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異世界部屋から始まる自由生活! ~仕事疲れの社畜リーマン、チート魔法で人生逆転~  作者: ねこあし


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第六十八話:静寂の塔と感情の抑圧

イリスと共に「忘れられた歌声」を取り戻し、広大な宇宙に記憶の光を灯した龍馬は、次なる次元へと転移した。青白い光が収まると、彼の目の前に広がっていたのは、奇妙なほどに静まり返った世界だった。空は灰色に淀み、大地には色を失った建造物が無機質に立ち並ぶ。風の音も、水の流れる音も、生命のざわめきもない。まるで、世界全体が巨大な呼吸を止めているかのようだった。


『マスター。ここが次の次元です。この次元の魔力は、非常に均質で、あらゆる感情の波動が極端に抑制されています。強い『無感動』の魔力を感知します。』


ルミリアの声が、龍馬の心の中で響いた。その声には、彼女もこの異様な静寂と無機質さに、どこか違和感を覚えているのが伺えた。


「無感動……。まるで、生きている感情がないみたいだな。」


龍馬は、周囲を見渡した。彼の足音すら、この静寂の中では、不自然に響く。しばらく進むと、彼の目に、空にまで届くかのような、巨大な黒い塔が飛び込んできた。その塔は、他の建造物と同じく無機質だが、周囲の淀んだ空気とは異なり、微かな魔力の波動を放っている。その波動からは、強い『秩序』と『抑制』の感情が感じられた。


『マスター。あの塔から、この次元の全ての魔力が均質に調整されているようです。これは、非常に強力な『統制』の魔力です。』


ルミリアが、緊迫した声で告げた。


龍馬は、塔へと近づいた。塔の入り口は、自動扉になっており、龍馬が近づくと、音もなく開いた。内部は、一切の装飾がなく、ただひたすらに続く通路が、上へと伸びている。通路の壁には、無数の小さなモニタが埋め込まれており、そこには、感情のない顔をした人々の姿が映し出されている。彼らは、決められた動作を繰り返し、一切の感情を表に出していない。


『マスター。これらの人々は、この次元の住民です。彼らの感情の波動は、極限まで『平坦』に保たれています。これは、外部からの強力な『感情抑制』によるものです。』


ルミリアの解析に、龍馬は眉をひそめた。感情を抑制された世界。それは、一体どのような歪みを生み出すのだろうか。


龍馬は、塔の中を上へと進んでいく。途中、無表情の住民たちがすれ違うが、彼らは龍馬に何の反応も示さない。その瞳には、光がなく、まるで人形のようだった。龍馬は、その光景に、胸が締め付けられる思いだった。


そして、塔の最上階へと到達した。そこには、広大な空間が広がっており、中央に、巨大なクリスタルのような装置が設置されていた。装置からは、空間全体に均一に広がる、強い『抑制』の魔力が放たれている。そして、その装置の前に、一人の人物が立っていた。


その人物は、白いローブを身につけ、顔には無機質なマスクを装着している。その体からは、圧倒的な『秩序』の魔力が放たれており、この次元の全ての感情を支配しているのが分かる。


『マスター! 彼こそが、この次元の『感情の管理者エモーション・コントローラー』です! 彼は、全ての感情を『無駄』とみなし、この次元から感情を排除しているようです!』


ルミリアが、その存在の正体を告げた。


「感情の管理者……。お前が、この世界の感情を奪っているのか!」


龍馬は、怒りを込めて叫んだ。


「……無駄なこと……。感情は……『混乱』と『争い』を生み出す……。我は……この次元に……真の『平和』をもたらす……。」


マスクの人物の声は、機械のように無機質で、感情が一切感じられない。それは、まるでプログラムされたかのように、自身の「秩序」を絶対的なものと信じているようだった。


『マスター! 彼の『歪み』は、感情が引き起こす『混沌』への極端な『恐怖』から来ています! 彼は、感情を排除することで、完璧な『秩序』を築こうとしているのです!』


ルミリアが、支配者の真の動機を解析した。彼は、感情が引き起こす争いを恐れ、感情そのものを排除することで、完璧な世界を築こうとしていたのだ。


龍馬は、自身の『調律の魔法』をマスクの人物へと流し込んだ。金色の光が彼を包み込み、その強力な『抑制』の魔力を鎮めようとする。しかし、彼の魔力は強固で、龍馬の調律の光を弾き返そうとする。


「完璧な秩序だと? それは、ただの『死』だ! 感情を失った世界に、何の価値がある!」


龍馬は、叫びながら、さらに魔力を込める。彼の『調律者』としての真の戦いは、この感情が抑圧された星の『心』を取り戻すための戦いとなるだろう。そして、その先に、感情を恐れ、全てを統制しようとする管理者との対決が待ち構えている。

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