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自分を知りたい月陽まに  作者: 月陽まに
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ひみつその1 まにちゃん本当はお魚が大好き!

私の名前は月陽まに・・・らしい。

誕生日は11月28日・・・らしい。

好きな食べ物はレモンキャンディー、嫌いな食べ物はお魚さん・・・なぜかしっくりこない。

性別はメスで、黒い毛の獣の耳と手足がついてて、左肩の出てる変な形の黒いセーターを着ている。

いつか見た太陽のようなオレンジ色のミディアムヘアー、自分でも可愛いと思える程度には整った顔。

20年は付き合ってきたこの姿、カタチに私は20年間ずっと違和感を感じてきた。


・・・なんてミステリアスな前置きを書いたところでぴたりと手が止まる。

もーだれですか。

自分の事を掘り下げて小説っぽく書けば人気出るんじゃないかとか言った人は。

はい、私でーす。

時刻は深夜1時。飼い主も寝静まった静かな真夜中にカタカタとキーボードと向き合ってるのが私。


お月様の月に太陽の陽でつきひ、月陽まにです。


最近Vtuberとして活動を始めた新人ユーチューバーというのが私。

これ見てる人!

名前だけでも覚えて帰って!お願い!

そしてフォローして固定ツイートをいいねRTして!

ユーチューブもチャンネル登録して!


さてさて、前置きはこんなところにしておいて。

なぜこんなものを徒然かき出しているのかという話をしたいのです。

というのも冒頭のミステリアスっぽい?文章は決して嘘じゃないからなのです。

なんかずっと変な感じのまま気が付けば飼い主の家でぼーっと過ごしてたんだけど、たまーに襲う恐怖感のようなものの正体にずっと悩まされているのです。

今まではそれすら何となく程度の感覚で気にするほどでもなかったのだけど、Vtuberとして活動することを決めてからその正体が顔を出してきたのです。


まにちゃんは秘密がいっぱいあります。

ちょっとずつ公開していきますね。(ニコニコマーク)

その1

まにちゃん本当はお魚が大好き!


ある日私のツイッターアカウントから投稿されたそのツイート。

私のアカウントを使えるのは私と飼い主だけのはず。

私には覚えがない。

飼い主は絵文字なんて使えない。

乗っ取り?ヤダ怖い。

でもそのツイートから私は目が離せなかった。

私がお魚さん大好き?

いや嘘嘘。

ホント食べられないから。

何だったら生理的に受け付けないレベルで無理。

もっと言うのなら売ってる切ったやつを見るだけで吐き気がするからスーパーのお魚さんコーナーに近づけないんだよ私は。

だというのに・・・私はその正体不明の嘘ツイートを一晩中眺め続けていた。

知らない自分に出会ったような?違う。

やっと自分に出会ったような?違う。

自分でも良く分からない意味の分からない感情にグルグルしながらずっと画面とにらめっこをしていた。

奇しくもツイッターのフォロワーが100人を超えてこれからの活動にワクワクを感じていた真っ最中の出来事。

何か意味があるのかなぁ、なんて考えていたが当然私には全く分からなかった。

ちっちゃい時におふとんの中から見上げた天井が永遠と遠くなっていくような不安感をふと思い出す。

あー子供の頃こーいう不安な感じを覚えて飼い主によく泣きついてたなーと。

そんな感じで頭の中をぐるぐるさせながらじっと朝まで画面のツイートの絵文字とにらめっこをしていたんだけど、そうしてあれこれ考えた末に何を血迷ったのか、

「なんか小説っぽいな。よし、なろうに書いて有名小説家になろう」

と、書き出して即挫折したというのがここまでの経緯。

小説書ける人マジソンケーです。

リスペクトっす。

という訳でそのツイートについては分からない事だらけ。

下手にレスして怖い事になったら嫌だから放置することにしたのだけれど、かみ砕いたおかきが奥歯にみっしりと詰まったような不快感をしっかりと私に残したのでした。


翌朝、いつものように遅刻ギリギリに目覚めた飼い主を文字通り蹴飛ばしてお仕事に送りだす。

夜更かしした私は朝ごはんを食べると猛烈な眠気を感じて自分のおふとんの中に倒れこむ。

お気に入りのふわふわ羽毛布団を頭までかぶり真っ暗にして目を閉じると安心して眠れる。

そしてお昼ごはんの時間くらいにお腹が減って目が覚める。

目が覚める頃には眠る前の不安感はすっかり忘れてる。

よしいつもの感じ。

いつもの私。

特にお魚さんを好きになっている気はしない。

・・・うーんやっぱりだめだ。

気になる。

つけっぱなしのパソコンの画面をそろりと見に行くと今朝放置したままの画面にあのツイートが映りこんでいる。

とりあえずホラーなことにはなっていないとマウスをシャカシャカと動かす。

違う事があるとすれば通知の項目に青い数字のマークがついていることぐらい。

ボタンをクリックすると新しいフォロワーさんが増えていることが分かった。

100人達成のツイートにいいねしてくれてる人もいる。

今まで家の中でぼーっと過ごしていればいいだけだった私にとって見知らぬ誰かと繋がれたことはとっても新しい喜び。

もしかしたら私は色んな人と仲良くなって一緒にゲームしたり、一緒にアニメ見たり、感想を言い合ったり、どこかにお出かけできるかな、配信でいろんな人にちやほやしてもらえるかな。

(あわよくばそれでお金を稼いで飼い主を見返したり・・・)

これからも繋がりはきっと増えていく。増やしたい。

でもそれは今の私で良いのかな、私に違和感を感じる私でいいのかな。

100人のフォロワーさんにふさわしい私なのかな。

もっともっといっぱいいっぱい頑張るのは果たしてツイッターとユーチューブだけでいいのかな。

「・・・・あー、嫌だなー。やめよーかなー。でもなー。それなー。あれなー。」

自分の思い浮かんだアイデアに自分で返事をする。

確実に変な人だ。

いや人じゃないわ私。


夕方、時間通りに帰ってきた飼い主にそのアイデアを打ち明けた。

飼い主はかなり驚いていたが、あのツイートには触れないようにしつつ理由を話すと妙に納得して出かけて行った。

改めて帰ってきた飼い主の手には白い袋。

「・・・・あqwせdrftgyふじこlp;」

中から匂ったそれに嗚咽が止まらない。

ひとまず調理中は布団の中にもぐってやり過ごすことにして夕食が出来上がるのを待つ。

少しすると先ほどまでの生臭い香りが良い香りに変わった。

あれ、なんか懐かしいような気がする。

でも見るのが怖い。

おふとんの中から飼い主に形も分からないようにしてとお願いすると、

「了!」

とだけ答える飼い主。

あいつ、マンガの読み過ぎだ。

そこからしばらくして・・・いや、一時間もかかって夕食が出来たことを告げられる。

白いご飯。

インスタントのお味噌汁。

パックされた千切りのキャベツはどんぶりに雑に盛られてゴマのドレッシングがかかってる。

茹でられたウィンナーにはケチャップが添えられている。

ここまでがほぼいつもの夕食の様子。

そしてさらに一品私の目の前に小さらお皿にほんのちょっぴりだけ恐らくはお魚さんだったであろうオレンジ色っぽいようなピンク色っぽいような、元の形が分からないようにされたそれがいた。

「あーうわー、うわー、まじかー、えー、いやーうっそまじー?」

拒否反応から思わず目を背けてしまう。

行儀が悪い事は百も承知で食卓に肘をつき頭を抱え込んだ。

まじで?

食べるの?

これを?

いやいやいやいやいやいや。

もう見つけてからあたまがごっちゃごちゃです。

あー自分で言い出したことだけど後悔が凄い。

様子をみた飼い主が心配そうにこちらを見ていることに気づいた。

「やっぱやめとくか」

と差し出された手を慌ててさえぎる。

「飼い主。ここは・・・任せてもらおうか」

だめだ、こいつもアニメの見過ぎだ。

・・・お箸を手に取る。

意を決してそいつを凝視する。

・・・やっぱムリー。

凝視するとムリー。

誰かモザイクフィルターかけてー。

もうね、見た目分からなくなった分、ミンチにされたって事実が分かって逆にダメ。

あーあーあー。

どーしよ。

そんな私を見かねたのか飼い主が立ち上がり、寝室から何かを取ってきた。

「こんなのがあるんだが」

と渡されたのは目を隠すやつ。

何て言うんだっけというとアイマスクだと返ってきた。

そうそうそれ。

そしてその瞬間。


まにに電流走る

このローピン切りリーチ、これは無い・・・じゃない。


そう、このアイマスクがあればそれを凝視せずに食べられる。

「目、つぶればいいんじゃね」

冷静になって飼い主に言うが、手元がおぼつかなくてつい目を開いちゃうかもしれないだろ、と返されて納得する。

ではでは、とアイマスクのゴムを耳にかける。

私の場合獣耳の位置が人間の耳と位置が違うので若干つけずらいがかろうじて目元を覆うぐらいには装着することができた。

柔らかいはずのゴムがかなり引っ張っていたいけど一時的なら何とかなりそうだった。

パソコンの画面を思い出す。

私のプロフィール欄に表示されたフォロワー100の数字を思い出す。

たった100人。

でも飼い主と私の2から一気に増えて・・・えーと・・・10、20・・・50、そう50倍。

私にとっては大きな変化。

この100人に、まだこれからのたくさんの人たちと色んな楽しいを、色んな面白いを、心から楽しめるように。

飼い主に誘導されながら箸の先に何かか挟まるのを感じる。

正直吐き気がする。

それをぐっと抑え込んで。


そっと舌の上にそれを載せた。


「・・・ふっ、ぐすっ・・・うぐっ・・・ふえぇぇ・・・」

アイマスクの暗闇がびしょびしょになっていく。

大粒の涙が両方の目からボロボロと出てくる。

あわててアイマスクを外した飼い主はどう思っただろう。

私は、私は。

もう二度と、絶対に、お魚さんを食べまいと誓いながら。


その懐かしさすら感じるサーモンの美味しさをしっかりと味わったのだった。


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