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くノ一その一今のうち  作者: 大橋むつお
68/96

68『一週間ぶりの登校』

くノ一その一今のうち


68『一週間ぶりの登校』そのいち 





 またまた一週間ぶりで学校に行く。



 いや……二週間ぶり。


 甲府から戻って一週間ぶりに学校に行こうとしたら、駅前のロータリーで拉致られるようにして大阪での任務。


 それも、またまた多田さん始め木下家にしてやられ、かなりの金塊が国外に持ち去られてしまった。


 

 昇降口で上履きに履き替える。


 下足のローファーを掴もうとして屈むと、通学カバンの中身がゴソリと寄れる。


 ゴソリの中にえいちゃんの気配はない。


 えいちゃんは帝国キネマの所属なので東京には来れないんだ。


 仕方がない、本来のわたしは鈴木豊臣家の姫、鈴木まあやの付き人でガードなんだ。


「よし!」


 小さく気合いを入れてローファーをロッカーにぶちこんで教室への階段を上がる。


 この一週間は、社長や嫁持ちさんがわたしに化けて登校してくれていた。


 一週間分の授業内容はスマホで送ってくれている。もともと大した成績じゃないし、ノートもとってもらってるし、なんとかなる。




 あ、そうそう、席替えしてたんだ。




 大阪に行ったあくる日に席替えが行われて、運よく窓側なんだけど一番前。


 ジミ子のわたしは窓側が好き。


 こないだまでは、窓側の四番目。ちょうど柱の陰になって具合が良かった。


 一番前というのはイマイチなんだけど、前にあるのは掲示板と掃除用具のロッカーだけだからまあまあ。


 スマホを出して、もう一度確認。


 よし、なんとかなるだろう。


 タップして消去。


 一時間目は英語だから、ちょっとだけ勉強。


 窓側の一番前というのは高い確率であてられる――○行目から▢行目まで読んで訳しなさい――ってね。


 きれいな訳はしなくていいけど、訳せずにオタオタするのはみっともない。


 スマホを辞書機能にして、一ページ分の訳にとりかかる。




「おはよう」




 声が掛かって、教科書に目を落としたまま「おはよ……」と応える。


「よかった、やっと本物に会えた」


 え…………え!?


 振り返ると、見たことも無い男子が後ろの席に座って、組んだ手の上に首を載せてニコニコしている。


 見たことが無いだけじゃない。紅毛碧眼の美少年!


「ぼく、ミヒャエル・ミュンツァー。三日前に転校してきたんだ」


「え、あ、あの……」


「よろしくね、風魔流当主風魔そのさん(๑´ڡ`๑)」


「あ、あ……」




 不覚にもゲシュタルト崩壊してしまった。


 


☆彡 主な登場人物


風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち

風間 その子       風間そのの祖母(下忍)

百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち

鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫

忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん

徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔

服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一

十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者

多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下

杵間さん         帝国キネマ撮影所所長

えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手

豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟

ミヒャエル        ?



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