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異世界部屋から始まる自由生活! ~仕事疲れの社畜リーマン、チート魔法で人生逆転~  作者: ねこあし


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第三十三話:侵食の正体と信仰の魔力

ガルー族の長老から、この世界の『歪み』の根源が『大いなる獣のグレート・ビースト・ソウル』の『侵食』であることを聞かされた龍馬は、その詳細を尋ねた。


「長老様。その『侵食』とは、一体何なのですか? そして、誰が、なぜそのようなことを?」


龍馬は、長老の言葉から、単なる自然現象ではない、明確な意図を感じ取っていた。


長老は、悲しげに首を横に振った。


「その『侵食』の正体は、我々にも分からぬ。しかし、それは、我々の世界の『生命の魔力』を歪め、我らの心をも荒らすものだ。そして、それは、夜の帳が最も濃くなる頃、『影の領域シャドウ・レルム』と呼ばれる場所から現れるという伝承がある。」


『影の領域』。その言葉に、龍馬は何か嫌な予感を覚えた。


『マスター。この『侵食』の性質は、エルフヘイムで経験した『侵食魔法』に酷似しています。しかし、その規模は、当時のものよりも遥かに広範囲です。』


ルミリアが、心の中で解析結果を報告した。


「エルフヘイムの侵食魔法と似ているのか……。だとすれば、これも誰かの悪意によるものなのか?」


龍馬は、考え込んだ。


「長老様。その『影の領域』とは、どこにあるのですか? そして、『大いなる獣の魂』は、どこに祀られているのでしょう?」


龍馬は、調律の方法を探るため、具体的な場所を尋ねた。


長老は、ガルー族の集落から、はるか北の方角を指差した。


「『影の領域』は、この世界を覆う大森林の、最も深く、最も暗き場所にある。そして、『大いなる獣の魂』は、我らが祖先が築きし『聖なる岩山ホーリー・ロック』の頂に鎮座しておる。」


長老の言葉に、龍馬は地図を広げた。大森林の奥深くに、確かに険しい岩山が描かれている。


「『聖なる岩山』か……。そこが、この世界の聖地なんだな。」


龍馬は、長老に、自身の『調律の魔法』で『大いなる獣の魂』を調律し、侵食を食い止めることができると伝えた。


長老は、龍馬の言葉に、静かに頷いた。


「お貴様の力は、確かに清らかだ。しかし、『大いなる獣の魂』は、我らガルー族の信仰の象徴。その魂に手を触れることは、我らにとって、神聖な行為なのだ。」


長老の言葉に、龍馬は少し戸惑った。信仰の象徴。エルフヘイムの聖樹ユグドラシルも、エルフ族の信仰の対象だったが、これほど直接的に『魂』という形で信仰されているものは初めてだ。


「しかし、このままでは、『大いなる獣の魂』の侵食が進み、この世界が滅んでしまいます。長老様、どうか、私を信じてください!」


龍馬は、真剣な眼差しで長老に訴えかけた。


長老は、龍馬の言葉に、深く考え込んだ。そして、しばらくの沈黙の後、ゆっくりと口を開いた。


「分かった。お貴様を信じよう。しかし、一つだけ条件がある。『大いなる獣の魂』を調律する前に、まず、我らの世界の異変の原因となっている『影の領域』を調査してきてほしい。その領域を理解しなければ、闇雲に魂に触れることはできない。」


長老は、龍馬に試練を与えた。彼らが信仰する魂に手を触れる前に、その原因を究明せよ、と。


「承知いたしました。必ず、『影の領域』を調査し、この異変の正体を突き止めてみせます!」


龍馬は、力強く頷いた。


翌朝、龍馬は、ガルー族の戦士であるリーダーと共に、『影の領域』へと向かった。リーダーは、龍馬の『調律の魔法』を間近で見て、彼の力を信じるようになっていた。


「この森の奥深くに、『影の領域』はある。決して一人で足を踏み入れてはならぬ場所だ。」


リーダーは、警戒しながら龍馬に語りかけた。


森の奥へと進むにつれて、周囲の光景は、徐々に異様なものへと変化していった。木々の葉は黒ずみ、地面には奇妙な粘液が広がり、空気は重く、淀んでいた。


『マスター。周囲の魔力は、ますます混沌としています。負の感情が凝縮されたような、非常に不快な魔力です。』


ルミリアが、心の中で警告する。


そして、彼らの目の前に、黒い霧が立ち込める場所が現れた。その霧は、まるで生きているかのようにうごめき、その奥からは、何かのうめき声のようなものが聞こえてくる。


「ここが……『影の領域』か……。」


龍馬は、その不気味な光景に、思わず身構えた。


霧の中に足を踏み入れると、周囲の視界は、さらに悪くなった。空気は、さらに重く、まるで精神を侵食しようとするかのように、不快な感覚が龍馬を襲う。


『マスター! 強力な負の魔力反応を感知! 無数の存在が蠢いています!』


ルミリアが、心の中で叫んだ。


その時、霧の中から、黒い影のような存在が、いくつも姿を現した。それは、不定形の塊で、いくつもの手足のようなものが伸び、怨嗟の声のようなものを発している。


「グルルルル……! 我らの安息を邪魔する者、許さぬ……!」


影の存在は、龍馬たちに襲いかかろうとした。


「やはり、こいつらか! ルミリア、こいつらの正体は!?」


龍馬は、自身の『調律の魔法』を放ち、影の存在を足止めしながら、ルミリアに尋ねた。


『マスター。これは、過去の『怨念』が魔力として凝縮されたものです。彼らは、この世界の『信仰』の歪みによって生み出された存在です!』


ルミリアの解析結果に、龍馬は衝撃を受けた。『信仰』の歪み。アヴァロンの『渇望』とも異なる、新たな種類の歪み。


「信仰が……歪みを生み出すのか……?」


龍馬は、その言葉に、この世界の抱える問題の根深さを感じた。彼の新たな調律の使命は、単なる魔力の調整だけでなく、人々の『信仰』に根差した、より複雑なものとなるだろう。

第三十三話では、龍馬がガルー族の長老から、『大いなる獣の魂』を侵食する『影の領域』の調査を依頼されます。龍馬はガルー族のリーダーと共に『影の領域』へと向かい、そこで過去の『怨念』が魔力として凝縮された『影の存在』と遭遇します。ルミリアの解析により、これらの存在が『信仰の歪み』によって生み出されたものであることが判明し、龍馬の新たな調律が、単なる魔力の調整だけでなく、人々の『信仰』に根差したより複雑な課題となることを示唆して終わります。

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