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左右非対称のウォーキング


 結論から言うと私は残念と添い寝した。



 

「ん、むうー……」


 残念は私のベッドで寝ていたのだ。てっきり寝床を荒らしに来たのだとばかり思っていた。いや実際荒らされたのだが。


 添い寝をしたといっても別に一夜の過ちとかはない。勿論ない。


 私の部屋のベッドは広く、掛け布団や枕など何から何まで奪って心地よく眠る残念の横で、寒さに震えながら、一切接触せずに横たわることができた。


 まあ、夜トイレに起きた時には抱きつかれていたのだが。


 そんな残念を振り払ってトイレに行った私だったが、深夜の城はどことなく恐怖を掻き立てるものだった。窓の外に人影のようなものが見えた気がしたり。あと曲がり角でメイドとぶつかった時は漏らすかと思った。


 月が眩しい。


 窓から見えた影のシルエットがどことなく残念に似ていたので、腹いせに呑気な寝顔に枕を叩きつけた。


「んごっ……」


 素晴らしい。

 

 

〜〜



「ん……ああ……おはよふせかひ」


 あの後、眠りにつくまでにあの残念メイドに抱きつかれた感触はあったのだが、朝にはいなくなっていた。あのなりでも一応メイドだ。早起きなのだろう。


 昨日と違う部屋の風景を眺める。朝の間違い探し脳トレーニングだ。

 

 まず一つ、乱雑に放置された枕。

 これは残念の形跡だ。まだ近くにいるだろう。彼女を捕えるには餌となるキショハンバーグが必要だ。いつか準備しておこう。


 二つ、ベッドの横の机に置かれた3つのクローシュ。

 これは今日の朝ごはんだろうか。相変わらず蒼く燃えている。あとで食べよう。


 そして三つ、クローシュの隣に置かれた木剣とメモらしきもの。

 これはなんだろうか。木剣はまあ見た通り木の剣で、疑問を持つところは無い。強いて言うなら私の部屋にあるという事実くらいか。

 ま、急遽客用の部屋にしただけで元が物置だったからここに置いてあるだけ、なんてことも……ないな。物置にこんなデカいベッドがあるわけない。ふかふかだし。


 問題はメモ書きだ。

 城下町で見たキモキモ文字が書かれておらず、絵だけということで、十中八九文字が読めない私宛てだろう。


 さて。このメモの図面、どうやら城の簡易的な地図になっているらしい。中庭に十字マークが描かれている。


 

 この城は地図で見ると下――方角がわからないため紙の下側と呼ぶことにした――の方に典型的なお伽話の城のような建物があり、その上側にカタカナの『コ』の空いている方を下にした感じの並びで、メイドや執事などが暮らす別棟がある、という構造になっているらしい。

 そしてその『縦向きコ』の内側が中庭だ。


 

 子供の落書きのように、描き殴られたように見えるが端々から描いた者の熱心さを伝えてくるこの絵……恐らくリアルーナちゃんが描いたのだろう。


 あと、余白に描かれた似顔絵が異常に上手かった。白髪混じりの美少女が剣を持っているイラストだ。私こんな可愛くないよ?

 モデルが私でなければ、漫画家の落書きとしてSNSに投稿されていても違和感なく見逃すだろう。違和感を見逃すだけであって絵はガン見するが。


 ……多分剣を持ってこいってことだろうな。


 昨日寝る前に脱いだ上着を着る。何者かの陰謀によってこぼさせられたシチューは奇跡的にかかっておらず、まだ普通に着れるくらいには綺麗だ。とはいえ汚れてるしそろそろ洗濯したいが。


 あと多分色々あるだろうし、王様にもらったそれっぽい服も羽織っていくことにした。


 最後に木剣を腰に下げて完璧……なのだが、うちの制服がお洒落すぎてアニメに出てくる騎士団とかの隊服みたいな格好になっている。

 学校に通っていた頃からコスプレみたいでちょっと恥ずかしいとは思っていたが、短いローブ……いや、ケープって言うんだったっけ? まあそんな感じのそれっぽい服や剣と組み合わさると本当にコスプレだ。可愛いとは思うが自分で着るのはちょっと……。


「あ、そういえばあったなこれ」


 しまった靴を取るために本棚の横のクローゼットを開けると、上着と一緒にもらった剣が立てかけてあった。

 それと、なんかお洒落さを醸し出す革のブーツが置いてある。

 


 ――そもそもこんなところにクローゼットなんてあっただろうか――



 

「ま、便利だしいっか!」


 

 元々履いていた靴は部屋に入る時に脱いで、そこら辺に置いておいたはずだったのだが、今はこのクローゼットの中に仕舞われている。


 少なくとも昨日の夜に部屋を出た時にこんなクローゼットはなかったと思う。こわい!!


 御託はいいとして、私はベルトの反対側に豪華剣を装備し、ブーツを履いて部屋を出た。私は学校とかで、必要かわからない物は取り敢えず持っていく派なのだ二刀流だかっこいい!


 あぶねー私が中学2年生男子だったら振り回してたー。


「ぐぐぐ……」

 

 今私は利き手で抜けるように右腰に木剣を装備しているのだが、豪華な方が重すぎて滅茶苦茶歩きにくい。今回は物理的にのみ重い。


 あと歩くたびに太ももに当たって痛い。スカートに丁度いいベルトが付いていたから適当に付けたんだけどそれが悪かったか。


「後で有識者に聞いてみようっと」


 私は盛大に転けた。

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