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ある村での一コマ、2017  作者: テク 夢宇
1/2

博物館にて

 ニュールンベールクにマインハーベストと呼ばれる村がある。


 ここにドワーフが造ったとされるゴーレムが発掘され話題になった。


 身長が1M程度、茶色で何気に緑色に光る不思議な金属?の様な石で出来ており、

人が触ると何気に反応する(温もりを返す?)。

 そうこうして、いじり回してうちに動き出したのである。


 "意思有る人形?"

 世界的に知れ渡るニュースになったが飽きられるのも早く、私が旅先で見に行こうとした時には

博物館の片隅のガラスケースで(逃げ出さないように?)鎖につながれて鎮座していた。


 見世物にするには動作がゆっくりし過ぎて現代の興行師が匙を投げたということか...。


 数億の人に触られ続け、こすられ続けてすり減らす部分が出てくるに至って管理する当局も

"まずいんじゃネエ?"

と感じたらしく規制を掛けた。

人気が落ち目のところに規制を掛け、更に人気を落とす状態になり一気に人気が下火になった。

まあ、"飽きられた"というトコだ。


 鎖につながれた彼(彼女?)はじっと正面を見るだけになり、造り物の人形(ある意味本来の姿に戻った?)

となると珍しさも薄れ今では過去の一コマになった。


 (これで良かったのかもしれないな)

 ゴーレムの前に立ち説明文を読み、ガラス越しに無言で見つめた。


 古き道具に神が宿ると言う伝承を持つわが国なら、重要文化財としてどこぞの

寺社の奥深く祀られたり、博物館の人目のつかぬ倉庫に押し込まれ、レプリカが展示場に

登場するのであろうが、彼の地では実物を国民に触れさせる快挙を成した。

わが国では成しえない成果だ。

只の人気取りでもここまでのサービス精神は発揮できない。


 ゴーレムには迷惑だろうが道具として良い働きだった。近いうちにバラされ晒すのだろうが

、このままという選択もあるかもしれない。


 説明文によると解体マニアが群がる中で、修復の是非(稼動しなくなったら治せるか)が問題になり、

当局が待ったをかけた。

ナイスな判断だ。製品を分解し、治せるのは中身が解っていて理解している場合が多い。

コピー大国を称し(起源はわが国にある、とか豪語)、ひたすら他国の製品のパクリを続けたが、

元の製品の粗悪品を作るのみで一向に進化せず、次第に国自体が退化していった。


 壮大な実例がある以上、当局は首を縦に振らず、X線、MR(磁気)解析と一部を削って成分分析のみを

行った。


 結局、何も解らず(中身はからっぽ。素材はこの地方のありふれた石)、

"解らないことが分かった"という結論になった。


 部外者には有り難い結果となり部外者の一人である自分も嬉しかった。


 解らないものは分からないから価値がある。この思考は一部真実だと思う。


 説明文曰く、

「....反応を返したゴーレムでしたが、****年**月**日発掘後一週間で動かなくなり

今に至っています。電池切れでしょうか?中身のない石くれが動いたのはなぜでしょうか?

現在は発掘地での更なる発見を期待しているのですが、関連性のあるものが出土せずこの点でも

"解らないこと"が分かってきました。....」


(謎の多い乙女かい!)

単なる謎を神秘的と持ち上げるのはサーカスの興行的なノリか。なんか

ゴーレムが哀れでもある。

 この精神無かりせばとっくにバラバラにされていただろう。

歴史ある国の底力を垣間見るようだ。

 彼の大国ならバラバラにし元に戻せないと嘆き、他国に損害賠償を請求するだろう。


 ゴーレムの目?は一個で瞼が閉じているように見える。

動的で今にも動き出しそうなのが妙にチャーミングだ。

(ポイント+1だ)

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