前は綺麗にこの場を終わらせようとでも、まさかそんな風に思ってるのか??」






イツキ「いえ・・そんな事は・・・・。」






 タバコを出した所で部下のサキヅカがハイバラに駆け寄り、火を付けにいきます。








ハイバラ「暴れて貰って上等だ田舎者がっ!!勝手に島で内紛してんだよこいつらは!!はっはっはっはっは!!!」






 急に笑いながら炎の中、大声でサキヅカに怒鳴りました。サキヅカは至近距離で言われた為少し驚いていました。








ハイバラ「俺達がここに来たと言う証拠も無ければ、船の搭乗記録も無い。・・・どんどんやれ!!なんだったら島ごと吹っ飛ばしてもいんだぞコラ!!・・・・お前らそのつもりでやれよ!!わかったな?!・・・ぬるい事言ってんじゃねぇぞコラ!!」






イツキ・サキヅカ「は・・・はいっ!!」






 ハイバラは激怒していました。






 そのまま近くで消火活動をしている島民を呼び止めました。






ハイバラ「おいアンタ・・・娘は山の中へ行ったって島民は言ってるが・・・・何故山の中に入ったんだ?何かあるのか?」






島民「うーん・・・山の方が隠れやすいと思ったんでしょうね。」






ハイバラ「隠れる?・・・本当に叔父貴の部下が、隠れる事だけの為に山に入ったと思ってんのか??いつか捕まるじゃねぇか。」






イツキ「・・・・それじゃあ他に理由があるってことですか?」






ハイバラ「ある。・・・山の中に何があるのか、そして山を越えた先に何があるのか。それを考えずに、ただただ俺達から逃げるだけと決めつけて、あいつらを追っているのか?」






イツキ「・・・・・・・・」






 イツキとサキヅカは近くに居た島民達と一緒に黙ってしまいました。島の事は島民が一番よく分かっているのです。ただただ闇雲に探しているだけでは絶対に見つからないとハイバラは強く言いました。相手の全ての行動には意味があると、そう言うのです。






ハイバラ「今、分かっている事をお前達に伝えておく。・・・娘とダマテ、辺見の部下残り2人。・・・それぞれが分かれて行動している。今の島民の話だと、娘とダマテは山中。辺見の部下は町中に居るという見方だ。部下のノッポは町はずれの丘に居たからな。」






イツキ「1人見つけたんですね。・・・それでは俺達が町中に戻ります。」






ハイバラ「ちょっと待て・・・・何故、2手に分かれてる??」






イツキ「・・・・・・・・・」






ハイバラ「・・・・・・・・・」








イツキ「す・・・捨て駒ですかね。片方は捨て駒。かく乱要員ってことですか?」






ハイバラ「辺見が考えそうな浅知恵だ。二手に分かれていても、娘が居る方のチームさえこっちが分かってしまえば終了。海岸側を馬鹿みたいに探しているアカマツとテンに山の向こう側に回るように伝えろ。娘が居る方が本陣だ。間違いなく島から逃げる方法を探っている筈だ。いいか、絶対に逃がすなよ!!」






 ハイバラは恐ろしい男でした。どんな事をするのにも行動力が有り、頭が良く全体を見渡す視野も備わって居る人間でした。ハイバラは歴もそうですが、いつもイツキやサキヅカ達よりも上の位置で仕事をしていました。上司からかなり信頼されており、常に大きな仕事を任されていたのです。仕事に関してはこのハイバラから教わっている現在の状況。こいつさえ居なければイツキが上に行くのです。こいつさえ・・・・こいつさえ居なければ・・・・。




 元々はハイバラもイツキも詐欺師です。前職が詐欺師同士だからどうとか、そういう事は今の会社に入れば、あまり関係はありませんが、自分の得意な領域・・・そこに入って来さえすればこのハイバラを負かす事も簡単なのです、自信があります。今までやってきた事を信じる自信、人生をぶつける自信があるのです。イツキは虎視眈々とハイバラのポジションを狙っていたのです。その野望には今も曇りはありません。






 絶対に俺がアンタをやってやるぜ・・・兄貴・・・・いや・・・ハイバラよ・・・・・・・。






 昔ペンさんが言っていた、「恩と憎しみ」というはこの世界では表裏一体なのでした。

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作者のエイルはブログもやっております。

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