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026 理

 ハクとなってから再び滅亡を回避して(さとる)が地球に誕生したのは、私が輪廻を始めて26回目の事だった。


 結果は失敗。


 理由はまたしても理と同じ年に柚希がいた事。


 理は私ではなく柚希を選んだ、私は柚希を絞殺して地球を輪廻した。




   ※ ※ ※ ※ ※




 次に理が生まれたのは479回目。


 結果は失敗、理由は同じく。


 今度は柚希を溺死させてまた輪廻する。




   ※ ※ ※ ※ ※




 1907回目、失敗。


 柚希を撲殺して輪廻。




   ※ ※ ※ ※ ※




 7321回目、失敗。


 柚希を斬殺して輪廻。




   ※ ※ ※ ※ ※




 28931回目、失敗。


 柚希を窒息死させて輪廻。




   ※ ※ ※ ※ ※




 90004回目、失敗。




   ※ ※ ※ ※ ※




 176845回目、失敗。




   ※ ※ ※ ※ ※



 3456704回目、失敗。




   ※ ※ ※ ※ ※




 何度も輪廻しても、必ず柚希が現れる。


 きっと次もそうなるに決まっている。


 ならばどうすれば……ああ、そうか。


 世界を無くせばいいんだ。


 地球だから私と理は結ばれないんだ。


 輪廻とはつまり、作り替えるということ。


 その本質を利用すれば、次の本質を壊せば。


 新たな世界を創り出せば。


 待っててね理。


 今からあなたのために、世界を破壊するから。




────そこで2人で、シアワセになろうね。




   ※ ※ ※ ※ ※




 「……え……」


 両手足は拘束され、身包みも全て剥がされ、儀式の準備があるとかで放置されてからどれほどの時間が経っただろうか。


 目を覚ました私、パトリシアは景色が眠る前と変わっていない事を確認する。


 「……はぁ……お腹空いた……」




 ……さっきの夢、何だろう。


 自分の事じゃないのは分かった、だったら誰の夢なんだろう。


 とても、苦しかった。


 何もかもが上手く行かなくて、全てが邪魔されて、純粋な気持ちは何一つ伝わらなくて。


 手が拘束されてるから、涙が拭えない。


 何度も死んだみたいな苦しみが全身に残っている、それが恐くて恐くて仕方ない。


 そうすると突然寂しくもなる、誰かの温もりに包まれたいと思えてきた。


 苦しい、寒い、恐い、恐い、恐い。


 誰か……私を──




 ────助けて……サトル……。




 「来たぜパトリシア!!」


 目の前の壁が外側から衝撃波により破壊され、外の光が差し込む。


 眩しさで1度目を逸らしてから、もう1度声のした方に顔を向ける。


 「……あ……あぅ……」


 「決まったな、1回やってみたかったんだよ」


 「分かるとも、男の夢だ」


 「僕は分かんないよ~?」


 「いや壊したの私なんだがな」


 止まりかけていた涙が、再び溢れ出す。


 どうせ助けに来てくれる、そんな信頼感があった。


 だけど不安に飲まれかけてた時にそれは、格好つけたくて言ったんだとしても……それは……タイムリー過ぎるよ……。


 「うっ……サトルぅ……」


 「うおっ、何でそんな泣いてんだよ、てっきり居眠りでもしてるものかと」


 「はっ!? は、はっは……はだはだだ……裸……」


 久しぶりにコミュ障を発動して顔を両手で覆うフィル、まあ確かに冷静なフリして俺も下半身が暴れ出しそうになってる。


 不謹慎かもしれないけどそうさせるほどこいつは実は魅力溢れるエルフなんだな、色々残念だけど。


 「フィルぅ……うぅ……あとの2人誰ぇ……」


 だよな、お前は初対面だもんな。


 「じゃあとりあえず外すか、鍵……はあるわけねぇな、誰か壊し──」


 すると突然天井から幾つもの扉の開かれたドアが俺たち目掛けて落ちてくる。


 「はあっ!!?」


 ドアに頭をぶつけはしなかったが、ドアの方から俺たちを入れてくる風に落下してくる。


 「っ……あれ……サトル……サトル!!?」


 ドアが落ち終わった頃には、俺たちはパトリシアの前から消え失せていた。




   ※ ※ ※ ※ ※




 「……まあドアって事はあんただよな……エリー王妃」


 「……母さん……」


 俺たち4人の前に現れたのは、いかにも悪役っぽい黒を基調としたドレス姿の、あろうことかエリー王妃だった。


 「最終決戦感すごいねサトル!」


 「え? そうなの?」


 「まあ、弱くは無さそうだな……」


 不敵な笑みを浮かべるエリー王妃──否、エリーはフィルを見て口を開ける。


 「……邪魔はさせないわ、フィルちゃん」


 「────」


 フィルは、何も言えなかった。

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