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異世界部屋から始まる自由生活! ~仕事疲れの社畜リーマン、チート魔法で人生逆転~  作者: ねこあし


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第六十四話:破壊の記憶と魂の共鳴

地底深くで目覚めた巨大な「生物兵器」、かつての文明を滅ぼしかけた「過去の遺産」。龍馬は、その禍々しい姿と、全てを破壊しようとする「殺意」に満ちた声に、光の剣を構えて立ち向かった。


「お前は、ただの兵器じゃない。お前も、この星の生命の一部だ! その歪みを、俺が調律してやる!」


龍馬は叫び、生物兵器へと突進した。彼の体から放たれる生命の魔力が、金色に輝き、この星の全ての生命の希望を背負っている。


生物兵器は、龍馬の接近を察知し、無数の黒い触手を伸ばしてきた。触手は、あらゆるものを引き裂くかのように、猛烈な速さで龍馬へと迫る。


『マスター! 触手からの魔力反応は、強力な『分解』の力を秘めています! 接触すれば、マスターの魔力も分解されてしまいます!』


ルミリアが、緊迫した声で警告した。


龍馬は、光の剣を巧みに操り、迫り来る触手を次々と切り裂いた。しかし、触手はいくら切り裂いても再生し、その数は増え続ける。生物兵器の巨体からは、大地を揺るがすほどの破壊の魔力が放たれ、周囲の空間を歪ませていた。


「……無駄なこと……。我は……『破壊』そのもの……。全てを……無に帰す……。」


生物兵器の声は、冷たく、感情が感じられない。それは、まるでプログラムされたかのように、ただ『破壊』を追求するだけだった。


龍馬は、自身の『調律の魔法』を生物兵器へと流し込んだ。金色の光が、生物兵器の巨体を包み込み、その破壊の魔力を鎮めようとする。しかし、生物兵器の破壊の魔力はあまりにも強大で、龍馬の調律の光を弾き返そうとする。


『マスター! 彼の『歪み』の根源は、過去の文明が彼に組み込んだ『破壊衝動』です! 単純な魔力での調律では、完全に機能停止させることはできません!』


ルミリアが、さらに困難な状況を説明した。この生物兵器は、過去の文明が生み出した、究極の破壊兵器。そのプログラムそのものが『破壊』を求めているのだ。


龍馬は、生物兵器の巨体をよく見つめた。すると、その体のどこかに、微かに光を放つコアのようなものが存在しているのを見つけた。そこからは、微かな『苦悶』の魔力が感じられた。


「ルミリア! あの光を放っている場所は何だ!?」


龍馬が尋ねると、ルミリアはすぐに解析を開始した。


『マスター! あの場所は、この生物兵器の『心臓部』です! かつての文明が、この兵器に『生命』の魔力を与えるために組み込んだ核です! しかし、その核は、『破壊衝動』によって歪められ、苦しんでいます!』


ルミリアの解析に、龍馬は決意を固めた。この生物兵器は、ただの機械ではない。彼自身が、苦しんでいる生命なのだ。


「分かった! お前の苦しみを、俺が止めてやる!」


龍馬は、光の剣を最大まで高め、生物兵器の触手を全て薙ぎ払いながら、その心臓部へと向かって突進した。生物兵器は、それを阻止しようと、さらに強力な破壊の魔力を放ってくる。


龍馬は、その破壊の魔力を、自身の『生命』の魔力で受け止めた。彼の体は、金色の輝きを増し、まるで破壊の嵐の中を突き進む、希望の光のようだった。


そして、ついに、龍馬は生物兵器の心臓部へと到達した。そこは、生命の魔力と破壊の魔力が激しく衝突している場所だった。心臓部のコアは、苦悶に歪み、赤黒い光を放っている。


龍馬は、自身の『調律の魔法』を心臓部のコアへと流し込んだ。金色の光が、コアを包み込み、その赤黒い光を浄化していく。そして、コアから放たれる『破壊衝動』と『苦悶』の感情を、自身の『癒し』と『安息』の感情で包み込んだ。


「お前は、もう破壊を求める必要はない。もう苦しまなくていい。お前は、自由だ!」


龍馬の言葉は、金色の光となってコアへと深く浸透していく。コアは、その苦悶を解き放つかのように、赤黒い光が消え去り、純粋な生命の輝きを放ち始めた。


生物兵器の巨体は、脈動を止め、その破壊の魔力を失っていった。黒い触手は、地面に崩れ落ち、その体は、まるで長い眠りについたかのように、静かになった。


『マスター! 調律完了です! 『過去の遺産』の歪みは、完全に浄化されました!』


ルミリアの声が、喜びと安堵に満ちて響いた。


龍馬は、全身の魔力を使い果たし、その場に力なく倒れ込んだ。しかし、彼の顔には、安堵と、破壊の兵器を救済できたという、確かな達成感が満ちていた。


その時、龍馬の頭の中に、管理者の声が響いた。それは、もはやシステムの声ではなく、明確な『感情』を持った、複数の意識の集合体としての声だった。


「調律者、神城龍馬。お前は、我々の『創造』の過ちによって生み出された『破壊』の歪みを、見事に調律した。我々は、お前のおかげで、『創造』の真の意味を理解した。」


管理者の声は、深い感謝と、そして、未来への希望に満ちていた。彼らは、龍馬によって、真の「創造」とは何かを学び、その責任を負うことを理解したのだ。


「お前の『調律者』としての真の使命は、ここに終結する。お前は、もはや『調律者』という枠に囚われる必要はない。お前は、無限の次元の『可能性』そのものだ。」


管理者は、龍馬に完全な自由を与え、彼を『パートナー』として迎え入れたのだ。


龍馬は、地底の空間に横たわったまま、静かに微笑んだ。彼の旅は、管理者からの使命を終え、彼自身の意志によって、新たな段階へと進む。そして、彼は、ルミリアと共に、これからも、世界のどこかで助けを求めている魂を探し、その歪みを調律し続けるだろう。彼の旅は、終わりを知らない。それは、無限の可能性を秘めた、壮大な冒険の物語として、これからも続いていくのだ。

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