暗い世界でも主人公になれない一人のモブの話。
僕は今、死のうとしている。
電車にわざと轢かれて死ぬ人間、首を吊り死ぬ人間、屋上から飛び降りて死ぬ人間。
これらの人間は迷惑のかかる死に方をしている人間だと僕は思っている、そしてそんな死に方は絶対に
してやるものか、と。考えていた
だけども、僕はこうして駅のホームに立っている、一番人に迷惑のかかる死に方を選ぼうとしている...
今、世界では、難病が流行っており。あらゆる人間が感染する可能性が非常に高い状態になっている。
そんな状況になり、政府も焦り緊急事態宣言が出る始末にもなってしまった。
そうして、一年がたった、いろいろな会社が倒産し、仕事を失う人があまりにも増える一方。
そういえば、お昼のニュース番組で司会の人が、「過去にもこういう出来事が起きていたのに、いったい国は何をしているんでしょうかね~!」と偉そうに言っていたのを思い出した。
昔の人はどうやって、こんな阿呆な状況を乗り越えたのだろうか。僕はあと一年余りで大学を卒業して、就職もしなければならないのに、こんな状況じゃ。「仕事なんてあるのだろうか」と不安になる。
幸い、今働いてる、アルバイトは。家からは遠いがつぶれる心配はない。しかしこれで、生活できるかと言ったらそんなことはない。
「ピピッピ」とタイマーが鳴る、こんな風に将来に悩んでいても時間は止まるわけではない、アルバイトの時間だ。準備をし、憂鬱に浸りながら、家のドアを開け、「いってきます」と返ってくるはずのない家に言い、鍵を閉める。
駅のホームにつき、電車が来るまで待っていようと、イヤホンをつけて音楽を聴いていると。今日も「それ」が来た。
「今日も来るのか...いやこういうときだからこそ来るのか?」
その感覚の正体は、正直言うと今の僕にはさっぱりわからない、でも人を死に脅かす、人身事故を起こす原因ではあるのかもしれないと考えている。
「それ」は、ホームのレールから這い上がってきて、僕の身体を蛇が木に巻き付くように僕の首元まで上がってくる。そして首を絞め、体の中に透けるように入ってきて。僕を一歩前にホームのレールに連れて逝くように、体を操ろうと。してくる
連れていかれそうになるが、僕はまだ死にたくはないし迷惑をかける死に方。ましてや一番迷惑のかかる、死に方だけはしたくないので必死に抵抗する。
そうして、数秒も満たないあと、僕の目の前を列車が通る。通り過ぎるころには、「それ」は消えている。
これが毎日起きる、迷惑極まりない話だ、それに。僕はいつか負けてしまうという確信もなぜかある。
だからこそ、早くどうにかしなければと電車に乗る時間をいつもよりずらしても、気分が上がる音楽を聴いたり、あらゆる対策をしても「それ」は必ず現れる。しかも一日経つにつれ、少しずつだが首元から上がってきているような気がする。
アルバイトより「それ」から逃れ、耐える、ほうがよっぽど疲れる。「まったくいい迷惑だよ...」とため息をほんの少しつき。電車に乗る、そうして、ドア付近の椅子を下ろし椅子に座る。
ジャズに近いロックとも言わないような、落ち着いた曲を聴き下を向いていると、前から不思議な空気を感じた。
僕とは違う、けれども僕と似ている空気を。
前にいたのは、電車のドアに体重を全部預けるように腰を掛けている小柄な少女だった。
僕よりも、3つほど年下なのかなとも思う見た目だった。
そして、彼女からは僕とは違うものを感じた。生きるというより、はっきりと未来が見えている。そんな風に感じた。
オーラといってもいいのかな、それを彼女から。微かだけれど、根強く感じた。
「あぁ、こういう人たちがこんな状況を打破していくようなことをするんだな。今までしてきたんだろうな。」
そう僕は思い、彼女から目が離せなくなった。視線を外そうとしても視線を外すことはできなかった。
幸い彼女は携帯を見ていたおかげで僕には気づいていないようだったが、気づいていたら僕はただの変態だっただろうな。
電車が止まった、どうやら彼女が降りる駅のようだった、彼女は携帯をズボンのポケットにしまい、足早に出て行った。そして意識が戻るかのようにパッと視線を動かせるようになる。
「あんな人もいるんだな、だけど僕には一生たどりつけない場所なんだろうな。」本物を見てより強くそう思った。けれど僕はもしかしたら、初めはあそこに近いところにいたのかもしれない。だからこそ似ている空気を感じたのかもしれない。そう僕は初めのころは、彼女たちのようになろうと
努力した。寝る暇も惜しみ、ひたすらに努力し続けた。けれど
最後に残ったものは虚無だった。
そこからすべてが駄目になった、やっていたこともできなくなり、お金も底を付き、友達も作ってこなかったせいで相談できる相手もいない。父や母にも話せず、アルバイトは家から遠いところでやっとのことで受かり、辞めることにお店が潰れてしまったら次はもうどこも受からないかもしれない。そんなどん底に近い状況だった。
「あの時、彼女を追いかけて声をかけていれば、僕はゲームに登場するようなモブから脱出できたのだろうか」
そう考えながら、僕は今日もホームに立つ、その時どこからか声が聞こえる。
「たとえ、お前が彼女に声をかけれたとしても何も言葉も話せずに終わるだけだ、お前は一生モブなんだよ。」そう、「何かが」どこからか呟いてくる
その通りだと思った、僕は声をかけても何も話せなかったと思う、だからこそ今が正解なのかもしれない。モブは見えないところで一生を終わる、生き返ることも、巻き戻しも。復活することもできない。
そうして僕は気づいた、あの声の正体は「それ」だった。確実に「それ」は成長していた。
僕を追い込み、乗っ取ることができるまで成長してしまった。そしてその時、僕は気づいた。あいつの正体は寿命であり死神に近い存在だったのではないかと、すべての人のそばに存在しており、終わりが近づいてる人間のそばに姿を現し終わりが近づくと主に成長していくものなのだと。
「首元まで来ていたこいつを止める方法はもうなかったんだな」と笑う。
僕はもう止まれないのだろう。もうすべてが遅かったのだ。
僕は今、死のうとしている。
人に一番迷惑のかかる死に方を、僕が一番取りたくなかった死に方を。
人生とはそんなものだと思った、そんなに甘いものではない、だけれど
「後悔はない、最高で最悪な人生だったよ。」
初めて、小説というものを書きます、果たしてこの作品がどのくらいの人間に読まれるかは私には想像できません、0人かもしれない100人かもしれない。
それにいろいろ文章言葉がおかしいかもしれない、君は小説を作るのに向いてないかと思う方もいるかもしれません、でもそれでも私は続けたいと思います。
もっとうまく私が憧れた小説家みたいに、皆さんに作品のすばらしさを伝えられたらなと思って書いた、初作です。(後書きを書くのちょっと楽しみにしてました。)ここの部分を読んでいるかわかりませんが、この作品は私の初めての作品で、私の出来事を軽くいじった話です。だいぶいじってしまいましたがね。読んでくださいありがとうございました。