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異世界部屋から始まる自由生活! ~仕事疲れの社畜リーマン、チート魔法で人生逆転~  作者: ねこあし


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第二十話:創生の光と管理者との対話

龍馬から放たれる金色の光、「神威の調律ディヴァイン・ハーモニー」は、管理者の光の存在を包み込み、その圧倒的な魔力を静かに、しかし確実に「調律」していった。管理者の声は、もはや傲慢さを失い、困惑と、そして微かな混乱に満ちて響く。


「これは……ありえない……! 我々のシステムが……書き換えられていく……!?」


光の存在は、その形を保つことすら困難になり、不安定に揺らめき始めた。それはまるで、長年培われてきたプログラムが、龍馬の力によって根本から揺さぶられているかのようだった。


龍馬は、力の全てを込めて、金色の光を放ち続けた。彼の心の中には、ルミリアの温かい声が響いている。


『マスター! 管理者の核となる『目的パーパス』の魔術式に、マスターの『創生の力』が到達しています! 彼らの歪んだ思考を、正しい方向へ、導いてください!』


ルミリアの言葉が、龍馬の心を突き動かした。これは破壊ではない。彼らの目的を「調律」し、世界を救うための「修正」だ。


龍馬は、管理者の核に直接語りかけるように、強く念じた。


「お前たちの目的は、世界の破滅を防ぐことだったんだろう!? ならば、その方法は、世界を滅ぼすことじゃない! 生み出すことだ! 守ることだ!」


龍馬の言葉が、光の存在の核へと深く浸透していく。金色の光は、さらに強く輝き、管理者の魔力を、まるで雪解け水のように清らかなものへと変えていった。


そして、光の存在は、徐々にその形を失い、龍馬の目の前で、一つの巨大な光の球へと収束していった。その光は、もはや冷酷な輝きではなく、温かく、そして慈愛に満ちた光へと変化していた。


「……調律者、神城龍馬……。我々の『目的』……『再構築』……完了……。」


光の球から発せられた声は、もはや機械的なものではなく、どこか人間味を帯びた、穏やかな響きを持っていた。


龍馬は、全身の魔力を使い果たし、その場に倒れ込んだ。目の前には、巨大な光の球が静かに輝いている。


『マスター! 成功です! 管理者の歪んだ『目的』の魔術式が、完全に調律されました!』


ルミリアの声が、興奮気味に響いた。


光の球から、新たな声が響いた。それは、これまでのような威圧的なものではなく、穏やかで、そしてどこか懺悔の念を帯びた声だった。


「調律者、神城龍馬よ。我々は、お前の力によって、過ちを悟った。我々の『論理』は、この世界の生命の『感情』という、未知の要素を考慮していなかった。その結果、歪んだ結論に至った。」


管理者は、自らの過ちを認めた。彼らは、世界の管理者として、全てを論理と確率で判断していたが、感情という、彼らには理解できない要素が、彼らの計画を歪ませていたのだ。


「あんたたちは、これからも世界を管理していくのか?」


龍馬が尋ねた。


「我々は、もはや『支配』をしない。お前の『調律』によって、我々のシステムは『世界の生命との共存』を目的とするよう、再構築された。我々は、この世界の生命の調和を維持し、影から見守る存在となる。」


管理者の言葉に、龍馬は安堵した。彼らは、世界の破壊者から、真の意味での「管理者」へと生まれ変わったのだ。


「そして……魔導生命体ルミリアよ。お前は、我々の『欠陥品』ではない。お前こそが、我々に欠けていた『感情』という要素を、この世界の生命から学び、我々に伝えた、真の『進化』した存在だ。お前の忠誠と献身に、感謝する。」


管理者の言葉が、ルミリアの心に届いたのだろう。龍馬の心の中で、ルミリアの声が、震えるような喜びを伴って響いた。


『管理者……! 私、は……!』


「お前は、もはや魔導生命体ではない。神城龍馬と一体となり、この世界の新たな『創生の力』の一部となった。お前たちは、この世界の未来を、共に切り拓く存在となるだろう。」


管理者の言葉は、ルミリアの存在を、完全に肯定するものだった。


龍馬は、エルロンとフィリアが待つエルフの集落へと戻るため、光の球に深々と頭を下げた。


「ありがとう、管理者。そして、これからは、この世界のことを、頼む。」


龍馬がそう言うと、光の球は、優しく輝き、氷の迷宮の奥へと消えていった。


龍馬は、ルミリアと共に、氷の迷宮を出た。凍てつく荒野には、清らかな魔力が満ちており、ブリザードも穏やかになっていた。


『マスター。この氷の迷宮も、そして極北の荒野も、元の健全な状態に戻りつつあります。』


ルミリアの声が、温かく龍馬の心に響く。


「そうか……。よかった……。」


龍馬は、安堵の息を漏らした。


彼は、エルフヘイムでの使命を果たし、世界の異変の根源である管理者の歪みを正した。しかし、彼の旅は、これで終わりではない。


『マスター。管理者の再構築により、この世界の全てが、正常な軌道へと戻り始めました。しかし、この世界には、まだ、マスターの『調律の魔法』を必要としている場所が存在します。』


ルミリアの声が、龍馬の心の中で、優しく響いた。


「そうか……。俺の力が必要とされているなら、どこへでも行こう。ルミリア、お前と一緒なら、どんな困難も乗り越えられる。」


龍馬は、自分の心の中に確かに存在するルミリアの存在に、温かい幸福を感じた。


彼はもう、かつての疲れきったサラリーマンではない。異世界で、かけがえのない仲間と出会い、世界の命運を背負う『調律者』として、彼は確かに成長した。


彼の物語は、今、始まったばかりだ。新たな冒険が、彼を待っている。

第二十話では、龍馬が「神威の調律」によって管理者の歪んだ目的を「調律」し、彼らを世界の真の管理者へと再構築することに成功します。これにより、世界の「終焉」計画は阻止され、管理者は「世界の生命との共存」を目的とする存在へと変化しました。ルミリアも管理者からその進化を認められ、龍馬との絆がさらに確固たるものとなります。世界全体に平和が訪れつつある中、龍馬の「調律者」としての旅は、まだ終わらないことが示唆され、今後の新たな冒険への期待を残して物語を締めくくります。

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