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凛と鳴る林檎


「おあよござまし」


 空気が清らか、爽やかな朝だ。当てにならない太陽から見るに、今はおそらく午前5時ごろだろうか。

 私が久しぶりに早起きしたのには理由がある。


「今日は探検だ!!」


 そう、探検!! 城をもう一度見て回りたいのだ。

 いや、特に深い考えがあるわけではないのだが……こう、流石に何もしない毎日が続くのは精神衛生上悪いのではないかと。

 引きこもってゲーム三昧の方がまだ良いのではないだろうか?

 最近のゲームの進化は凄まじいからね。ゲームは悪、健康や教育に悪い、と凝り固まった思想を過度に押し付けるような所謂毒親――まあ一概に毒親と言ってももっと多種多様な親がいるのだろうし、私が文句を言えた立場ではないのだが――は前時代的だと非難される世の中になっている。とはいえ、こういった子供の娯楽との付き合い方は日々議論されているのだが。

 

 ま、現代はよくフィクションで見かける「フルダイブ型VRゲーム」も、10年もしないうちに実現されるのではないか、と言われているくらいだ。これからもっと情報化社会は進んでゆくのだろう。未来、来てるぜ。


 まあ、私には関係のない話なのだが。


「でもVRゲームは本当にやってみたかったなー……」


 死後あるある、ちょっと経ってから未練が出てくる。






 おっと危ない。眠りにつくところだった。


「ベッドの上で考え事をするとすーぐ眠くなっちゃうんだから……」


 よいしょっ、と呟いて立ち上がると部屋の鏡に相変わらず制服姿な私の姿が目に映る。


「…………」


 上着は脱いでいるとはいえ、いや上着を脱いだところで気休めになるわけもないのだが、兎に角そろそろ着替えたい。それか洗濯。


「すんすん……まあ……明日でいいか。うん、今日は探検の日だし……」


 余談だが私は毎日2回お風呂に入っている。深夜に忍び込むのは最高だぜ。

 そして私は部屋を出てとりあえず右へ曲がった。


「こっちは中庭だっけ?」


 昨日食べきれなかったパンを処理しつつ歩いていく。

 ここは一度通ったことがある。確か兵士たちが訓練をしてて、あとガラスのリンゴが鳴っていた。シャリンシャリン、と風鈴のような音が心地よい。

 前々から思っていたがあのリンゴの木は作り物なのだろうか? だとするととても費用がかかっているのだろう。さすが王族。

 作り物じゃなくても凄いものはすごいんだけどね。


「いや、天然物の方が凄いかも……」


 まあ良い。今日は行ったことのないところに行く予定なのだから。

 朝早くとはいえ、やはりメイド数人とすれ違った。残念はいなかった。


 暫く朝焼けに照らされながら一本道を歩いて行くと、階段が見えてきた。どうやら上に繋がっているらしい。行くしかないでしょう。

 階段は螺旋状になっていた。それと天窓があるらしく、中庭と同じように眩い朝日が降り注いでいる。

 カツン、カツン、と音を立てて階段を登って行く。


「さすが王城、広いんだなー……」


 足音も独り言もよく響く。

 あー、あー、と声を出して遊ぶうちに上の階が見えてきた。

 ……やっとか。


「王城2階……」


 ゲームならそんな表記が出てきそうな雰囲気だ。

 絵画や壺などの芸術作品が多く配置されていた1階とは少し内装が異なり、2階は全体的にガラスの装飾が施されており、豪華で透き通った印象を受ける。

 もしかしてここは王族の部屋があったりするのだろうか。だとすると……見つかったら怒られるかもしれない……!


「そういえばここにもトイレはあるのかな?」


 ふと、そんな疑問が浮かぶ。

 メイドたちの部屋がある場所でさえあんなに豪華なトイレだったのだ。ここはどれほど豪華なのだろうか。純金だったりして……!!



 トイレはメイド棟の色違いだった。水色で可愛らしいがなんだか拍子抜けだった。

 


 兎に角、私はこの日夕方まで辺りを探索するつもりだった。

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