第8話 そんなわけあるのかい?
ションボリとして、よろめきながら家に帰る。
まぼろし、だったのか?
それにしてはハッキリと覚えているし、彼女を助けようと引っ張った感触も残っている。
でも、考えてみたら、頭が地面に刺さってた時点で、すでにおかしかったのか?
白昼夢っていうの?
それかお化けとか?
まあ、なんにせよ、「きょうカノ」作戦失敗ってことで。
「はぁ~~~っ」
「どしたん?」
「ひゃッ!?」
いかん。
壮大なタメ息をついていたら、真後ろから突然、声をかけられて、思わず乙女チックに叫んでしまった。
あ、いるじゃん。
作戦「きょうカノ」はまだ、失敗ではなかった。
「待ち合わせ場所になんでいなかったの?」
「ちょっと散歩」
そっか、オレは学校に行っていたからいいけど、この子は日中、暇だったからどっかで時間を潰してくれていたのか。
「あれ、そういえば名前」
「名乗ってなかった? これは失礼つかまつった」
彼女は、どこでみたのか、歌舞伎っぽい決めのポーズで名乗った。
「私の名は~~、あ、マペと申すぅぅ~~ててん」
ちょっとめんどくさいけど。都会の子は、皆こんな感じなのか?
マペって、外国人? まあ、太陽って名前だからひとのことを言えないけど。
「それで、マぺ、さんはどこからきたの?」
「マぺでいいよ、私がきたのは宇宙」
「あ~そう、宇宙、あれね。夜空に瞬くお星さまをキラキラとしてて~」
「うんうん」
「月も最高。満月の夜なんてすごく眩しくて~」
「そうそう」
「って、そんなわけあるかーいッ!」