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閃光

こちらは作者のエイルが運営しているブログで書いていたブログ版作品です。(ブログ版は小説家になろう専用で公開しています。)

エイルブログ → https://eirblog.com/


加筆版はKindleにて公開中です。

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監督「・・・・・・」





ちらっと、ナナイが監督の方を見ます。





「打て」のサインでした。





もう最後なのです。これ以外のサインはありません。





最終回で3点差を追いかける厳しい展開でした。





今回、かなり強いチームを相手にしています。それはもう充分全員が分かっています。でもまだ俺達の野球が出来ていないのです。





本日バーフィー以外からは1本もヒットが出ていません。こんな状態で簡単に引き下がるわけにはいきません。





ここで彼らに一矢報いなければ男ではありません。





掴んだら離さないくらいに、しがみつかないといけません。














コンッ!!!








ナナイは初球から意表を突くバントをしました。





3塁線に絶妙な打球が転がります。





相手のサードが捕球し、矢のような送球が一塁に向けて襲い掛かります。





こば「ナナイいけー---!!!」





ナナイ「おらぁぁ!!!」





ズサァーーーーーー!!!!





一塁に思い切りヘッドスライディングをするナナイ。





タイミング的に同時でした・・・・














審判「セーフ!!セーフ!!!!」





こばーずナイン「おっしゃぁぁぁ!!!」





タイミングはかなり微妙でしたが、バッターのナナイの気迫が勝りました。





ナナイ「こば!頼むぞ!!」





こば「よーし!こっからだ!!」





ナナイは自分の考えで、セーフティバントを選択しました。





恐らく右打ちのナナイに対して相手のサードが少し深めに守っていることを確認したからだと思われます。








「4番 ショート こばくん」





こばは屈伸し、ゆっくりと左打席に入ります。





深津「こばさん!!!こばさんのバッティングをやって下さい!!誰も文句言いませんから!!」





次の打順で構える後輩の深津が大声で叫びます。








正直、ナナイのように奇策を考えていました。





同期のバーフィーがこれまで「こばの野球で勝ってきた」と口癖のように言っていた事を思い出しました。





こば「そうか・・・・・そうだよなバーフィー・・・・。」





バーフィー「・・・・・・・」





短く持っていたバットを長く持ち直し、再び深呼吸するこば・・・・。








今更大して練習もしてない小手先の奇襲をランナーのナナイと共にかけた所で意味がありません。








ここは真っ向勝負!!そうだ・・・チームの4番が、堂々と相手ピッチャーと勝負して何が悪いんだ!!もし俺のバッティングで勝負しなければ、それこそ本当のチームの敗退だ!!








相手ピッチャーも必死です。この暑い中午前午後をたった一人で投げ続けています。タフガイで素晴らしい精神力を持ったピッチャーです。








厳しいコースを立て続けに決められてしまい、こばは2ストライクまで追い込まれました。





バーフィー「こば!!振れ!!振るんだ!!」





ベンチからバーフィーが叫びます。








ビューー--ン!!





生きているかのような球がこばのインコースに襲いかかります。





キィィーーーン!!!!





こば得意の引っ張り打球が勢いよく一塁線を転がります。





相手の長身のファースト選手が打球に飛びつきます。











こば「突き抜けろっ!!!!」








走りながらこばは叫びます。




















ビシッ!!!





一打席目とほぼ同じような打球でしたが、こばの3打席目の打球は相手ファーストのグラブを思い切り弾きました。








それを見たこばは叫びます!!





こば「な・・・ナナイ!!!まわれぇー---!!!!!」





こばの声を聞いた俊足のナナイは猛然と走ります。





ナナイ「・・・・・・」








5年前・・・・・。











こばの家の近所の公園で二人は会いました。





こば「見たことあると思ったら・・・ナナイくんって言うんだね。学校で話したこと無いよね。よろしくね。これから一緒に練習しよう。」





ナナイ「よろしくね。こばくんも野球してるんだね。」





こば「うん、でも近くに野球チームが無くてね。お父さんとよくここで練習してる。」





ナナイ「この辺は・・・そうだね・・・。僕のお父さんに聞いてみるよチームの事。」





こばはびっくりします。





こば「え?!ほんと?!・・・・・ありがとう・・・・。いつか僕達同じチームで一緒に野球が出来るといいね。」














深津「ナナイさん走れぇぇぇえ!!!!」


バーフィー「いけー!!!ナナイ!!」





ファールゾーンにボールが転がります。





スタートが早かったナナイは3塁を回りました。





こば(早っや・・・・・。)





ナナイ(最後まで同じチームで野球出来たな!!)








ズサーーーーー!!!!








こばのファースト強襲のヒットとナナイの超好走塁で1点を返しました。こばは相手の守備がもたつく間に2塁へ進塁しました。





汗だくで親指を立て、ホームベース上からこばの顔を見るナナイ。





ナナイと2人で相手の鉄壁守備を崩すことに成功しました。





ベンチは大盛り上がりでした。





バーフィー「さすがだ!!二人とも!!俺が見込んだ男達!!」





ナナイのバントヒット→こばのヒット→ナナイの好走塁でホーム生還





これまで様々な事が起きましたが、体感的には一瞬でした。





さっき監督が言っていた「一瞬」・・・・・。もしかしたらこの事を言っていたのでしょうか・・・・。





監督は微動だにしません。何故ならまだ1点、たった1点しか取っていないからです。





チームメイトで唯一、深津だけはその監督の気持ちが分かったようです。一喜一憂せず、再び気合を入れなおします。





「5番キャッチャー 深津君」





こば「深津!!コンパクトに行け!!球は来てるが、絶対お前なら打てる!!」





2塁ベースからこばが叫びます。





深津「・・・・・」





バットを握る拳に力が入ります・・・。














4か月前・・・・・・





野球の練習が終わり、こばとナナイ、深津の3人は帰り支度をしていました。





こば「今日も疲れたな。どこまで練習すれはいいんだろうな(笑)」


ナナイ「ほんとほんと。昨日の練習でパンツが破れてたよ(笑)凄くない?(笑)」


こば「それホントに野球で破れたの?(笑)」





先輩達2人は笑っていました。








深津にはどうしてもこの2人に言わなくてはいけないことがありました。





深津「こばさん、ナナイさん。」





2人「え?どうした?」





深津は震えながら、答えました。











深津「俺・・・・このチームを(こばーずを)辞めます。」





こばは持っていた麦茶を落としました・・・・・。





2人「・・・・は?!?!?!」





急に最愛の後輩がそんな事を言うのでビックリして顔の筋肉が全く動かなくなってしまいました。





こば「ななななな・・・・・なんで?・・・・」





深津「・・・勝てなくなるので。他地区のもっと強いチームに行きます。」





ナナイ「おいおい深津、勝てなくなるって・・・こばーずはまだこれまで地区も制覇してないチームだぜ?元々そんなに勝ててないチームなのに何言ってんだお前は(笑)」





深津「お二人とバーフィーさんを含め、もし今の先輩達が居なくなれば恐らく戦力は地区リーグで最下位レベルに転落します。なのでもぉ、あまり俺の中で・・・意味が無いのかなと思ってしまいました・・・。両親にも先日相談しました。」





ナナイ「マジかよ・・・。そんな大事な事・・・あまり大会前に言ってほしくなかったかなぁ俺的に・・・。なぁこば・・・・。」





こば「・・・・・・」





確かにこばはこれまで、沢山の後輩達を見てきましたが、この深津に於いては入団当初から群をぬいてセンスが良かったのです。早くから監督に見出されて4年生からベンチ入り。最初はキャッチャーではありませんでしたが、誰よりも早くスタメン出場した経験のある選手でした。











こば「最下位レベル・・・・深津がもし居るなら、最下位にはならんだろうなぁ。俺のようなムラがあるピッチャーでも、上手く引っ張っていってくれるから。というかな・・・・既に今現在のこのチームでも俺達じゃなく深津、お前が引っ張っているように俺は見えるんだけど、気のせいかな?」





深津「・・・・・・」











キィィィーーーン!!!!





深津「・・・・・」





こば「・・・・。」





深津が打った打球は・・・











少年野球用特設フェンスを軽々と越えていきました・・・。











バーフィー「マジか・・・・・」





ナナイ「ホームランだぁ!!!!」





わぁぁぁぁああああああ!!!!!!!





一瞬でした。





一瞬で同点・・・・・。





3-3





最終回で深津の値千金の同点ホームランが飛び出しました。








こば「大した奴だお前は!!こんな窮地の展開でお前は!!・・・・最高な奴だな!!どこへ行ってもお前はやれる!!絶対に必要とされるはずだ!!・・・」





こばは喜び深津に抱きつきます。まるで勝ったかのようにベンチは騒ぎます。








もぉこばさんと抱き合った時に感じた水気は、汗なのか或いは飲料なのか、なんの水分か分かりませんでしたが、恐らく涙でした・・・。








こばさんもナナイさんも、俺が他のチームに行くと言っても、一度もそれを引き止める事はありませんでした。薄情な奴だと言ってかなり怒られるかもしくは殴られるかと思ったのですが、2人共決して声を荒げる事はありませんでした。








打ち明けたその日以降もいつもと変わらず接してくれて、裏切り者と言われても仕方ない人間と共に全力で練習をしていました。もういくら俺に教えても、自分の傍に残らないのに、それなのにこばさんとナナイさんは・・・・・・。





毎日居残りで、俺にトスバッティングをあげ、打撃指導をしてくれました。





後輩である俺を育てようと、必死でやってくれました。チームが違うのはこの人達にとっては関係なく、1人の野球人として俺を育ててくれました。もうすぐ目の前から居なくなるのに・・・・・。








キーーン!!!!!











深津(・・・居なくなるのに!!!居なくなるから俺は!!先輩達に今、恩返ししないといけない!!!今すぐここで!!でないと俺は後悔しながら別のチームで野球を続けることになる!!!もう一回!!普段以上の力を出させて欲しい!!この人達の目の前で!!もう一度!!)








キャッチャーマスクを外し、勢いよく深津は立ち上がります。素早い動きで深いファールゾーンのフライに反応します。





監督「おっ・・・。」








タッタッタッタッタ!!!・・・・





こばは、いつもと違う深津に気付きます。





こば「!!!深津!!無理するなっ!!!!」














ズサーーー!!!!・・





・・・ガシャーン!!!!!








深津は飛びつき捕球しながら思い切りフェンスへ激突・・・。





全員「深津ー---!!!!」





これもまた一瞬の出来事なのでした・・・・・。



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作者のエイルはブログもやっております。

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