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灰かぶりの魔法令嬢は、王子よりもオネェを信じている  作者: SoL


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6/10

アタシじゃ、ダメなの?

 今日は、S級魔物ワイバーンの討伐実習。

 空中戦のため、私達は騎士生徒と二人一組になってペガサスに乗っていた。


 「もう少し近付けるか?」


 私たちの作戦は、ペガサスで可能な限り近づき、騎士生徒が飛んで攻撃をして、魔法で補助しつつ、落ちてゆく騎士生徒を回収。その繰り返しだ。


 「ここから行けますか?」


 「大丈夫だ」


 それを数回繰り返し、ようやくワイバーンを討伐できた。



 「ティターニア嬢、話したいことがある」


 今日の実習が終わり、ペアだった騎士学生に呼ばれた。

 私は彼について行き、少し離れた人気のない場所まで来た。


 「好きです。初めて見た時から惹かれて、共に実習をする内に、君の強さや優しさを知ってさらに好きになった。君さえ良ければ、婚約を前提に付き合って欲しい」


 突然の事で言葉に詰まる。

 少し動揺して視線を動かすと、木々の向こうで銀髪が揺れた気がした。


 「えっと…少し、考えさせてください」


 「もちろん、無理にとは言わないし、全然ゆっくりで大丈夫だから。明日また、この場所で聞いてもいいかな?」


 「はい!」


 久しぶりの告白、少し胸が踊る。

 次は、次こそは上手くいくだろうか?

 そんなことを考えて解散する。



 そして放課後、殿下は公務があるからと王城へ帰り、久しぶりにミハイルと二人きりで勉強をしていた。


 「ミハイル、さっきの、見てたでしょ?私、告白されちゃったわ。どうしよう。次こそ上手く行くかしら?」


 頬に手を添え、明るいかもしれない未来へ思いを耽ける。

 ミハイルは勉強していた手を止め、私と向き合い、優しく告げる。


 「ニア、それは早急すぎるんじゃない?舞踏会までもうすぐなんだし、待ってみたら?それに、磨き上げたアナタにもっといい出会いがあるかもしれないわよ?」


 「確かに…そうかも。うん!そうするわ!ありがとう。ミハイル。本当に頼りになるわ」


 帰りましょう。と本を閉じ、私は立ち上がる。

 ミハイルもそれに釣られて立ち、私達は出口まで歩き始めた。


 「……アタシじゃだめなの?」


 ミハイルが何かを呟いた気がして、振り返って尋ねる。


 「何か言った?」


 「ううん。なんでもないわ」


 ミハイルはそう告げると、私の髪を一束すくいあげ、口付けを落とした。




 そして次の日、実習最終日を迎えた。

 私は、終わって直ぐに告白してくれた彼を呼び出した。


 「実は、もう少し考えたくて、舞踏会が終わるまで待っていて欲しいんです」


 「そっか、そうだよね。まだであったばかりだし、早すぎるもんね」


 申し訳なさそうに告げる私に、彼は大丈夫だよ。と軽く笑いかけてくれる。


 「舞踏会へは行くの?」


 「え、えぇ。招待は、されているから」


 ドレスも何も決まっていないし、本当に行けるのか分からないけれど。


 「それなら、舞踏会でぜひ踊って欲しい」


 「踊る…えぇ。いいわよ」


 「ありがとう!もし、君さえ良ければ、当日のエスコ…」


 「ニア!遅いじゃない!」


 何か言いかけた彼をさえぎって、ミハイルがやって来た。

 いつものようにプリプリしながら、近付いてくる。


 「ほら、もうすぐ先生による総評が始まるわよ?行きましょう!」


 ミハイルは私の腰に手を添えて、まるでエスコートをする様に歩き始めた。

 私は抵抗する事も出来ず、そのまま連れていかれる。


 「あ、あの!また舞踏会で会いましょう!」


 私はこちらを見つめる彼にそう告げ、その場を後にした。




 そして初日に集まった場所に戻り、私達は先生の総評を聞いた。


 「皆、それぞれ慣れない環境、慣れない仲間と協力して良くぞやり切った。お疲れ様」


 先生の話を一通り聞き終わり、解散した後、嫌でも目に入ってくる存在、ラルフがいないことに気付く。

 私は不思議に思い、近くに居た騎士生徒に尋ねた。


 「あの、ラルフの姿が見えないようなんですが……」


 「あぁ。ラルフなら、今日の実習で大怪我をして、医務室に運ばれたらしい」


 「そう…教えてくれて、ありがとうございます」


 大嫌いではあるが、一応幼馴染みのラルフだ。

 少し心配なので、医務室へ様子を見に行くことにして、私は校舎の方へ走った。

 集合場所から校舎まではだいぶ離れていて、この辺りは人も全く居ない。


 そして校舎へ入ろうとした。その時だった。


 「ニア」


 私の名前を呼んで、腕を掴んだのはミハイルだった。少し息が乱れている。走ってきたのだろう。


 「ミハイル?追いかけてきたの?」


 「あのクソ野郎の所へ行くんでしょう?行かなくていいわよ。戻りましょう?」


 「あんなんでも一応幼馴染みだし、心配だから様子だけ見てくるわ」


 そう言って私は前を向き、歩こうと1歩を踏み出した時だった。

 後ろからミハイルに抱きしめられた。


 ーーもう、本当にミハイルは心配性なんだから。


 「ミハイル?歩けないわ。貴方ってば本当に過保護なんだから」


 私はいつもより過保護なミハイルが少し可笑しくて、笑いが漏れる。


 「アナタが心配なのよ。ニア。このままどこかへ行ってしまいそうで。お願いだから、行かないで」


 「分かったわ。もう、本当にしょうがないわね。そこまで言うなら、やめとくわ」

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