表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
再会という名の再開を。  作者: アキス
1/1

〜歌に乗せて紡ぐ物語〜

登場人物

少女 女A 煒那アキナ

悪魔 男B 藍哉アイヤ志那鳩シナハト

ゲン志鳥シトリ

紫龍シリュウ

兵士 商人


D.O


照明変化

女A「初めまして。今宵は皆様にお会いできて、大変嬉しゅうございます。…え?私ですか?私は一応皆様の案内を務めさせていただく者です。…そうですねぇ、皆様がお好きに呼んでくれて構いませんよ。あ、でもブスとそういうのはやめてくださいね。当たり前ですけど、人の心を傷付けるような呼び方は、いくら私が好きに呼んでも構わないと言ったからと言って、呼んでいいことではありませんから。…さて、本題に入りましょうかね。そろそろ、開幕といきたいのですが…私1人ではできないのです。もう1人、私と同じ案内者がいるのですが…本当、あのバカはどこへいったのでしょうかねぇ。」

照明変化 音響(御曹司 恋のMINAMOTO)

女A、音に気づき辺りをキョロキョロ。

客席から男Bと兵士が薔薇を持って登場。

なんか言いながら、薔薇を客に配っていく。

配り終えたら、兵士だけ客席からはけて男Bだけ舞台に上がる。

女A「うっわぁ、あそこに音響使ってまで派手に登場した挙句、客に引かれてるやつがいる。」

男B「ん?あ、あー、君か。悪いけど、今から5人の女性とデートのお約束があるんだよ。君に構ってる暇はないね。」

女A「へぇー…それは随分と、ご立派な事で。それに私は含まれているのかしらぁ?」

男B「もちろん!と、言いたいところだけど、生憎と僕が相手できるのは5人まで… 」

女A「こんなに堂々とした浮気初めて見た。」

男B「いくら、僕に構ってほしいからって欲張りは良くないよ。女Aさん。」

女A「お、お黙り、男B。一つ言うと、私ナルシスト野郎には興味がないの。あと、勝手に名前変えるな。」

男B「ナルシスト野郎なのか男Bなのか、名前統一してくれません?」

女A「そんなことはいいから!早く始めましょう?」

男B「あれ。もう、開幕のベルが鳴ったのかい?」

女A「もうとっくに。」

男B「気が早いねぇ。お客さんだって来たばっかりなんだから、もうちょっと、ゆっくりしてやればいいのに。」

女A「そんな悠長な事してられないわよ。私達の時間は限られているもの。」

男B「そうだね。…それでは始めるとしよう。」

女A・男Bの指パッチンで照明変化。

音響(じわじわくる音)

男B「さぁ!皆様、大変長らくお待たせ致しました。」

女A「舞台の閉幕を告げる合図が、ようやく鳴るようです。」

男B「長く続いたこの舞台に幕を閉じよう。」

女A「音のない舞台にエンディングロールを。」

男B「照明さん、準備はいいかーい?」

女A「音響さん、準備できてましてー?」

男B 「舞台の開幕だよー!」

女A「歌に紡いだ物語を。」

男B「さぁ、始めよう。」

女A・男B「「この舞台に終わらない祝福を。」」

照明変化 【学校シーン】

少女、机の中から本を取り出して読み出す。

悪魔登場。

悪魔「私をお呼びになりましたのは、貴女ですか?」

少女、振り返る。

悪魔「おや…あまり、驚かれないのですね。少し残念です。」

少女「…だって、貴方が来ることはわかっているもの。今更貴方を呼び出しておいて驚くなんておかしいことだわ。」

悪魔「確かに。…それで、貴女のような小さく可憐な少女が私に何の御用ですかな?」

少女、首を傾げる。

悪魔、狼狽える。

悪魔「えっ、呼んだん…ですよね?」

少女「はい。」

悪魔「貴女が?」

少女「はい。」

悪魔「で、では私に何の御用件で…?」

少女、再び首を傾げる。

悪魔、ずっこける。

悪魔「いやいやいやいや、おかしいでしょ!私を呼び出しておいて、この人なんの用もないなんて!!」

悪魔、客席に向かって訴える。

悪魔「大体っ、貴女私が誰かわかってます?」

少女「悪魔。」

音響(鈴の音)

悪魔、服を整えながら。

悪魔「そう…、わかっていらっしゃるじゃないですか。では、ここは悪魔らしく質問致しましょう。…貴女の願いは何ですか?」

少女、再び首を傾げる。

悪魔、ずっこける。

悪魔「あぁ、もうっ!何なんですか、貴女!!私のような悪魔を呼び出しておいて何の用も願いすらもないなんて…」

少女「あ、じゃあ部屋の掃除を…」

悪魔「自分でやれぇええええ」

悪魔、泣き出す。

少女、悪魔の背中をさする。

悪魔、少女の手を振り払う。

悪魔「慰めなんていりませんっ!こんな事は初めてです…っ!こんな…こんな屈辱…うっ、」

悪魔、さっきより激しく泣き出す。

少女、狼狽える。

悪魔「…とはいえ、呼び出された身です。ただ、何もせずに悪魔界へ帰ると言うのも…些か、不満です。」

悪魔、涙を拭い服装を整えながら立ち上がる。

悪魔「それに、このまま戻ったら仲間達になんて言われるか…。」

少女「大変ですね。」

悪魔「お前のせいだよぉおおおおおおおおおおお」

少女「私かっ!」

悪魔「そうだよ!お前だよ!!」

少女「ふむ…、私か。」

悪魔「何さっきまでの事無かったことにしようとしてるのぉ?」

少女「いや、別に無かったことにしようとしてるわけじゃ…」

悪魔、いじけながら。

悪魔「…じゃあ、何なんですか。」

少女「いや…まず、貴方本当に悪魔。なんですか?」

悪魔「そうですよ。」

少女「本当の本当に?」

悪魔「はい。」

少女「本当の本当の本当に?」

悪魔「そうですよ!何度も言わせないで下さい!」

少女「…そう、なんだ。」

悪魔「何ですか?」

少女「いや…まさか、本当に貴方が現れるとは思っていなかったので…。」

悪魔「え?」

少女「いやぁ…。」

悪魔「え?まさか貴女、面白半分とかで呼び出した…とかじゃありませんよね?」

少女「あぁっ、いや。」

悪魔「それだったら許しませんよっ、私はそういうのが大っ嫌いなんです。そういう奴らには痛み、苦しみ、屈辱等の制裁を加えさせてやりますです!」

悪魔、刀を抜く。

少女「いやいやいや、違いますよ。ただ…」

悪魔「ただ何ですか?」

少女「本に書いてあることが…本当だとは思わなくて……。」

悪魔「本?」

悪魔、机の上にある本を手に取る。

悪魔「あ?何ですか、これ。全然悪魔の召喚本でも、悪魔の召喚儀式本でもないじゃないですか。」

少女「召喚本と儀式本の違いがわかりません。」

悪魔「…ほぉ。」

悪魔、本をペラペラと捲る。

悪魔「…何故、貴女私を呼び出したんですか?」

少女「私が知りたいです。まず、私そのような物事に興味ありません。」

悪魔「本人の目の前で呼び出しておいてその反応かよっ!じゃあ、やっぱり面白半分じゃないですかっ!」

悪魔、刀を少女に向ける。

少女「だから、違う!」

悪魔「…では、何なんです。命乞いなら間に合いますよ。」

少女「おう、やんのか。」

少女、構える。

悪魔「やめときます。」

少女「諦めるの早っ!?」

悪魔「なんかもう、すでにやられそうなので。」

少女「おう、貶してんのか貶してないのか微妙なラインついてくんのやめろや。」

悪魔「とりあえず、何もせずには帰れないので何かありませんかねぇ〜?」

少女「あ、じゃあ部屋の掃除をお願いします。」

悪魔「それはご自分でどうぞ。」

少女「お腹空きました〜、お腹がグウグウです〜。」

悪魔「唾でも飲んでおきなさい。」

少女「信じられないくらい、何もしてくれないんですけどこの悪魔。」

悪魔「貴女がくだらないことばかり言うからですよ。他には何かないのですか?」

少女「他?そうですねぇ…。」

悪魔「何も無いとか言ったら殴りますy、」

少女「何も浮かばなかった。」

少女、はけようとする。

悪魔、それを阻止する。

悪魔「ちょちょちょちょ、ちょっとぉ〜?」

少女「ちょっとが多い。」

悪魔「誰のせいだよ。」

少女「誰のせいなんですか?」

悪魔「お前だよ!!!」

少女「私かぁ〜。」

悪魔「もう、この人わかってるでしょ。悪意すら感じられるようになったよ。」

少女「え〜…と、何の話でしたっけ?」

悪魔「老化が進んでるんじゃない?」

少女「あ、思い出した。」

悪魔「おっ?」

少女「えーと、何の話でしたっけ?」

悪魔「あ、何だっけ。」

少女「老化が進んでるんじゃない?」

悪魔「あ、な、た、だけには言われたくない!」

少女「願い…とか言いました?」

悪魔「願いと言いました。」

少女「叶える…とも言いました?」

悪魔「叶えると言いました。」

少女「何でも?」

悪魔「なぁーんでも!物でも、お金でも、権力でも!」

少女「…じゃあ、」

少女「やっぱり何もないですね〜。」

悪魔「何なんだよぉおお、ちょっと期待しちゃったじゃないかぁあああ!!」

悪魔、泣き出す。

少女「まぁ…、また思い浮かぶかもしれませんし?」

悪魔「グスン……もう、貴女に期待する事などありません…。」

少女「なら、お帰りください。お帰りの際は右側の扉から…」

悪魔「何ちゃっかり、帰そうとしてんの!?だから、このままでは帰れないんですよ!!」

少女「えぇ〜…、もう、めんどうだなぁ。」

悪魔「誰のせいだ。」

少女「私のせい。」

悪魔「わかっているじゃないですか。」

少女「お願いかぁ〜…」

悪魔「期待しませんからね!」

少女「上島竜兵的なノリですか?」

悪魔「違う。」

少女「そもそも、私願いなんてとっくの昔から叶ってるからいいんです。」

悪魔「えっ…、それじゃあ、私いらないじゃないですか…。」

少女「あぁ、そうですね。」

照明変化 音響(you)

悪魔「あなたは今どこにいますか。何をしていますか?…私はずっと探しています。」

少女「あなたは今生きていますか?幸せに暮らしていますか?…私、ずっと願っています。」

悪魔「約束…まだ果たせていないんです。」

少女「例え、何回生まれ変わったとしても。」

悪魔「例え嫌でも、私はあなたの事を。あなたは私の事を憶えているのでしょう。」

少女「例え、どれほどの奈落に落ちたとしても。」

悪魔「私は君のために何度でも這い上がる。」

少女「君が世界を憎むのなら、」

悪魔「君があの日を最悪と名付けるのなら、」

少女「私は何度でもリセットしよう。」

悪魔「何度でも願い続けよう。」

少女「連鎖してしまった悲しみを。」

悪魔「あの日言えなかった言葉を。」

少女・悪魔「「ッーー、待って!!」」

お互いに手を伸ばして交差する。

照明変化 音響(風で木の葉が擦れる音)

少女が机に座っている。

少女「私がここに縛られたのは、もう今から六年前。いや、…本当はもう10年くらい軽く過ぎているのかもしれない。それくらい同じ年月を繰り返してきました。誰かを待っているわけでもなく、ただただ、ここにずっといるのです。」

少女、椅子から降りて窓に向かう。

照明変化

少女「この窓から見える景色ももう、飽き飽き。窓から差し込む夕日も、吹き込むちょっと冷たい春の風も、教室のほこりっぽい匂いも全部…。ゴホッ、ゴホッ…ここで私は何を期待して待っているの…?」

悪魔「お呼びですか?」

少女「あら、もうお迎え?年齢的にはちょっと早いような気がするのだけれど。」

悪魔「まさか。十分、生きられたでしょう?」

少女「私はまだ12歳よ。」

悪魔「10年も生きられれば十分、色んな成長期があったでしょうに。胸とか、身長とか?」

少女「な、なんともデリカシーのない人ね!」

悪魔「人ではありませんし。」

少女「とりあえず、呼んだのは確かよ。さぁ、私をさっさと地獄でもなんでも送りなさい。こんな所はもう飽き飽きなのよ。」

悪魔「あなたがここから逃れられたらの話ですけどね。」

少女「……私、ずっとここにいなきゃいけないの?」

悪魔「まさか。」

少女「なら、」

悪魔「いきなり、呼び出しといて殺してください。なんて、都合がいいと思いません?」

少女「それは…まぁ。」

悪魔「そもそも、ここから逃れられるのなら死ぬ必要などないのでは?」

少女「…生きなきゃいけないの?」

悪魔「え?」

少女「生きてどうなるの…?死にたい奴が生きてどうなるの?相手を履き違えてる、死にたい奴は死ねばいいじゃない。生きていくだけ生きたい奴に失礼だと思わないの?自分自身の命を軽んじた奴に生きていく資格なんてとっくに失われたんだよ!何が楽しいの?あいつらの楽しそうにしている笑顔見てきて思った。…人ってさ、なんで笑えるの?人の嫌がる事して散々楽しそうに笑って、自分がされた時には泣いてお前が悪いんだって責め立てるだけじゃない。なら、初めから自分が嫌な事を人にやって楽しむなよ!結局はお前達もも同じじゃんか!!」

少女、走り去る。

悪魔「待っ…………僕はまだ…君に何もしてあげられていないのに…」

悪魔、拳を握りしめる。

悪魔「…ごめん。君を見つけるのが遅くなって…ごめん。」

照明変化 音響(you)【前世シーン】

煒那が椅子に座っている。

藍哉登場。

藍哉「失礼致します。」

煒那「どなた?」

藍哉「本日から姫様の執事をさせていただきます。藍哉。と申します。」

煒那「あい…や?」

藍哉、煒那の側に座り手をとる。

藍哉「私が命を懸けてあなたを守りましょう。」

煒那「…え」

藍哉「今宵から身の回りのお世話等、私がさせて頂くことになりました。どうぞなんなりと、お申し付けください。」

藍哉、一礼する。

煒那「……。」

藍哉「姫様?」

煒那「…姫なんて呼ばないで。煒那って呼んで。」

藍哉「分かりました。私だけは貴方の事を煒那と呼びましょう。」

煒那、微笑む。

藍哉「それでは、早速食事の準備をしてまいります。」

煒那「…藍哉?」

藍哉「はい。」

煒那「綺麗な耳飾りね。」

藍哉「え…あぁ、ありがとうございます。」

煒那「今時珍しい耳飾りだわ…。どこからかのお土産?」

藍哉「いえ、これは亡き両親の形見なんです。どこで作られたかは…。」

煒那「あ…ごめんなさい。」

藍哉「いえ。これは、代々受け継がれてきた、我が一族の証なんです。…呪いのようなものですよ。」

煒那「呪い…?」

藍哉「えぇ。この耳飾りに付いている鈴は忌わしい呪いのようなものです。」

煒那「…苦しいの?」

藍哉「いえ、そんな…。」

煒那「取れないの?」

藍哉「えぇ。」

煒那「…藍哉。」

藍哉「はい?」

煒那「片方の耳飾り。私にちょうだい。」

藍哉「は、はぁ。」

藍哉、片方の耳飾りを外して煒那に渡す。煒那付ける。

煒那「これで呪い半分ね。」

藍哉「あ、煒那様?」

煒那「従者が苦しむ姿は見たくないわ。それに、これで鈴の音が鳴る度に私を探し出す時に探しやすくなるでしょう?」

藍哉、微笑む。

藍哉「…そうですね。」

照明変化

煒那登場。

後に兵士登場。

兵士「姫様!こちらにおられましたか。」

煒那「あぁ…、何かしら。」

兵士「先ほどから執事が探しておりましたぞ。また、何かなさったのですか?」

煒那「まさか…何もしてないわ。ただ、勉強がつまらないから気分転換に外に出ただけよ。」

兵士「姫様、それは世間ではそれを脱走と言います。」

煒那「あら、私は殺人鬼でも盗人でもないわ。」

兵士「急いでお部屋に戻られた方が宜しいかと。」

煒那「いつまでもあいつの言いなりになんてなってやるものですか。」

兵士「また、お説教されますよ。」

煒那「怖くないわ。それに、あなたが守ってくれるでしょう?」

兵士「えぇ!?そんな、殺生な!」

兵士、めっちゃ嫌な顔しながら後ずさりする。

煒那「何でそんな露骨に嫌そうな顔するのよ!避けるな!あなたそれでも兵士なの?兵士なら剣で相手の手足の骨の5、6本折ってきなさいよ。」

兵士「剣って打撃武器だっけ。」

舞台袖からセリフ。

執事「煒那様〜!!」

煒那「あ、ほら。とっとと、やってしまいなさい!」

煒那、騎士の背中を押す。

兵士「え、ちょ、ちょっとぉ〜!?」

舞台袖から執事が走ってくる。入れ替わりに煒那走ってはける。

兵士咄嗟に執事の方に剣を抜き向ける。

執事登場。

執事「…何をしている。」

兵士「あ、あっあっあっ、いやぁ〜…こ、これはぁ〜…」

執事「なんだお前。」

兵士「いや、あの、これは、その、」

執事「いいから、そこをどきなさい!」

兵士剣を向けたまま執事を通させないようにディフェンスする。

執事「何なんだね!君まで煒那様の肩入れをする気か!」

兵士「えぇ〜っ!?そんな殺生なぁ〜…」

執事「えぇい!そこをどけぇい!!」

兵士「ぐぇほっ!?」

執事、兵士を蹴り倒して走っていく。

兵士「そんな理不尽なぁ〜…」

照明変化

煒那と藍哉がお互いに上下から走ってくる。

藍哉「煒那様!」

藍哉、煒那の腕を捕まえる。

煒那「ゲッ、先回りなんて、卑怯だわ!」

藍哉「それはあなたの足が遅いだけです。」

煒那「今若干、貶さなかった!?」

藍哉「それよりも、商人がお見えですよ。」

煒那「またあの商人?」

音響()

商人派手に登場。

商人「Hello everyone!Welcome to a my castle.」

藍哉「うん。ここ、お前の城じゃねぇけどな。むしろ、こっちがwelcomeだわ。」

煒那「相変わらずの馬鹿丸出しなのね。」

商人「ご無沙汰しております。姫様。」

商人、煒那の手を取って挨拶。

煒那「えぇ。貴方も元気そうでなにより。今宵は何を持ってきてくれたのかしら?」

商人「はい、本日はなんと…な、な、な、なんとっ!!」

商人、鞄の中から取り出す。

商人「こちらの品をお持ちいたしました!」

煒那「え〜と…それは?」

商人「はい、こちらは」







照明変化

藍哉登場。

藍哉「煒那様、お茶の準備ができ…」

煒那がいない。

藍哉「はぁ…17歳にもなってまだ逃走ですか。…ちっ、探しに行くか。」

行こうとしたところに走って兵士登場。

兵士「姫様!」

藍哉「どうしました?」

兵士「あ、藍哉殿!姫様は?」

藍哉「煒那様は今ご不在で……何かあったのですか?」

兵士「そ、それが、城の護衛が全員外で倒れて…、」

藍哉「なっ…!…煒那様!?」

藍哉、走っていく。

照明変化 音響(人が刺されて倒れる音)

舞台袖から台詞。

藍哉「煒那様!紫龍様!」

藍哉走ってくる。

煒那が紫龍を抱えて座り込んでいる。向かいにナイフを持った幻。

藍哉「し…りゅう……さま?ーッ、紫龍様!!」

幻がゆっくりと振り返る。

幻「あぁ…、やぁ、藍哉。久しぶり。」

藍哉「っ、煒那様!」

藍哉、煒那の元へ駆け寄ろうとするが、幻に剣で阻まれる。

藍哉「なっ、」

幻「ダメだよ〜、藍哉。せっかくの親子の最期の別れを邪魔したら…ね?」

藍哉「な、何を…っ、煒那様!」

藍哉、煒那に向かって手を差し伸べるが幻に阻まれて届かず。

煒那「あ…いや……おかしいの…」

藍哉「放せ、放せ幻!煒那様、速く屋敷へ!!」

煒那「……藍…哉、可笑しいの……どうして、父上はこんなに冷たいの…?」

幻「ねぇねぇ君、煒那って言うんだね。残念だったね、君が弱いからお父さん死んじゃったよ?君が弱いから藍哉が君の世話なんかしなきゃいけないんだよ?」

幻が話始めまた抵抗をし始めたがどうもならない。

藍哉「クッ、煒那様、いいですか!?こいつの言うことを信じないでください!幻っ、テメェ~いい加減放しやがれ!!」

幻「やだやだ、そしたら藍哉。あの子の元へいっちゃうでしょ?」

藍哉「てっめぇ、一体何のマネがあってこんな…っ、」

幻「君がいつもどっか行っちゃうからでしょ?」

藍哉「…は?」

幻「僕はもう、数百年も待ってたのに…。君ったら…。知ってる?人が生まれ変わるのって大体100年なんだよ?」

藍哉「何の話をしてやがる、てめぇ。」

幻「何?何って?君こそ何を言っているの?」

藍哉「ふざけてんじゃ…っ、」

幻「あー、もういいよ。んじゃ、さっさと終わらせてくるからさ。それで話が通じるでしょ。」

幻、煒那に向かって歩き出す。

煒那「ひっ、」

煒那、紫龍を抱きかかえたまま硬直する。

藍哉「おい、待て!」

藍哉、幻を止めようとする。

幻「黎司。」

突然、黎司が出てきて幻と藍哉の間に武器を持って立つ。

藍哉「なっ、お前…!」

幻「あぁ!黎司、殺しちゃあダメだよ?まだ藍哉には生きていてもらわなきゃ。」

幻、不敵な笑みをたたえながら煒那にナイフを突き付ける。

藍哉「おいっ、!」

藍哉、幻に掴みかかろうとするが黎司に阻まれる。

黎司「本当に何もわかっていないのだな。」

藍哉「はぁ?」

黎司「愚かな。」

藍哉「ちっ、どけ!」

藍哉、黎司を蹴るが黎司避けて藍哉に武器で攻撃する。

幻、煒那ナイフを突きつけたまま高みの見物。

戦闘シーンが続く。







突然幻が手を叩く。

幻「はいは〜い、そこまでね。それ以上何しても無駄みたいだし、今日のところは帰るよ。ちょ〜っと、予定外だったけど、大体は済んだし。」

幻、はけようとして立ち止まる。

幻「あぁ…そうそう。…またね、藍哉。」

幻、不敵な笑みを残してはけていく。黎司も一瞥してはけていく。

藍哉、立ち上がって煒那と紫龍に駆け寄る。

藍哉「煒那様!紫龍様っ!」

照明変化

藍哉「王が死んだ。すぐに王の葬式が行われたが、煒那様は1回も泣かなかった。何も映らない目とまるで陶石のように白いその横顔を…ずっと傍にいた俺は何もする事ができなかった。その真実はたちまちに町に広がり、庶民の不安を駆り立てた。もっと、俺が早く駆けつけていれば…っ。」

照明変化

煒那登場。

煒那「……藍哉?」

藍哉「煒那様。」

煒那「藍哉…あなたが責めることは…ないわ。」

藍哉「…っしかし、」

煒那「もう過ぎてしまった事をいくら悔やんでも仕方が無い…。私は次の王の座につきます。」

藍哉「煒那様…。」

煒那「藍哉。…これからも、支えてくれますか?」

藍哉「…っ、もちろんです。」

煒那、微笑んではけようとする。

藍哉「煒那様。」

煒那、立ち止まり振り返る。

藍哉「…あなた様が責めることも…ありません。」

照明変化

煒那「次の日、私が王の座につく事が国中に伝わられた。召使い達や民衆の中には、喜ばしくする者や、不安に思う者もいた。私が父上のように立派に出来るとも思えない。…でも、私がやらなくちゃいけない。父上が起こしたこの国を…終わらせるわけにはいかない…。だから、」

照明変化

藍哉登場。

藍哉「煒那様。」

煒那「藍哉…。」

藍哉「煒那様…何かあるならば、お話下さいませ。」

煒那「何を話すの?」

藍哉「煒那様がお悩みでは」





照明変化 音響(火事の音)

火事が起こっている。

舞台袖から執事走って登場。

執事「煒那様ー!!」

執事、姫を探す。

執事「煒那様ー!!…ちっ、何故ここまで火の手が回っているのだ!煒那様、煒那様を探さなければ…っ!」

舞台袖から台詞。

幻「呼んだ?藍哉。」

幻登場。

藍哉「幻…っ!お前っ、」

幻「君の主がもう20歳になるんだってね。…ささやかな贈り物は喜んでもらえたかなぁ?良かったね、これで大好きなお父様と一緒にいられるんだからさ。」

藍哉「お前っ、」

幻「あぁ、君の主の…名前なんだっけ?忘れちゃったぁ。あぁ!でも、顔は覚えているよ。あの時の絶望に満たされた顔は…今でも忘れてないよ。」

幻、笑う。

藍哉「っ、てめぇっ!」

藍哉、殴りかかる。

幻、すんなりと避ける。

幻「どうしたの?戦闘部族志那鳩家の頭首の力はそんなもの?」








照明変化 音響(外で風で木の葉が擦れる音)

少女、学生制服を着て登場。机の上に座っている。

少女「あれから成長した私は、未だにこの地に囚われています。きっと私は永遠にここで時を刻む。そして、誰にも見つけられずに歳をとって、人生の終わりを迎えるでしょう。…そう、誰にも。」

少女、ふと窓の方へ視線をやる。

照明変化

少女、着替えにはける。

客席から兵士と紫龍が歌い始めながら登場。「虹」歌い出す。

舞台袖からそれぞれ悪魔と少女が着替えて歌いながら登場。

歌い終わったら、客席から兵士と紫龍ははけていく。

少女「ありがとう……ずっと、隣にいてくれたんだね…。」

悪魔「だって、僕は君の執事だからね。」

少女「やっぱり、あなたがいないと世界がつまらないわ。」

悪魔「君に誓ったあの日から、あなたの世界で生きると決めました。」

少女「私、わがままだわ。」

悪魔「はい、あなたはわがままです。でも、人一番他人の事を考えられる優しい人です。」

少女「あなたも優しい人よ。」

悪魔「あなたのその涙で濡れながらもひたすら前を見据える真っ直ぐな目が好きです。あなたは私の王にふさわしい。」

少女「あなたのその放っておいてくれない性格には呆れたわ。」

悪魔「それでも、あなたのその小さいのに凛とした大きな背中が好きです。…これからもあなたの後ろであなたを支えさせてください。」

少女「あなたのその口からこぼれる柔らかくて力強い言葉が好きです。これからも…私の隣にいてください。」

悪魔「もちろんです。…私の姫様。」

少女「…私の執事さん。」

照明変化

悪魔「人は生きる糧がないと生きていけない。それは誰しもが同じこと。」

少女「あなたが今生きている糧は何ですか?」

悪魔「生きている人へ。どうか、糧を見失わないで。」

少女「悲しむ人がこの世界にいるから。」

悪魔「じゃあ、あそこにいる男性が死んだら」

少女「悲しいわ。」

悪魔「他人なのに?」

少女「他人でも、震災で亡くなった人達、戦争で亡くなった多くの生命が急に突然なくなったら悲しいでしょう?」

悪魔「うーん……ま、まぁ。」

少女「まあ、悲しむ人は私だけでもいいわ。悲しむ人が多くなったら、今度は亡くなった人が悲しむもの。」

悪魔「…君は神様か何か?」

少女「あら、別に神様面とか仏様面してるわけじゃないわ。ただ…命が自然の原理でなくならないのは悲しい…。そう思うのよ。」

悪魔「ふーん…。じゃあ、私が死んだら?」

少女「あら、あなたが死んだら私は悲しいわ。」

悪魔「…まぁ、そりゃあね…。」

少女「なぁに?」

悪魔「な、なんでもないよ!」

少女「ふふふ……。」

少女「…ねぇ、」

悪魔「何?」

少女「どれほどの生まれ変わりを繰り返して、隣にあなたがいなくても…私は…」

悪魔「信じて。」

少女「え?」

悪魔「僕を信じて。生まれ変わってお互いにお互いの事を覚えていなくても、この魂が覚えているから…。自分の言葉を。…自分を信じて。」

悪魔と少女がお互いに離れていく。

少女「…うん。私も、きっとあなたを探すから…!私が何も覚えていなくても、この魂に刻まれたあなたとの思い出が、記憶が、夢の中であなたの事を思い描く。だから、私と出逢った時の事、ずっと、ずっと…忘れないで!」

照明変化 音響(大切なものに)

少女が舞台の上で寝ている。ふと、目が覚めて起き上がる。辺りをキョロキョロする。突然、頭に痛みを覚えて頭を押える。でもなにもない。少女、はけていく。

照明変化 音響(雨の音)

悪魔傘を持って登場。雨が降っている。

悪魔「……ずっと…、ずっと君を探しているけれど…君が誰だか、僕にはわからない。君なら覚えているだろうか。」

悪魔、寂しそうにはけていく。

照明変化

少女、カバンと制服を着て登場。

少女「いつも夢で見るあなた。目が覚めるといつも忘れてしまうけれど…、それでも、どこの誰だかわからないあなたがいつも傍にいてくれている気がするの。…今日は会えるかしら…いってきます。」

照明変化

少女、「大切なものに」歌い出す。

悪魔歌いながら登場。

2人が出逢う。

照明変化

音響(ゆず「虹」)

男B「…終わったね。」

女A「…終わったわね。」

男B、手を叩く。

男B「さぁ、これでこの舞台はお終いです。」

女A「閉じた幕の向こう側で今度はどんな物語が繰り広げられるのか、楽しみですね。」

男B「1人の優しいお姫様と」

女A「1人の優しい執事」

男B「2人は転生を繰り返す。何度でも、何度でも…お互いが出逢うために。」

女A「そして再会という名の再開を果たす。」

男B「じゃあ…、行こうか。」

男B、手を差し出す。

女A「えぇ。」

女A、男Bの手を取る。

しばらくして、お互いに手を離して背中合わせに歩き出す。

照明変化

女Aと男Bが仲良さげに眠っている。


~END~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ