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悪魔


ハネダ(さっきの爆発音・・・・なんなんだ一体・・・。ノベタンが言ってた、ハイバラって奴が・・・爆発させたのかな・・・。)






 怖がりで太っちょハネダは、恐る恐る自分達が住む寮の方向に向かっていました。






 先程の爆発が会社の付近で起きたのです。きっとそちら側にハイバラが居るのでしょう。






 あっという間に約束の15分が過ぎようとしています。先程三人で約束した隠れ家へ行った方がいいのでしょうか。そもそもたった15分・・・この間に爆発が起こり、相手の位置が分かりました。






 もう方角は分かりました・・・・探す必要性は無いのかもしれません。




・・・・・・・・




・・・・・・・・






・・・・・・・・






 ノッポのアリタは爆発音を聞き、その時に居た場所が比較的隠れ家に近かった事もあり、3人の中でいち早く隠れ家に到着していました。






 小高い丘の上に蓋のような入り口を作っており、鍵を開けてその先に続く梯子をおりました。






 隠れ家に置いてあったアウトドア用のリュックに地図や携帯食料など、必要な物を詰めていました。






アリタ(・・・・どうなっちまってんだよ・・・・。こんな事になるって誰が予想したんだ・・・・。)






 タッタッタッタッタ・・・・。






 外から足音が聞こえました・・・・。






アリタ(誰だ?・・・・ノベタンか?・・・・ハネダ?・・・・)






 この隠れ家は、この島に移り住んだ時に3人で作りました。3人共アウトドアが好きだった為、島に流れ着いた漂流物や、島で売っている資材を買って作りました。3人しか知らない秘密基地です。






 位置的に辺鄙な場所であった為、誰も来ないので、土手に穴を掘って地下室のような部屋を作り、たまにここを起点にキャンプや釣りなどをして楽しんでいました。島民は誰もこの場所を知りません。






 一体誰が来たのでしょうか?・・・・






 カランカラン・・・・。






 天井の入り口蓋を外す音・・・。






ノブハラ「・・・アリタ。」






 かなりの大汗をかいているノブハラの姿がありました・・・・。






アリタ「よかったノベタンか・・・・。さっきの爆音で相手の場所は分かったな・・・・。」








ノブハラ「先に言っとく・・・・・。




ペンさんとおやっさんは亡くなった。」






アリタ「・・・・!!!!・・・・・」




・・・・・・




・・・・・・




・・・・・・










 信じられませんでした・・・。






 家族のように過ごしていた人間が死んだなんて・・・。






アリタ「許さん・・・絶対許さん・・・・・・。」






 唇をかみ、泣きながらも怒りがこみ上げてきました、もう平常心では居られませんでした。










ノブハラ「もちろんだ・・・・。あいつを・・・いやあいつらを生かして島から出すわけにはいかない・・・。親がやられて黙っている人間はうちの会社には居ない。」








 気持ちは一緒です。ハネダもダマテもハクも一緒です。


「戦おう」




 そう誓いました・・・。




ノブハラ「・・・アリタがここをやってるなら、俺は奥のキャンプ場に行く。向こうにある荷物を見て来る・・・・戦う為の道具があるから・・・。ハネダが来たら、2人で一緒にキャンプ場まで来てくれないか?」






アリタ「おう・・・・わかった。」






 蓋を閉めて、速やかに森のキャンプ場に向かうノブハラ。






 アリタは歯を食いしばりながら再び荷物を纏め始めました。






・・・・・・・・・・






・・・・・・・・・・






・・・・・・・・・・






・・・・・・・・・・






 カランカラン・・・・・・








アリタ「ん?・・・ノベタン?どうした?・・・・・」






・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・






・・・・・・・・・




ん?・・・・・・












 人相の悪い、見た事も無い人間が、ニョロっと入り口から顔を出しました・・・・・






ハイバラ「・・・みぃーつけた」






 ニヤッと・・・不気味な笑みをするハイバラ・・・・・・。






アリタ「な・・・誰だお前は!!」




 丘の下から声がします・・・・。






島民「やっぱり居ましたか!!ここが彼らの隠れ家です!!彼らがこの島に来た時に、穴を掘っているデブに注意したんです。・・・それでも続けやがって・・・・気づけばこんな所に部屋を作ってやがる・・・・・。私しかこの場所を知りません、私が見つけたようなもんです!!!」






 ハイバラの背後に居た島民はノリノリで話しています。






アリタ「・・・何が目的だ・・・・・。」






ハイバラ「お前に言ってもしょうがないだろ。」






アリタ「・・・・・・お前、俺の仲間に手を出したら許さねぇぞコラ!!!」






 アリタは拳を握りしめました。






ハイバラ「いやいや、これから死ぬ人間に対して、目的を言ってもしょうがないって言ってんだろ。」




・・・・・・






 ハイバラはピンを外し、手りゅう弾を部屋の中に放り込みました。




 そのまま入り口の蓋を閉めました・・・・。








アリタ(ノベタン・・・ハネダ・・・・・ごめん・・・・。俺はここまでだ・・・・。)








ハクを・・・ハクを任せたぞ・・・・。




必ず守ってくれ・・・・。














 一生懸命作った隠れ家は・・・木っ端みじんになりました・・・・・。






 入り口が1つしかない為、逃げ場はもう、ありませんでした・・・・・。








ハイバラ「あと4人・・・・・。おいおっさん、あと心当たりねぇか?」






島民「寮がありますが、そこはもう調べています。・・・・・あの・・・それはそうと・・・あのノッポはやりました・・・・・・報酬の方は?・・」








ハイバラ「・・・他に心当たりねぇのか??」






 ハイバラは無表情で問い続けます。






島民「いや・・・ですから・・・報酬は??・・・」






 めんどくさそうに空を見上げます・・・・・。








ハイバラ「ほんじゃあさ、・・・お年玉でもやろうか?」






 丘の上から島民の男を無表情で見下ろすハイバラ・・・・。






島民「へ?・・・・」






 ピストルを構える。






ハイバラ「くれてやる!」










パンパン!!!パン!!






・・・・・・・・・






・・・・・・・・・






・・・・・・・・・・






 父の元部下であるハイバラは・・・本当に恐ろしい男でした。・・・・・容赦がありません。そして何よりも迷いがない人間でした。






 その昔、父は言っていました。かつて自分の部下には人間の皮を被った悪魔が居たと・・・・。・・・実際そうでなくてはならない人種なのだが、そんな悪魔を自分が生みだしてしまった。女子供にも容赦がない、自分を取り巻く人間を道具としてしか見る事が出来ない得体のしれないものに育て上げてしまった。悪い事をする事に対しての吸収は誰よりも早かったんだ。もしこの世に本当に道徳というものが存在するのであれば、だれか教えてやって欲しい。自分は彼が抱える強大な闇を前にした時、人間として一番大事な事を教える事がどうしても出来なかった。






 そんな父は自分自身の事を悪魔だとも言っていました。その悪魔というのは結局のところ、悪魔によって裁かれるのです。必然、そういう者の末路はそうであると強く、私達に言い聞かせていました。




 専務のペンさんはその話になると、「兄貴もう、やめましょうよ。」と話に割って入って来て、「恩と憎しみってのは表裏一体だ。真逆のように見えるが、腹は分からないからな。・・終わり!!」と言っていつも話を切り上げていました。






 その父が話した悪魔の話は、このハイバラという人間だったのでしょうか・・・・・。








・・・・・・・・・・・・






・・・・・・・・・・・・








・・・・・・・・・・・・






・・・・・・・・・・・・








ハネダ「・・・・・・・・・・・あり」






 ガサッ!!!!






ハネダ「むおむむむっむ!!!!!」






 隠れ家に到着したハネダが口を開こうとすると誰かが後ろから強く口を抑えつけました。








・・・・・・・・・




・・・・・・・・・




ノブハラ「・・・・俺だ・・・。声出すな・・・・・。」






ハネダ「・・・ほべふぁん(ノベタン)・・・・」










 誰も逃げ出したくなる現実。どうあがいてもむせび泣いても状況は変わりそうにありません。身近な仲間達はハイバラやイツキ達の手によってどんどんやられていきます・・・。


 圧倒的な強者に対して私達はどうする事も出来ないのでしょうか・・・・。








 先程、「戦おう」と誓いました。




 でも・・・・・・・無謀な戦いだとしても、それでも男として、相手に向かわなければならないのでしょうか・・・。






 本当にそうなのでしょうか。




 もうその疑問があっても、その悩みを聞く相手が居ませんでした・・・。






 その問いに答える人間達がもう、私達の周りには居なかったのです。

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