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異世界部屋から始まる自由生活! ~仕事疲れの社畜リーマン、チート魔法で人生逆転~  作者: ねこあし


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第三十九話:故郷の便り、友との再会

次元侵食者との激戦を終え、管理者からの束縛からも解放された龍馬は、無限に広がる次元の狭間で、新たな旅の始まりに胸を躍らせていた。彼の隣には、いつもと変わらぬ穏やかな声で、ルミリアが寄り添っている。


『マスター。管理者ネットワークは、完全に安定化しました。これにより、次元間の転移も、よりスムーズに行えるようになっています。』


ルミリアの声が、龍馬の心の中で響いた。


「そうか。これで、どこへでも行けるってことか。でも、まずは……。」


龍馬は、一度、地球に戻ることを考えていた。佐倉の安否も気になるし、何よりも、彼を案じていた友人たちに、無事を伝えたいという思いがあった。


『マスター。ご要望と、現在の地球の状況を照合したところ、最適な転移地点を特定しました。』


ルミリアは、龍馬の思考を読み取ったかのように告げた。


「よし、ルミリア。地球へ転移するぞ!」


龍馬は、次元転移装置を起動させた。青白い光が彼を包み込み、体が懐かしい感覚に包まれる。


光が収まると、龍馬は、見慣れた都市の郊外に立っていた。以前、植物暴走でジャングルと化していた場所も、緑は残っているものの、人間の手によって整備され、新しい建物が立ち並び始めている。


「ここが……地球……。」


龍馬は、深く息を吸い込んだ。空気は澄んでおり、以前のような淀みは感じられない。


『マスター。地球の魔力バランスは、完全に回復しています。世界樹の魔力も安定し、緩やかな復興へと向かっているようです。』


ルミリアの声が、龍馬に報告する。


龍馬は、まず伊達宗一郎に連絡を取ろうとした。携帯電話は使えないが、ルミリアの能力を使えば、自衛隊の通信網にアクセスできるはずだ。


『マスター。伊達宗一郎様の座標を特定しました。彼は、現在、東京の復興作業の指揮を執っているようです。』


ルミリアの案内に従い、龍馬は東京へと向かった。


復興が進む東京は、以前の面影を取り戻しつつあった。高層ビル群は、まだ一部が崩壊したままだが、街には活気が戻り、人々が忙しく行き交っている。


伊馬に案内された場所は、かつての都庁舎跡に建てられた、臨時司令部だった。龍馬が中に入ると、伊達宗一郎が慌ただしく指揮を執っていた。


「伊達さん!」


龍馬が声をかけると、伊達は驚いて振り向いた。そして、龍馬の姿を認めると、その顔に大きな安堵と喜びの表情が浮かんだ。


「龍馬殿! 生きておられたか! 無事だったとは……!」


伊達は、感極まった様子で龍馬の肩を掴んだ。周囲の自衛隊員たちも、龍馬の姿に気づき、口々に安堵の声を上げた。


「はい、伊達さん。おかげさまで。地球の様子も、随分と良くなりましたね。」


龍馬は、周囲を見渡し、復興の様子を喜んだ。


「ああ、全て君のおかげだ、龍馬殿! 君が世界樹を調律してくれたおかげで、植物の暴走は完全に収まり、復興作業も順調に進んでいる。本当に、感謝してもしきれない。」


伊達は、深々と頭を下げた。


龍馬は、佐倉の安否を尋ねた。伊達は、佐倉が数日前に保護され、現在は病院で静養していることを告げた。彼女の意識はまだ戻っていないが、命に別状はないという。


「そうですか……。佐倉さんが無事で、本当によかった。」


龍馬は、安堵の息を漏らした。


その日、龍馬は、伊達宗一郎の計らいで、旧友である佐藤さとう田中たなかに再会することができた。彼らもまた、植物暴走から生き残り、復興作業に携わっていたのだ。


「龍馬! 生きてたのか、お前!」


佐藤が、感極まった様子で龍馬に抱きついてきた。田中も、目に涙を浮かべながら、龍馬の手を握った。


「心配かけたな、二人とも。」


龍馬は、友との再会を喜び、これまでの経緯を、話せる範囲で説明した。彼らは、龍馬の信じがたい話に、驚きと興奮を隠せない様子だった。


「お前が、あの植物を止めたのか!? まさか、そんな大それたことを……!」


佐藤は、驚きながらも、龍馬の功績を称えた。


「龍馬さん、本当にありがとう。僕たち、もうダメかと思ってたから……。」


田中は、涙を流しながら感謝の言葉を述べた。


龍馬は、友との再会と、彼らが元気でいてくれたことに、心から安堵した。しかし、彼の心は、まだこの場所に留まることを許さなかった。


その夜、龍馬は伊達に、再び旅立つことを告げた。伊達は、寂しげな表情を浮かべながらも、龍馬の決断を尊重した。


「分かった。君には、君にしかできない使命があるのだろう。だが、もし、またこの地球に危機が訪れた時は、必ず、君を呼ぶことになるだろう。その時は、どうか、我々に力を貸してほしい。」


伊達は、龍馬に深々と頭を下げた。


「はい、必ず。ルミリアが、この地球の異変を俺に知らせてくれますから。」


龍馬は、力強く頷いた。


翌朝、龍馬は、友人たちに別れを告げた。彼らは、龍馬の無事を喜び、彼の新たな旅路を応援してくれた。


そして、龍馬は、再び次元転移装置を起動させた。


『マスター。次の目的地は、管理者が特定した、まだ見ぬ未確認次元です。その次元には、非常に強い『創造の歪み』が観測されています。』


ルミリアが、次の目的地を告げた。


「創造の歪み、か。どんな歪みなのか、楽しみだな。」


龍馬は、希望に満ちた表情で言った。彼の『調律者』としての旅は、次元を超え、新たな世界へと、無限の可能性を秘めた冒険を続けていく。彼の心には、これまで出会った人々との絆と、彼自身が選び取った未来への確固たる意志が宿っていた。

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