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くノ一その一今のうち  作者: 大橋むつお
83/96

83『えいちゃんの不幸とそのいちの企み』

くノ一その一今のうち


83『えいちゃんの不幸とそのいちの企み』そのいち 





 風に飛ばされてしまいましたぁ(;゜Д゜)



 窓枠から解放してやったえいちゃんは、シワクチャになった全身の口のところだけ手で伸ばして説明した。


「あっという間に舞い上げられて、なんとか風を拾いながらここまで……」


「B国の城には戻れなかったの?」


「はい、風が一方通行で……」


「今の季節は高原から吹き下ろす南風だから、こっちに来るしか手が無いだろうが、何者なんだこれは?」


 アデリヤはえいちゃんとは初対面だ。


「実はね……」


 アハハハハ


 えいちゃんのあれこれを説明してやると、アデリヤは初めて年相応の少女の顔になって笑った。


「そんな面白いことがあるのか、さすがはアニメ大国日本だなぁ」


「ちょっと皴を伸ばしてあげるね……忍法スチームアイロン!」


 プシュー


 手のひらをアイロンにしてしわを伸ばしてやると、ホッと溜息をつくえいちゃん。


「しかし、こうやって前から見ている分には普通に見えるんだなあ」


「はい、いつか三次元の女優になれるように頑張っています! 監視哨の屋上では、ちゃんとアデリヤ王女に化けていたんですからね」


「え、影武者はドーカンがジープに載せていたのだけではなかったのか?」


「いろいろ手は打っております……そうだ!」


「……え、ええ!?」


 耳打ちすると目を剥くえいちゃん。


 しかし、女優魂に火が点いたようだ「ま、まかせてください( ๑•̀o•́๑ )!」と胸を叩いた。




 サマル王子は足取りも軽く宮殿の駐車場に向かうところだった。




 すぐにキャンプに戻るつもりだったが、せっかく宮殿に戻ったのだからと自室でアニメのソフトを選んでいたのだ。


――まあ、100本も持っていけば、当分宮殿には戻らなくてもいいだっちゃ(^▽^)――


 100本の中に虎柄ビキニの鬼娘の円盤も入っていて、これなら何度でも繰り返して観られる。


 サマルは国同士の付き合いなどどうでもよかった。王子の身分が保証され、好きなアニメが見られるなら独立国であろうが草原の国の属国であろうが頓着は無い。


 難民保護のポーズさえとっていれば、周囲の国々も悪いようにはしないと高をくくっている。




 ガッシャ!!




 門を出たところでジープが跳ねた。


「あ、おまえら!?」


 なんと、後部座席には都合よく捨てたと思ったアデリヤとメグリが乗っている。


「あそこから飛び乗ってきたのか!?」


「そうよサマル、この程度のスタント、アニメのキャラでなくったってできるんだっちゃ」


「ア、アデリヤ(;'∀')」


「このままA国との国境まで走ってください、サマル殿下」


 バックミラーに映る女忍者の目に一言も言い返せない皇太子であった。





☆彡 主な登場人物


風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち

風間 その子       風間そのの祖母(下忍)

百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち

鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫

忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん

徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔

服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一

十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者

多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下

杵間さん         帝国キネマ撮影所所長

えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手

豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟

ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)

アデリヤ         高原の国第一王女

サマル          B国皇太子 アデリヤの従兄


 

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