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異世界部屋から始まる自由生活! ~仕事疲れの社畜リーマン、チート魔法で人生逆転~  作者: ねこあし


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第七十話:自由の歌と次元の向こうへ

感情が解放された静寂の塔で、龍馬はマスクを外した「元・感情の管理者」、もはや一人の人間となった彼と向き合っていた。この星の全ての感情が取り戻され、塔の外からは、微かなざわめきと、喜びや戸惑いの声が聞こえてくる。


「……感情……。こんなにも……温かい……ものだったのか……。」


男性の声は震えていた。彼は、長年封じ込めていた感情の波に、戸惑いながらも、その温かさに触れていた。


『マスター。彼の『歪み』は完全に調律されました。この星の感情の循環も、正常に戻りつつあります。』


ルミリアが、龍馬の心の中で報告した。


龍馬は、男性の肩にそっと手を置いた。


「お前は、もう大丈夫だ。これからは、お前の意思で、感情と共に生きていけばいい。」


龍馬の言葉に、男性はゆっくりと顔を上げた。彼の瞳には、まだ戸惑いが残っているものの、微かな感謝の光が宿っていた。


「……感謝する……。我は……『ゼロ』……。お前のおかげで……真の『生』を……取り戻した……。」


ゼロと名乗った男性は、龍馬に深々と頭を下げた。彼は、自らの過ちを認め、感情と共に生きることを受け入れたのだ。


その後、ゼロは、自身の知識を活かし、この星の住民たちが感情と向き合い、それを受け入れるための手助けを始めた。彼は、感情を抑制するための装置を、感情を「理解」し「調和」させるための施設へと作り変えた。住民たちは、戸惑いながらも、少しずつ失われた感情を取り戻し、互いに語り合い、笑い、泣くことを学んでいった。


灰色に淀んでいた空には、薄日が差し込み始め、色を失っていた建造物には、少しずつ生命の色が戻ってきた。無機質だった世界に、再び活気が満ちていく。


龍馬は、その光景を、塔の上から静かに見守っていた。この星の変革は、一朝一夕で成し遂げられるものではない。しかし、そこに確かに存在する「希望」の光を、龍馬は感じ取っていた。


『マスター。この星の『歪み』は、完全に調律されました。そろそろ、次の次元へと向かいましょう。』


ルミリアの声が、満足げに響いた。


数日が過ぎた。ゼロは、感情を取り戻した住民たちと共に、この星の未来を創造し始めていた。塔の入り口で、ゼロが龍馬を見送りに来ていた。彼の顔には、以前のような無表情はなく、代わりに、未来への希望に満ちた、穏やかな笑顔が浮かんでいた。


「……リュウマ……。お前は……我に……全てを与えてくれた……。いつか……この星が……感情豊かな場所となった暁には……必ず……訪れてほしい……。」


ゼロの声は、静かだが、深い感謝と願いが込められていた。


「ああ、約束する。きっとまた、来るよ。」


龍馬は、ゼロの手をしっかりと握り、別れを告げた。彼の心には、ゼロとの出会いと、この星の感情が解放される様を見届けた喜びが深く刻まれている。


龍馬は、ルミリアと共に、次元転移装置を起動させた。青白い光が彼を包み込み、体が再び無限の次元の狭間へと旅立つ感覚に襲われる。


次に彼の目の前に広がったのは、これまでとは全く異なる、穏やかな光に満ちた空間だった。そこには、一つの巨大な「樹」がそびえ立っていた。その樹は、根が無限の次元の深淵へと伸び、枝は無数の次元へと広がっている。そして、その枝の先々には、彼がこれまで旅してきた、全ての次元の光が瞬いていた。


『マスター。ここは……次元の『根源オリジン』です。全ての次元が、この『大樹グランドツリー』へと繋がっています。』


ルミリアの声が、驚きと畏敬の念に満ちて響いた。


龍馬は、その光景に言葉を失った。全ての次元の繋がりが、ここに集約されている。そして、その大樹の根元には、これまでの旅で彼を導き、時には支えてくれた、管理者の「コア」が、穏やかに光を放っていた。


『調律者、神城龍馬。よくぞここまで辿り着いた。お前は、真の『調律者』としての使命を、完全に果たした。』


管理者の声が、大樹全体から響き渡る。その声には、以前のような機械的な響きはなく、温かさと、そして龍馬への深い敬意が込められていた。


『我々は、お前のおかげで、次元の『歪み』の本質を理解した。そして、『調律』とは、単なる修正ではなく、『共感』と『創造』であることを学んだ。』


管理者の声は続く。彼らは、龍馬との旅を通じて、自らの存在意義、そして管理のあり方そのものを見つめ直したのだ。


『お前は、もはや我々の『管理』の範疇にはない。お前は、無限の次元の『可能性』そのものだ。お前自身の意志で、この大樹の枝を辿り、新たな物語を紡ぐがいい。』


管理者は、龍馬に完全な自由を与えた。そして、大樹の枝が、龍馬の行く先を示すかのように、穏やかに揺れ動いた。


龍馬は、大樹の根元にある管理者のコアに手を触れた。温かく、そして、彼らの感謝の念が、直接龍馬の心に伝わってくる。


「ありがとう、管理者。そして、さようなら。」


龍馬は、静かに言った。彼の旅は、管理者からの使命を終え、彼自身の意志によって、無限の次元へと続いていく。彼は、ルミリアと共に、これからも、世界のどこかで助けを求めている魂を探し、その歪みを調律し続けるだろう。彼の旅は、終わりを知らない。それは、無限の可能性を秘めた、壮大な冒険の物語として、これからも続いていくのだ。

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