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くノ一その一今のうち  作者: 大橋むつお
79/96

79『国境警備司令ドーカン・2』

くノ一その一今のうち


79『国境警備司令ドーカン・2』そのいち 





 B国を繋ぎとめなければならん……



 指令室のモニター画面を操作しながら姫が呟く。


 カメラもモニターも高解像度の8K対応。屋上で身を晒して双眼鏡を覗くよりもよく見える。


 姫が国境警備隊に来ていることを示すのは敵を幻惑させる効果があるが、度が過ぎればピンポイントで狙撃されかねない。


 ここで銃弾なりミサイルが飛んできても簡単には特定できない。A・B両国も草原の国も旧ソ連製の武器を使っている。弾やミサイルからでは簡単には分からないのだ。


「ドーカン、B国に行きたい」


「なんですと?」


「サマル(B国の皇太子)は賢い奴だが気が弱い。過敏に反応してとんでもない行動に出る可能性が高い」


「行って、どうなさいます?」


「敵に与しないように説得する」


「無茶です」


「グズグズしていてはA・Bが連合して草原の国の露払いになる」


「危険すぎます」


「従兄妹同士だ、そう無茶はしないだろ。もし、わたしに万一のことがあったら、A・Bと諸共に喪に服せばいい。王族に不幸があれば一か月の喪に服するのが三国共通のルールだ。その間に対策を練ればいい、草原の国も喪中の国を攻めることはない」


「しかし」


「映画の撮影隊を呼んで平和志向のPRもしているが、国連の平和維持軍も引き上げてしまっているんだぞ。手を打たねば自滅する。自滅しては王族も国境警備も意味はないだろ」


「しかし、姫を窮地に置くことはできません」


「ドーカン、国が窮地に置かれているんだぞ」


「いかにも……硬く決意されたご様子、これ以上は申しますまい」


「すまん、無理を言う」


「しかし、やるからには最善を尽くさせていただきますぞ」


「頼むぞ」


「では、一時間の猶予を」


「おお」




 一時間かけてドーカン司令は、わたしとアデリア姫を送り出す準備にかかった。




「では、10分後に姫はご出発ください」


「おお、ドーカンこそ、無理をするなよ」


「出発します」


 ブロロン


 ドーカンが自ら運転するジープが走り去る。助手席には姫と同じ軍服を着た女性兵士が乗っている。


 走り出した先はA国との国境線。東京の地図で言えば、日暮里の駅前から線路に沿って池袋に向かって走るようなものだ。


 国境線ギリギリに走って、A国の様子を探るというポーズを見せる。


 基地司令と王女が乗っていることはすぐに分かる。近いところではA国の監視哨から200メートルほどのところを走るのだ。場合によっては狙撃されかねない。


 ドーカンは国境紛争での戦闘経験も豊富で、敵の姿が見えなくても撃たれる予感がするらしい。


「予感に従って躱していけばめったに当たりません」


 ということらしい。


 監視哨には、もう一人王女のダミーが立つ。


 王女の人相はデジタル化されて、AIが、その真贋を判断する。


 ジープの方は、走行中で激しく揺れるので瞬時の判断はAIでも困難だ。レイバンのサングラスをしているし、鼻から下は砂塵よけのマフラーを巻いている。


 監視哨の方は……おっと、時間になった。




 ペシ




 ラクダに鞭を当てると、姫とわたしはB国の都を目指した。




☆彡 主な登場人物


風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち

風間 その子       風間そのの祖母(下忍)

百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち

鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫

忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん

徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔

服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一

十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者

多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下

杵間さん         帝国キネマ撮影所所長

えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手

豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟

ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)

アデリア         高原の国第一王女


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