9/10
エピローグ
舞踏会から一年。
ティターニア・ローリングスは、父の事業を継ぎ、女男爵として忙しい日々を送っていた。
婚約は、まだ。
けれど、それを急ぐ理由もなかった。
書類に署名を終え、ふと顔を上げる。
視線の先には、ガラスの靴。あの時の輝きはそのままだ。
——まだ、ここにある。
「本日の業務は以上です」
そう告げられ、ティターニアは立ち上がる。
傍に控えていた秘書に書類を手渡し、ガラスの靴に履き替え、魔法で装いを変える。
「どちらへ?」
秘書の質問に、ティターニアは微笑んで答えた。
「今日はね、親友とデートなの」




