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転生少女


思い付いたら、止まらなくなりまして、短編のつもりで書き始めましたが、長くなりすぎましたので区切りながら更新します!


†転生少女

†ジオお兄様

†ミハエルリノ

†ガイウス

†ロメオヴィオ

†告白


この順番で、更新します。

先ずは三話。

楽しんでいただけたら、幸いです!



「ああ、なにか良いことないかな」


 なんて呟いても、空からイケメンが降っては来ないし、ドアを開いたら異世界に行けるわけもなく、淡々と退屈な人生を送る。

これまでがそうだったように、これからもそうだと思った。

 夢を叶えることもなく、非現実的なものを望むだけで、平凡な人生を送っておしまい。

 そう思っていたのに、私は死んだ。色鮮やかな赤いオープンカーにガツンと当てられて、ほぼ即死したらしい。

 真っ黒だった。死んだあとの世界なんだと思う。

自分の身体があるように感じるけれど、見えない。ふわふわと浮いているように、ゆらゆらと流れているように、闇に漂っているのを感じる。

 死んで悔いはなかった。

良いことなんかではない。普通なら唐突な事故で死んだら悔いる。でも私には、生き返りたいと願うほどのものがなかった。

 楽しかった思い出も浮かばない。たくさんあるはずだ。関わってきた人達の笑顔も浮かばない。

 最低なほど、私は今までの人生に執着していない。価値あるものだと思っていない自分に嫌気がさした。

最悪なのは人生じゃない。自分だったんだ。

退屈な人生だって思っていたのは、自分のせいだった。関わってきた人達を大切にしなかった。日々を大切にしなかった。人生を台無しにしたのは、私自身。

 死んで後悔しない自分だと言うことに後悔した。

このまま流れた先に、生まれ変われたのなら、もっといい人生を送れるような人間になりたい。

触れ合う人達を大切にして、サボることも逃げることもしないで日々を大切にしていきたい。

そういう人間になりますように、と祈った。



 ――目を覚ますと、ベッドの上にいた。

天蓋付きのベッドはお姫様のように桃色のフリルをあしらっている。着ている白いナイトドレスも桃色のフリルだらけ。手はちっちゃい。

 お姫様のベッドから降りて、カバーがかけられたドレッサーに向かい捲る。鏡に映るのは、四歳くらいの女の子。

 ――ああ、生まれ変われたんだ。

金色から赤色のグラデーションのふんわりした髪と、ブルーの真ん丸の瞳。美少女だ。

 暫く呆然と新しい自分を見つめる。映画を観るような夢で、前世を思い出した。厳密に言えば、死んだあとのことの願いだ。

 いい人間として楽しい人生を歩みたい。

今でもそう思う。

 けれども……どうだろう。

 足も短く、よちよち気味で窓に向かった。アーチ型の窓を開けば、おとぎ話のような赤い煉瓦と丸っこい建物が並ぶ街。

 金の羽を持つ鳥が鳴く。鶏に似ているけれどお洒落な羽を持つし、空も飛ぶ。屋根に卵を産み落としていくおかしな鳥さんだ。

 その鳥が飛び去ると、赤い煉瓦の屋根に一人の男の人が降り立つ。手紙の配達人だ。履いている靴は、建物を飛び越えるほどのジャンプ力を発揮して、そして羽根のように軽やかに着地する魔法の靴。

 ――そう、ここは魔法に溢れた世界だ。

 こんな世界で送る人生なんて――……楽しくないわけがないじゃない。




20140630

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