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限界推理とミッシング


窓から差し込む陽光で目を覚ます。カレーの匂いがした。


「残念……」


 ちっさい机にクローシュが置いてある。

 これは残念でもなんでもない、嬉しいことなんだけど……、もうあいつが自分の呼び名って認識しちゃったから変えれないな……。


 残念本人は見当たらない。これこそ残念だ。


「さてと。はぁ〜……よし。頑張ろう、うん」


 顔を叩く。

 一回寝たらだいぶ整理がついたような気がする。気分はマシだ。残念メンタルセラピーを頼めば全快も夢じゃない気がする。割と自分でもびっくりするくらい気が楽だね。


 ふと、精神も異世界に適応しつつあるのかもしれない、と考えた。

 冷静に考えたら精神より言語が適応されるべきだったのでこれは間違いだ。マジで許せない。

 

 まあ何にせよ、住まわしてもらってる場所で殺人事件が起きたのだ。事件解決に協力するってのは宿泊費として当然の行いだろう。まあ、役に立てるかはわからないけどね!

 普通のJKが死体に耐性なんてあるわけないから多分普通に次見たらもっかい倒れちゃうもん。


 まあ……やれるだけ……やってみようか。無理のない範囲で冒険しよう。


 決意を新たにして、私は部屋のドアを開けた。


「きゃっ」


 悲鳴だ。目の前で。

 茶色の髪をした……まあ、隣の部屋のメイドっ子だ。かわいい。


「えっとー……驚かせてごめんなさい?」


 私はこういう時の対処が下手だった。

 

 だいたい私悪くないじゃん。人の顔見て萌えることはあれど、悲鳴を上げるなんてさ。

 

「ライ ジル……!」


 やっぱり意味のわからない言葉と共に去っていく隣人メイド。去り際に頭をブンブンと縦に振って謝意を表していたように感じる。


 私は『ライ ジル=謝罪?』とメモに記した。


「またね〜」


 私は元気な女の子なので手を大きく振って別れを惜しむのさ。


 ……ん?


「いや、あいつ事件の当事者じゃねーか!?」


 普通に寝ぼけてたわ。

 私は茶髪メイドを追って駆け出した。


 その時、廊下の角からヌッと人影が現れる。


「ベガ〜!」


 残念だ!!

 残念が廊下の角から現れた。こわい。


 いつもの気さくな挨拶である『ベガ』に適当に応えつつ、されど立ち止まりはせずに、ズンズンと廊下を走る私。小学校なら逮捕だぜ。いや、それはないだろう。


「残念〜、暇なら私と一緒に殺人事件を捜査しない?」


 私の走りながらの問いかけに、残念は徒歩で追いついてきながら頑張って言葉の意味を考えている。

 何? 何で追いついてきてるの……? 歩幅、歩幅が合ってないよ……?


 残念はしばらく眉間に皺を寄せてウンウンと唸ったのち、急に全てを諦めてパッと笑顔に染まった。

 胸の横でグッドサインを掲げた残念が言う。


「セ!」


 笑顔が怖かったが、協力してくれるならいいだろう。

 ふふふ、残念め、結構チョロい。


 ということで、私と残念は殺人現場に向かった。

 いや、茶髪メイドを探してたらいつの間にかついてたって言った方がいいか。私は別に気にしないけど残念は気にするかもしれないしね!

 私は気遣いができる女なのだ。



 〜〜



 殺人現場に到着した私たちを待ち受けていたのは国王らしき人とリアルーナちゃんだった。

 茶髪メイドは現場検証に協力しているらしい。

 

 それと、幸か不幸か、死体はすでに処理されたのか、ここには残っていなかった。安心はした。


 そして同時に、推理といっても言語がわからないので聞き込みはおろか、解決パートで犯人を追い詰めるのも出来ないことに気づいたけど、まあもう遅いでしょ。ここで再現を見て独自のルートで調べよう。ね、残念。

 私は残念の肩をポンポンと叩いた。


「?」


「いや、なんでもないよ……」


 言語どころかテレパシーでも使えないと伝わらなかったね?今のは。


 とにかく集中だ。当時の状況を思い出しながら茶髪メイドの再現を見てみよう。


 メイドはまずそこらへんを箒で掃く動作をした。

 次に悲鳴が聞こえたというジェスチャー。

 走って現場に着いて……何だ?何か言っている。残念、翻訳!


「ふふん」


 残念はない胸を張って私のペンを指差した。

 ……?


「あっ!!」


 茶髪メイドが大声をあげて私を指さす。

 ……え? はい? これなの!? これ!?

 はっ!? そういえばこれ犯罪十不徳ナイフみたいな感じだったわ!?


「いやいやいや!? こいつ! こいつが持ってきました!」


 私は必死に残念を指す。


「絶対! ぜぇーーーったい私に罪着せようとしてる!! そうだ! 思い返してみたら最初から怪しかったかもしれない!」


 茶髪メイドと国王らしき人、リアルーナちゃんが一斉に残念を見る。

 残念はブンブンと必死に首を横に振っている。


「ゼ! ゼ! ゼー!!」


 国王らしき人がニコッと笑った。

 リアルーナちゃんの手には二つの手錠が握られていた。

 私は『ゼ=否定』とメモに記した。

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