剣術指南とマジックリング
自分で作った言語の壁に絶賛苦しめられ中。次は絶対真っ当な会話ができる作品を作りたい……
「ベガ、コトノセー」
「ああうんそうねマジでおはよう……じゃなくてべが」
2、3回転げつつ廊下を歩いていた私だが、遂に人と出会ってしまった。のんびりとした緑髪のメイドだ。どうしようファンタジー髪色。取り敢えず挨拶したけど焼け石に水でしょ。
ま、ここは火に油を注ぐ前に退散するとしますか!
「そ、それじゃさいなら〜……」
メイドは手を振りかえしてくれた。
ふぅ……笑顔で見送ってくれて助かった。
いつまでもボディランゲージに頼って言葉から避けていちゃいけないなあ、と思いながら、ふと窓の外を眺める。
「綺麗だなー……」
中庭には相変わらずガラスのリンゴがなっている。朝日を反射して周りを照らす大きな木はとても神秘的だ。
そしてその木の下で剣を振る剣士たち。
おそらくあそこが目的地だろう……
「ぐへぇあ」
盛大に転ける私。
こちらをみる剣士たち。
「あ、どうも〜……」
〜〜
「コトハー!」
「おわっと、リアルーナちゃん様」
剣士たちと合流した後、飛びついてきたリアルーナちゃんを抱き止める。危うくまた転けるところだった。
「で、これは何をするんだろうか」
わざわざこんな剣を持って来させたんだ。何かいいことがなきゃ許せねえよ。
「ああ、ルイ ガカ コトノセ」
なんだか落ち着かず、周りを見渡していると謎のイケメンが声をかけてきた。
コトノセって言ったし私のことだろう。
ちなみにこいつはラベンダー色の髪の好青年といった感じだ。いかにもな好青年ー。
「カク オコ ガキ アー」
そう言うと、好青年は私についてくるように伝えてきた。
大人しくついて行っておこう。
そういえばさっきの緑髪メイドもそうだが、結構変な髪色の人を見かける気がする。基本は黒髪金髪茶髪とか常識的な髪色なんだけどなー。4割くらいがファンタジーだね。
「そのおかげで私も目立たなさそうだけど……」
そう、『異世界では黒髪は珍しい』とかあるのかと思ってたけどそんなことはなかった。まあ一房白髪はどうだかわからないけど。
「コトハ?」
「はっ、物思いに耽っていた」
思考を戻すと、私の目の前には的があった。的……?
さらにその隣にはカカシがある。
はて、中庭はこんなに広かったか。
そう思ったが、どうやらここはもう中庭ではないらしい。
城の敷地の真横? と言ったらいいのか。
太陽が城の天辺に重なり、影を作っていた。
「コトノセ、オコ ガキ ルイ ノ クイアセリ コ カフ クルアイス」
またもやぼーっとしていた私に何やら話しかけてくる好青年。
リアルーナさんの方を見る。
「コトハ! コトハ!」
私の名を呼んだ後、的に何かを投げる動作をし、それを繰り返すリアルーナ嬢。
……成程、魔法を撃つんだな。
「ああ、おーけーおーけーアイムファインセンキュー」
理解した旨を伝えるため、指でOKマークやグッドサインを送る私。
どうやら伝わったらしく、リアルーナ様や好青年をはじめとした剣士たちは少し下がっていった。
訂正。伝わったのは伝わったけど、どうやら私の言葉を『魔法を撃つから離れて』と解釈したようだ。
「とはいえなー……」
私魔法の打ち方なんて知らないよ。あの時はどうしたっけ?
うーん…………
「あ! 中指立てたっけ!」
そういえばあの時は盗賊に暴言を吐かれてイラついて叫んだんだっけ。やってみようか……
「しねーー!!!」
そう言って私が左手の中指を立てると、的は地を裂くような爆音と共に消し飛び、青い芝生は抉り取られた。
そこには剥き出しの荒地だけが残っている。
「……」
相変わらずすごい威力だ……
リアルーナちゃんは目を輝かせている。
剣士たちはドン引きだ。
……さて、ここはあのセリフの出番なのではないだろうか。
「私、なんかやっちゃいました?」
「……コトハ?」
リアルーナさんが不思議そうにこちらを覗き込んでいた。
さ、言葉もわからない相手に道具の力でイキっても仕方がない。気を取り直して気をききき直し取りき……
「こ、コトノセ ルイ……オレ ガカ?」
頭を抱える私に、困惑した表情で問いかけてくる好青年。
私が反動か何かで頭をやられたと思っているのだろうか。まあ実際そうかもしれないけど。
「か、カク ツギ ガカ カルギ コ……」
暫く沈黙が続いた後、好青年はカカシを指差してそう言った。その視線は私の顔と腰の剣を交互に行き来している。
……剣術か。わかんないね!!!
とりあえずカカシの前に立ち、木剣を構える。
とはいえ構えとか知らないから我流も我流だけど。
「えいやっ」
剣は私の手をすり抜けて空を舞った。
どうやら期待していたらしい剣士たちの視線が痛い。
「痛っ?!」
物理的に痛みを感じた!?
こてんっ、と剣が転がる。
どうやら吹き飛んだ木剣が私の頭の上に落ちてきたらしい。
「…………」
好青年は信じられないものを見るような目でこちらを見ている。
「コトハ……」
やめろリアルーナ。なんでそんな哀れなものを見るような目で私を見るんだ。
私は地に倒れ、リアルーナちゃんを見上げていた。
〜〜
その後、20分ほど手取り足取り教えてもらったのだが、吹き飛んだ木剣がちょうど口に入ったところで匙を投げられた。
奴らが投げたのは匙、私が投げたのは剣、投げものバトルなら私が必ず勝つだろう。
ちなみに。
私の惨状に興味を惹かれたらしく、体験を始めたリアルーナちゃんは、力不足ながらもカカシの頭に剣を叩きつけていた。
私は地に倒れ、リアルーナ様を見上げていた。
今更感ありますが、感想・アドバイス等頂けたらとても嬉しいです。その場で踊ります。




