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謎だが美味いクッキング


 相変わらず手を引かれてされるがままに席に座る私。長机がとても長い。そりゃそうか、長い机と書いて長机なのだもの。


 なんて言うんだったっけ。上座? はまだ空席だ。ちなみに私はリアルーナちゃんの隣だ。好きなところに座っていいって言われた……ような気がするからとりあえず隣に座った。後悔はしていない。


「カイ ヤム、ルイ ガカ ソナフ プフ!」

「あ、うん。まじでそうねほんとにそう」


 リアルーナちゃんが何やら話しかけてくるが全くわからん。適当に返事するしかないのがもどか……しくはない。残念ながらストレスでしかない。


 ………………あ、知らない言語っていうのがね!? 流石に女の子に話しかけられてストレスとかではないからね!?!?


 心の中で失言して、心の中で必死に釈明する。とっても愚かー……。

 

 私がアホみたいに一喜一憂していると、突然食堂正面の扉が開かれる。

 強盗でも入ったかと思って見てみると、昨日見た王様と規律正しく並んだメイドだった。なんかの儀式みてえだ。

 

「あ、アサ! ゼ、ラアル!」

「リ、リアルーナ! アサ シル セ!」

 

 それを見て何やら反応するリアルーナちゃんとさらにそれに反応するパパ上さま。わからんけど身振り手振りを見るに親バカを感じた。


 なんで私は言葉の通じない異世界でバカ親をフィーリングしなきゃならないんだ。

 そんなことを考えたらもう終わりである。気にしないのが一番大事。


 私が悶々とグダグダときゃっきゃしているうちに、親バカパパ上様は一番豪華な席に座り、料理が運ばれてきていた。


「おー、いつの間に! 美味しそ……ちなみに何これ」


 運ばれた料理を見て愕然とする。それは元居た世界で見たどんな料理とも似ても似つかなかった。煮てる物ではあるのだろうが。


 毒々しくはないが紫の…………消しゴムみたいな形の何かが…………本のページみたいな形の海藻? から出た出汁?? で…………料理詳しくないのに無理するんじゃなかった。


 まあ兎に角美味しそうではある。それでいいのだ。早く食べてみたいなー。

 

「…………あ、そっか。いただきますとかそういう文化がないんだ」


 普通に癖で待っていたが、リアルーナちゃんたちはもう食べていた。


「それじゃいただきます、と……美味しい!」


 思ったよりうまーい! なんかコリコリしてるね。消しゴムっぽいやつの方は芋かな? ジャガイモと里芋を足して2で割らなかったみたいな味だ。美味美味。

 

「……」

「……」

 

 ……それにしてもこの世界は黙食が基本なのだろうか。空気が重い。なんと言うか、言っちゃ悪いんだけど……葬式みたい。親子仲は良さそうなんだけどやっぱり文化の違い的な……?


 と、考えたがもっと重大な違和感に気づく。

 

 この食卓には王妃、つまりリアルーナちゃんの母親がいないのである。そして何故今まで気づかなかったのか、私達の目の前の席には鏡が置いてあった。


「私が映らない鏡、ね」


 鏡は蒼く燃えて見えた。そして鏡に映らない私だ。初見なら取り乱していただろうが、今回はあまり驚かなかった。いや映っていないのだから初「見」ではないか。それを言うなら、私が映らない鏡なんて初見なら取り乱していた、の方が違和感がない。


 鏡に気づかなかったのは謎だが、母親がいないことに気づかなかったのはまだわかる。鏡に映るリアルーナちゃんの姿は、ちゃんと視認しなければ向かいに人が座っているように見えるのだ。初めて見る食材に気を取られすぎてたね。


 謎煮物を食べつつ、もう一度鏡を見てみる。なんの変哲もなく、前世と違う髪色の私が映って見えた。蒼い炎はまだ灯っている。


 そして、なんならこの椅子の背もたれ自体が鏡なことに気づく。片方だけでも誰かが座らなければ合わせ鏡になるのか。縁起が悪い食卓だ。一気にきな臭さが増した。私は訝しんだ。


 ……ダメだな。意思疎通が取れないのもあって、いやそれが主な原因で、疑心暗鬼になってしまってる。衣食住の後半二つの提供してくれた……いや『それっぽい服』も提供してくれたことだし、衣食住全てを提供してもらっているのに疑うのは流石にナンセンスすぎる。



 そうこうしてるうちに次の料理が運ばれてきた。お次はステーキと見受けられる。ぱっと見は普通のステーキだが、謎の木の実がトッピングされている。

 そしてこのステーキにはソースがかかっているのだが、そのステーキの色が奇妙だ。よく見ると、濃い茶色にうっすらとピンクのアクセントがかかっている。

 見た感じはソースに含まれる油?の成分がピンクっぽいのだが、このソース自体の色味という可能性もない。どちらにせよ甘そうだ。ステーキにかかっていいソースじゃないでしょ君。



〜〜



「ふあー食った食った。ごちそうさまでした」


 ステーキは美味かった。そしてそれから暫くして食事は終わった。


 食事の終わり際、リアルーナちゃんはパパ上に何やら話しかけていた。

 

「アサ……イサ ガカ……」

「リアルーナ……ルイ スルー ドードー。イサリ スルー ツロ」

「ゼル、コトノセ ガカ ゼ カキラ ライ ガキ!」

「…………」


 不安げなリアルーナを王が落ち着かせようとしている……ように見えたのだがリアルーナちゃんは途中、声を荒げていた。何故だろうか。そして王は沈黙するのみ。

 


 ……異世界転生ってさ、なんかもっとこう爽快感溢れるものじゃないの? 今の所謎と違和感しかないんですが?

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