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50.

翌日も、前日と変わらぬいいお天気だった。

今日も朝からそれぞれの持ち場へと散っていく家族たちをそれぞれ見送って、しかし今日の私は昨日までと違ってもはやただの閑職の人ではなかった。

なんと言っても、前世の記憶を取り戻して初のマトモなお出かけの予定が入っているのだから。


今日のお出かけは、ご近所を車窓から見て回って少しだけお店が集中的に集まる繁華な地区を案内してもらい、帰って来るというプランだ。

正直なところツアー旅行で海外へ連れてってもらってももうちょっと自由じゃないかな、と思わないでもないけれど、貴族の令嬢が一人でウロウロするというのはあまり外聞のいい話ではないらしい。

この先も前世みたいに気楽にお買いもの、とはいかないようだ。

それをちょっとだけアルマに零したら、「お嬢様、ここは王都ですよ。領都もご存じないようなお嬢様が、迂闊に出歩けるような場所じゃないですからね!」と怒られてしまった。


そして、そばで私とアルマのやり取りを聞いていたエルメラちゃんがすかさず

「王都はっ!別に危険ってわけじゃないです!・・・でも、貴族のご令嬢がお出かけするような場所は限られてますね。ご友人主催のお茶会へお呼ばれするとか」

なんて言って反撃し、その言葉はアルマではなく私にぶっ刺さる結果に終わった。


「そう・・・主催のお茶会に招待してくれるご友人のいない私には百年早いってことね」


私の悲しい呟きにアルマはすっと視線を逸らし、がーちゃんはかわいそうな子を見る目でこちらを見ていたけれど私と目が合うと下を向いてしまい、そしてエルメラちゃんは自分の反撃が刺さった相手がアルマではなかったことを悟って蒼白になったのだった。


まぁそんな一連の誰も幸せにならないやり取りがあったわけですが。

本日この時、めでたく私は入れ子式の箱を脱するのよ。ついにね。


「ミザリー様、馬車が参りましたよ」


家族を見送って、私もすぐに出るからと玄関近くの応接でお茶を片手に待っていると、アルマが呼びに来てくれる。

残念ながら彼女はお留守番だけど、護衛兼務のミケーラがついてきてくれる。

昨日、廊下を掃除していた彼女が突然箒を抱きしめてぴょんぴょん跳ね始めるという場面に遭遇し、てっきり嫌な虫でもいて驚いているのかと思って近づいたら、私がいることに全く気付いていなかったらしい彼女はかわいそうなほど真っ赤になって、ものすごくしどろもどろに私とお出かけできるのが嬉しくて抑えきれなかった、なんてかわいい事を言うので、抱きしめたわよね。

そのミケーラの姿は見当たらないけれど、まさか急に行きたくなくなる、なんてことはないだろうし、先に玄関に行ってるのかしらね。


アルマの先導に従って(もう道はちゃんと覚えたんだけど念の為ね)玄関へ行くと、ルークもミケーラもまだ来ていないようだった。

大きく開け放たれた玄関から冷たい空気が入ってきており、屋敷内の温められた空気と熾烈な陣取り合戦をしているようだ。

あったかい部屋から急に外の空気の混じる場所に出てきたので、左肩に乗せたがーちゃんがぶるりと身震いをする。

目一杯に開口したドア越しに、小さな箱馬車が一台止まっているのが見えた。


「あら、これうちの馬車なのかしら?」


馬車自体珍しいので思わず外へ出て近寄って見てみると、大体車体にどーんと家紋なり入っているはずの所有者の目印らしきものが何も見当たらない。

小さいながら装飾が施されており、美しい馬車だったけれど所有者の手掛かりになりそうなものが何もない、というのは妙な話だった。


「いえ、これは貸し馬車ですね。こちらのお屋敷にあるのは3台で、今日は全部出払ってますから」


後ろにいたアルマが私の疑問に答えてくれたので、ついでにもう一つ聞いておく。


「貸してくれるのは馬車本体だけ?・・・馬がいないように見えるんだけど」


「ああ、それは」


アルマが私の疑問に答えをくれようとした時、後ろからアルマさぁん、とミケーラと思しき声で呼びかけられ、私とアルマは揃ってお屋敷を振り返った。

そこにはコートを何着か持ってもこもこになったミケーラが必死の表情で立っており、アルマが私に断りを入れたうえで、さっと彼女に手を貸すため行ってしまう。

ミケーラの姿が見えないと思ったら、どうやら私のコートを準備してくれていたようだ。

・・・待って。

家族のお見送りに屋敷を出入りした時に着てたケープをそのまま着てきたんだけど、ご近所ドライブはこれじゃダメ、って事なのかしら。

そしてあんなコート見たことないんだけど。

・・・作った?また作った?


ミケーラが持って来たコートが軒並み新しいことに気づき、一瞬それについて考えたものの、新作のコート(しかも数着)については思考放棄決定。

折角楽しいお出かけなのに、また私に必要以上に経費かけてると思うと、憂鬱になってしまう。

消費それ自体は、決して悪ではない。

経済を回す意味では、むしろいいことだろう。

けど今のところ生産性のない私に経費ばっかりかけるのはどうかと思う。

何も生みだしてないのに誰かが作った利益を消費だけするっていうのは褒められたこととは思えない。

この調子でいくと、一体将来どれだけのお仕事を要求されるのかしらね?

ミザリーにできるマックスと言うと、一時的に王子殿下の婚約者になることくらいなのよ?

その一瞬の婚約がミザリーが人生で一番輝いてた時期で、そこを過ぎたら後はもう鳴かず飛ばずと言うか、泣くし飛ぶし死ぬ。・・・蛍か。ミザリー、ひと夏輝いてすぐ死ぬ蛍なのか。

婚約が結婚になってそのまま永続したら全自動で王妃の実家にはある程度の忖度・・・ええと、言葉が悪い。“配慮”がなされるから領地に対して大きな利益になるし、十分仕事は成したことになるでしょうけど、万物は流転し、諸行は無常。

精々数年王子殿下の婚約者として輝いて、アンジェラが出たら放逐されるわけだから、その時にいかにして上手に王子殿下に罪悪感の首輪をつけられるかどうかが最大の焦点かしら。

頑張ってその程度なのに・・・それなのに幼少期からこんなに金品積み上げられると心苦しくなるわねぇ。


「こっちのお屋敷にもきっとあるのよね。着るものが無限増殖する部屋が」


とりあえず欺瞞(ぎまん)で現実を塗り固め、考えないで済むようにする。


「へぇ、さすが公爵様ですね。仕立て屋丸まる屋敷内にお抱えとは・・・」


一人で納得するがーちゃんを定位置に乗せたまま、馬車の前方―――本来であれば動力源にあたる馬がつながれている場所へ回って見てみるけれど、透明な馬がいないのであれば頸木(くびき)には何も繋がれていなかった。


「この馬車、どうやってここまで持って来たのかしらね?」


怪物ランドだし、あるいは透明の馬がいるのだろうか。

答えを期待したわけではなかった私の問いに、しかし予想外の答えが返ってきた。


「それでしたら、私が引いてまいりました。――――本日お供させていただく、グレンデールと申します」


カツカツと響く蹄の音。

大きな影が近寄ってきて、やがて視界に馬の前足が入ってくる。

足の先のほうだけ靴下を履いたように白く、靴下の上の本体の色は黒。

筋肉質ながらすらりと美しい脚を追って視線を上げていくと、紺色の馬着の切れ目から逞しい胸筋が見え、そこから馬首へと続くはずが。


「・・・ねぇがーちゃん?私の目がおかしくなったんでなければ、ケンタウロスがいるように見えるんだけど。幻よね?」


本来馬の首があるはずのその場所には、服を着た人間の上半身がくっついていた。

きちんとしたお仕着せのような紺のブレザーっぽい・・・ブレザーをファンタジーに浸して分解して再構築したみたいなやつをきっちりと着た、若々しい青年の上半身だ。

もちろん、馬の下肢、人間の上半身、そして首から上だけまた馬に戻るという事もなく、礼儀正しい笑みを浮かべて遥か高い位置からこちらを見おろしてくるのは20代初め頃に見える青年の顔。

青毛、と言うのかしらね、体と同じく黒い髪に、前髪がひと房白いのは、あれはいわゆる星、って奴かしら。


「俺の目にも見えますね、ケンタウロス。実体を伴ったやつなので安心してください」


がーちゃんが私が聞きたくなかったほうの答えをくれて、何をどう安心すればいいのか、現在迷子状態だ。


「実体を伴ったケンタウロスが馬車を引くの?そんなことをして彼らのプライドには障らないの?」


「ははは、プライドには障りませんよ。立派な仕事で、借主様にも喜んでいただけますからね」


がーちゃんへの問いかけに、ケンタウロス本人から返事が来てしまう。


「ええと、ごめんなさい?あなたのお仕事を(おとし)めたわけじゃないわ。みんなの仕事で世界が成り立ってるわけだから、どんなお仕事も等しく尊いもの。でもその、ケンタウロスと会うのは初めてで、本からの知識ではあなたたちが文字通り馬車馬を仕事にされてるなんて知りえなかったものだから」


ケンタウロスと言うと医術の祖、ケイロンよね。

でも一般的には割と血の気が多くてお酒が好き、みたいな種族だったはず。ただしこれは出典が前世の知識なので鵜呑みにするには大いに怪しい。


「お嬢様が初めて会うケンタウロスが私ですか・・・それは光栄。これでも我々の貸し馬車は大変好評頂いてるんですよ」


にこりと笑ってグレンデールと名乗ったケンタウロスがさらに私たちに近づいてきて、貸し馬車の扉を開けてくれる。

・・・正直、どんな気持ちになったらいいのかよく分からない気持ちだわ。


「ケンタウロスが引く馬車には御者がいらない。それに―――彼らは護衛としても優れる」


グレンデールの大きな体の向こうからルークが出てきて、彼らの貸し馬車が“評判”である理由を教えてくれる。


「馬の獣人も・・・御者はいらないけど、獣形で街道を走っていて賊に襲われたら、一旦姿を変える必要がある。―――馬のままでも強いけど、自分で頸木(くびき)は外せないから」


「ナルホド。その点ケンタウロスだと上半身の両手が使えるから自分で頸木を外して馬車から離れて戦える、と」


ルークの説明に私が理解を示すと、グレンデールが笑って頷く。


「それに我々は弓も得意ですから、馬車を引いて走りながら反撃することも可能です。そこまで求めるのは、馬人には少々酷でしょう?」


獣人、というくらいだから、人と獣とその中間の姿を取ることができるらしい。

中間というと、二足歩行する獣みたいな状態だ。

脳内で馬車を引く二足歩行の馬の図を想像してみたけど、なんか大八車引いて夜逃げしてる人みたいに両手で頸木を抱えて二本足で走る馬というシュールな図しか想像できず、確かにいくら馬人が馬より小回りが利いて馬の筋力で蹴りを繰り出せると言っても、馬の下肢を持ち人の両手も備えたケンタウロスのほうがはるかに自由度は高そうだ。

二足歩行の馬に弓を持たせてみようとするも、自分の両手・・・というか蹄を見ながら困った顔をしてる姿しか想像できなかった。

・・・ごめん、ごめんね。獣人領の娘としては、味方してあげたかったわ、馬人のみんな。

でも私の想像力にも限界があるのよ・・・!

自分たちの弓が持てない両手のデザインについては、造物主に文句言ってちょうだい。


「成程。確かに、とっても向いてるお仕事かもしれないわね」


脳内でケンタウロスに完敗した馬人が肩を落として泣くのを無視つつ一つ頷いて見せると、グレンデールがまたにこりと笑みを浮かべる。


「今日のルートは、打ち合わせ通りで」


私が納得したとみるや、ルークがグレンデールにそう声をかけ、どうやら玄関に着いたときに彼らの姿が見えなかったのはどのルートでどこへ行くかの詳細な打ち合わせをしていたからのようだった。

なら応接を使えばいいのに・・・と思わないでもなかったけど、ケンタウロスってどうやっておもてなしするのが正式なのかしらね?

そもそもサイズ感がおおむね馬だから、人用の応接に通しても・・・いや、いけるか。

うちの応接ただっ広いし、馬の一頭二頭余裕よね。

変わった種族のおもてなしの仕方については今度先生に聞いてみましょう。


「ミザリー様、こちらのコートにお着替えください」


ミケーラの応援に行っていたアルマが、一着のなにか高そうなコートを手にして戻ってきた。

どうやら私がケンタウロスにびっくりしたりなんかしている間に私をどう着せ替えるか相談し、選ばれなかったコートを片付けるという作業を終えていたらしい。

アルマの手にあるコートは、なんだかとっても不穏な感じだった。

白いシープスキンみたいな感じのヤツなんだけど、羊の革はまぁいいとして、襟首と袖口と裾にふわふわの異素材ファーがついている。

白地に黒い斑点が入ったファーで、なんかこう、ワシントン条約大丈夫かしら!!?と思ってしまうようなヤツだ。

これアレのアレじゃないわよね!?

大型のネコ科肉食獣で、寒いとこに住んでるやつの・・・捕まるじゃない、私。


「あ、あの・・・お気に召しませんでしたか?」


くい、とケープの裾が引かれ、酷く心配そうな表情のミケーラがおずおず問いかけてくるので、もう毛皮になっちゃったものは仕方ないと割り切ることにして、心の中でコートの材料になった動物たちに手を合わせる。羊と、モザイクがかかったネコ科の何かに。

それから心配げなミケーラに微笑みを返し、さっとケープを脱いでアルマが渡してくれたコートに着替えた。

ナニコレ軽っ!あったか!うわーぁ・・・一体おいくら・・・いや、やめよう。


私がケープを脱ぐタイミングに合わせてふわっと飛び上がったがーちゃんは、新しいコートの着心地確認が終わるころにそっと同じ場所に着地してくる。


「うわぁコレ・・・肌ざわりがすごくアレですね、ご主人。高そう・・・」


着地した時コートの革の肌触りに驚いたのか、慌てて足一本を持ち上げて片足で立ちつつがーちゃんが言うけれど、主従揃って高級品を前にすると語彙が貧弱になるわね。


「あっ!そうだ!アルマ、そっちの上着のポケットに紙が入ってないかしら?・・・そう、それよ、ありがとう」


折角メモして入れておいた紙を出すのを忘れて上着を替えてしまった。

すぐに思い出して、アルマが出してくれたそれを受け取ると、二つ折りの小さなそのメモを広げる。


「ねぇルーク、グレンデールさん、ここへ連れて行ってほしいんだけど、大丈夫かしら?もし今回の目的地から遠いようなら、次回父さんとお出かけするときに寄ってもらうことにするわ。無理にじゃなくていいから」


中のメモが見えるようにしてルークとグレンデールに差し出すと、てっきり引率保護者役のルークが受け取ってくれるものと思っていたら、馬の前足を折って視線の位置を下げたグレンデールが(うやうや)しく手を差し出してくるのでその手のひらに預けることにする。


「ああ、これなら商業区内ですから、寄り道と言うほどでもありませんね」


住所を一目見て、グレンデールがにこりと笑い、傍らのルークに確認すると頷きが返ってくる。


「そう、嬉しいわ。先生に頂いたお茶がおいしかったから、是非一度このお店にはお邪魔してみたかったのよ」


お誕生日に頂いたお茶がおいしくて、どちらのお店で求めたものか聞きだしておいたのだ。

王都って聞いたときは軽く絶望したけど、思いのほか早くに行くことができそうで嬉しい。

・・・あら、お小遣い、そういえば持ってなかった、わね。


「じゃ、そろそろ行こう」


私の肩を―――がーちゃんが乗ってないほうをポンと叩いて、ルークが身軽に馬車へと乗り込み、くるりと振り返って手を差し出してくれるので、その手を取って慎重にステップを上がる。

後ろにミケーラが控えており、万一私がステップを踏み外すなりして事故った時は受け止めてくれるつもりのようなので、絶対にドジは踏めない。

私一人痛い目に遭うだけなら全然問題ないけど、彼女の上に落ちるなんて許されないものね。


私が無事に客車へ上ると、ミケーラも続いてさっと乗ってくる。

普段もじもじしていることが多い彼女だけれど、護衛兼務というだけあって身のこなしが軽い。

馬車内はあまり広くなく、それでも進行方向に向いた二人掛けはゆったりとくつろげるような設えだった。

私を奥に座らせて、ドア側にはルークが陣取る。

ミケーラはと言うとドア口に四角いスツールが一つ載せてあり、一応座面は布地張りになっているもののそんなに快適そうには見えないそれにちょこんと腰掛ける。

進行方向に向いて座る私たちとは逆に、進行方向に背を向ける形だ。

造りを見るに、本来は二人をゆったり乗せるための馬車であるようだ。


「ね、ミケーラ。こっちへ来ない?私が詰めれば三人くらい座れると思うわ」


幸い私の体はまだ子供で、二人掛けとは言えゆったりした造りなのでミケーラと一緒に座ってもさほど窮屈さは感じないだろうと提案すると、ミケーラは一瞬驚いた顔をして、ぶんぶんと首を左右に振る。


「あの、私はその、ここがいいので」


「そう・・・?でも、お尻が痛くなる前に言うのよ?いつでもこっちに来たらいいから」


上の兄と彼女は使用人としてキチンと線引きしている部分があるので、譲れないポイントなのかもしれないと私のほうで妥協しておく。

するとミケーラは嬉しそうに笑って頷きを返してきた。


私たちから見て正面、進行方向には御者・・・というか動力源兼務だけど・・・とコミュニケーションをとるために小さな窓が切ってあり、ふさぐこともできるようカーテンが掛けてあったが、今は外の景色が見えるようになっている。

その小窓を見ているとグレンデールが本来なら馬を繋ぐ場所へ自ら入っていき、本来なら馬を繋ぐ馬具を自らの体につけているのが見えた。

・・・あー、なんかすごく変な気分だわ。

ケンタウロスが引く馬車、って。あー、なんで楽しいお出かけの日にいきなりファンタジーにぶん殴られないといけないのかしら。


「ご主人、大丈夫ですか?馬車苦手だったりします?」


視界半分に黒い鳥が入り、私を心配そうにのぞき込んでくるので笑ってごまかす。

ふと見れば、斜め前のミケーラと隣のルークも私のほうを見ている。


「いや、その、まさかケンタウロスに馬車を引いてもらうなんて考えもしなかったから・・・。なんか不思議な気分なの。馬ならまだしも意思の疎通ができる相手がこだわりなく馬の代わりを務めてくれる、っていうのが」


「ミザリー様は、あの、お優しいんですね」


何をどうしたらそうなるのか、ミケーラが頬を染めて嬉しそうに笑みながらそう言い、体調が悪いわけではないと理解したルークが、窓越しにこちらを振り返った御者兼馬へと頷いて見せると、恭しい笑みを浮かべたグレンデールからも頷きが返ってきて馬車がゆっくりと動き始めた。



評価・ブックマークありがとうございます。

倍量くらい書いてたんですが、1回の更新には長すぎるかと思って半分に切りました。(来週の更新は約束されている、という意味にとれますが、油断は禁物です)

初めてのお出かけを一緒に楽しんでいただけると幸いです。

来週は土曜、再来週は日曜更新予定です。

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