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間話1反応

初小説です。

ここからいい話になるだろうから一息つこう。


私は王座に腰掛け皆に問いかけた。


「どうかな。普通の人間と同じような昔話だ。そんな心躍る話は出来ないと思うが・・・」


そういうとレンは立ち上がり、赤く染まった顔をしながら興奮気味に話し出した。


「やっぱり!カイル様の言う通り!私はモトカノ!だったのですね!」

「そうだぞ。何度も言ってきたじゃないか。」

「えへへ・・・気を使ってくれてるかと・・・えへ・・・」


昔と変わらないニヤケ顔をし、嬉しそうに席についた。

話の途中で皆の疲れが出ないよう椅子を召喚したのは正解だった。話しが長くなりそうだ。

前列4人の一人が座ったままの状態で手を合わせ、涙を流しながら静かにささやいた。


「王よ・・・私は興奮しています。王にそのような素敵な時期があり、苦難を乗り越えそのような力を手に入れた事に・・・私は感動しております!!!」

「そ、そうか。先も言ったが、皆のおかげだ。ゼノン、君を含め皆がいるから私は強くなった。」

「その謙虚さにも感動しています・・・王よ・・・ただ・・・」

「ただ?」


ゼノンが隣に座るレンを鬼の形相で涙を流しながら見つめた。


「王に言わせているだけかと思っていたのに・・・本当だったなんて・・・

王の元に付いてから初めて仲間に負けましたわ・・・あぁ・・・妬ましい・・・」

「い、いまは何の関係もないですよ・・・ゼノンさん・・・」

「その通り、昔話だ。あまりレンをいじめるなゼノン」


その言葉を聞き、どこからかハンカチを取り出し涙と鼻水を拭うと表情が明るくなった。


「なあんだ!そうでしたの!やっぱり王に言わせていただけでしたのね!安心ですわ!!」

「は、はい・・・でも昔は付き合って・・・」

「まぁ、そんなところだ。ゼノンもレンも昔話だ。あまり気にするな」

「な・・無かった事に・・・?」

「悪いなレン。魔王は皆に平等だ」

「うぅ・・・」

「安心ですわ!!!」


落ち込むレン、安心と喜びを叫ぶゼノンを皆が笑って見ている。


まだ感動も興奮もしない話だと思ったが、皆は上司の昔話を聞いて嬉しそうだった。

感情が突き抜けている者もいるが、ゆっくり話していこう。

続きを話そうとした時、前列に座る一際大きな男が立ち上がり声をかけてきた。


「カイル様、帰ってきたばかりだったのでお食事を取られていませんが、いかが致しますか?」

「ヴァルゴか。そうだな、話を止めたついでに軽く食べるとするか」

「かしこまりました!メニューは何かご希望ありますか?」


ヴァルゴと名乗る大柄で筋骨隆々の大男は口角を上げながら私に訪ねてきた。

私は内心やれやれという気持ちと、理解しているヴァルゴに喜びの気持ちを抱き、口角を上げ答えた。


「ふっ。今の話の流れで食べるモノは一つしかないだろう」

「はッ!!!ステーキをご用意致します!!!」

「そうだ!!勿論皆の分もだ!!食料庫の状況など気にするな!!!」

「うおおお!お肉!パンも!!」

「あいよ!!!」


皆が盛り上がり、レンも変わらずにパンを注文している。

あの頃と変わらない様子を、微笑みながら見ていた。


皆に自分の昔話を話していくうちに、自分でも驚くほど多くの笑いや幸せがあった事に気付いた。

昔を思い出す事はよくある。その度に苦しい状況や悲しい出来事ばかりが思い浮かんでいた。


だがその隙間には多くの幸せが隠れている。小さな喜びが隠れている。話をして気付かされた。

皆には本当に感謝しないとな。


何より昔の思い出とレンは変わっていない。再認識して改めて嬉しく思う。

みんなや自分の魂、全ての芯が変わる事はない。


変わってない。変わらないんだな。私が魔王に、皆が何者になろうと。

登場人物

魔王>カイル


魔族?>レン

   >ゼノン

   >ヴァルゴ

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