第4話 抜けた
誰だ?
ウージ畑の中から声がする。
女の子の声?
ガサガサと、さとうきびをかき分け声のした方向へ進む。
「おーい、そこの人間助けてくれーッ」
ウージの畑の中にミステリーサークルのみたいな小さな円形の広場ができていて、その真ん中で、地面に頭が刺さっているひとを発見した。
『ささっ』
「あ、逃げようとしてる? 頼む~~ッ」
なに、このひと……。
地面に頭が刺さるってなに?
古めかしい格好。授業で習った弥生時代とか女性が着ている服を身につけている。
この小さな島。島民、皆、知っているのに見たことがない。
この島で唯一の民宿に泊まっている島外の観光客かな?
にしても、頭が刺さっている説明はどうする? どういうこと。
「なんでも、いうことをひとつ聞くからお助けを~~ッ」
ちょっと泣き声になった。
とりあえず、頭が地中に刺さってるって、窒息でもされたら大変なので、抜け出すのを手伝う。
「いきますよー? さん、にー、いち」
「ふんーーーッ……ちょっとぉ」
「あっゴメン、さん、に、いち、ぜろといった後に引っ張ると思って」
「それでいいから早くしてくれーーッ」
「じゃあ、あらためて……さん、にー、いち、ぜろ、うおぉぉ」
『スポッ』
抜けた。