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将来


 4畳半のにしまの部屋で盛り上がっている2人。






 ガラガラガラ・・・・






父「ただいまー」




 仕事から父が帰ってきました。




妹「お帰りー」




 妹と手を繋いだ幼い弟が父を迎えていました。






 弟を抱っこし、父は靴を脱ぎます。






父「誰か来てるのか?声が外まで聞こえてるぞ。」




・・・・・・・






「うっま!!兄貴これ滅茶苦茶美味いじゃないですか!!どこで買ってきたんですか?!」




「だろっ?!とっといてよかったぁー」








妹「なんかね、珍しくお兄ちゃんのお友達が遊びに来てるよ。」






父「・・・みなみくんか?」






妹「いや、みなみさんじゃない・・・・。」






 抱っこからおろされた幼い弟はノブハラが買ってきたお菓子を握りしめて廊下を歩いています。






父「・・・まさか、きたのさんとこの倅じゃないだろうな・・・・。」






 父は怪訝そうな顔でそのままカバンを玄関先に置いて4畳半へ直行しました。






 ガラガラ!!






 父が引き戸を開ける前にノブハラが出てきます。






父「!!!」






ノブハラ「あっ・・・お父さんですよね?!・・・すいませんお邪魔してます!私、兄貴・・・・いやにしまさんと同じ工場に勤めているノブハラといいます!!」






 ノブハラは扉の外の気配に気づき自分から部屋から出ていきました。






父「・・・・・・頂きものしたようで、ありがとうございます。」






ノブハラ「いえいえ!とんでもないです!・・・・本当ならもっといい物を持ってこようと思ったんですが・・・・。」






父「いえいえ、そんな。ごゆっくりして行って下さい。」






 よかった・・・・あいつの同僚だったか・・・・。






にしま(・・・・・そういうことか・・・・・・・)






 父は私の友人であるきたのを警戒していました。暫く地元に居ない間にきたのは急激に勢力を拡大していました。






 その力は地元全土に広まっていました。自分が地元に帰ってきた事で、ここも危険になりうる状態でした。






 俺ももう、早くここから出ないと家族に迷惑がかかってしまう。






 きたのの部下と会ってからというもの、そういう気持ちが極端に強くなっていました。






 みなみから貰ったお酒を飲み干して、ノブハラとTVを見ていました。






にしま「飲んだなぁー」






ノブハラ「だいぶやりましたねぇ・・・・。てか兄貴、相当飲んでましたね。大丈夫ですか?」






 ・・・・・・・・・・・




 ・・・・・ああ・・・・・






 そうだ・・・・・・・・・・






にしま「早く、抜け出さないとな。この生活から。」






ノブハラ「そうですね。これからのお互いの目標を目指して頑張らないといけませんよね。」






にしま「・・・とりあえず俺は周りの協力があってな、就職にはありつけそうなんだよ。ベイジは実際のとこどうなの??」






ノブハラ「前の仕事が無くなった時・・・・・俺はもう一度死んだようなもんなんですよ。なのでもう破れかぶれですよ正直な話。与えられた事、出たとこ勝負でもなんでもかんでもやっていかないと、なかなか信頼は得られないと思います。なので俺はとにかく今の仕事です。今の仕事を確実にやって行く事で道は開けると思ってます。」






にしま「なるほどなぁ。素晴らしい、そりゃそうだな。先の事よりもまずは今だよな。」






ノブハラ「もう選べる立場じゃないんでね。もし今の環境に文句でも言おうものなら、どの立場でモノ言ってんだって怒られちゃいますよ(笑)」






にしま「学歴があって何かしらの資格を持っていて周りから引っ張りだこ・・・っていう・・・そういう人間でもないもんな。」






ノブハラ「兄貴はどうか分かりませんが、俺は学歴も資格も無いですが幸せです。兄貴と工場で出会えたので。これ以上ないくらい幸せです。」






にしま「そうだな。ベイジが居なかったらマジで工場勤務がつまんなくなるよ。お別れの時は盛大にやろうぜ。な♪」






ノブハラ「やりましょう♪・・・・上手く言い表せなんですが、俺達はもう、心のままにやるしかないんですよ。それしかもう残された道はありませんので。」






 ノブハラはこれから始まる何か、未来を見据えて、少し緊張しているように見えました。緊張していないかと言われたら、自分も少なからず緊張していましたが、ノブハラが言うように生きる居場所を選ぶ能力はもう自分にはありませんでした。






 これから先は何が起きても、自分で選んだ道です。全て自分に降りかかってくると思わなくてはいけません。陸の上で生きようが海の中で生きようが、それはその時に置かれている立場があるからであって、その環境について文句を言ってはいけません。






 家にまで来てくれて、こんな兄弟のように仲良くなった彼とは、この後暫く会えなくなってしまいますが、それも運命です。いつかまたどこかで出会った時に良い人生を送って来たと、道は違えどお互いに胸を張って話す事が出来るようにしっかりやっていくつもりです。






 ベイジ、達者でな。俺も頑張るよ。兄貴として悪いお手本にならないように頑張るからな。

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