先輩は電極の出口、僕は入口
四重極レンズは、四本の細長い円柱状の電極の底面が(±x.0)、(0.±y)の4つの座標に配置されたレンズです。
電極に直流や交流を印加することで発生する電界や磁界で、四本の電極の中央付近を通過する荷電粒子ビームのビーム径を絞ります。
僕は先輩の隣で
モニターを見つめてる
先輩は電子やイオンの
軌跡をチェックする
先輩は僕の憧れ
優しくて尊敬する
でも先輩は気づいてない
僕の想いに
このままじゃダメだと
思ってるけど言えない
先輩に伝えたいことが
たくさんあるのに
僕らは四重極レンズ
電子やイオンのビーム径を絞る
先輩は電極の出口
僕は入口
僕らは四重極レンズ
僕は先輩へこころのビーム径を絞る
そして先輩は遠くて近い
僕にとって
僕は先輩のプロジェクトに
入れてもらって嬉しい
僕の仕事はCAD図面
先輩のプログラムの
いま先輩がテストしてる
レンズ装置のグラフィック
僕はマウスを動かして
筐体を回す
筐体の下から電極をズームする
「きゃー、スカートを下から覗いてるみたい」
って先輩が言って笑う
確かに円柱電極は足みたいだけど
それを言うの?先輩が?
ふと顔を上げたら
先輩が目の前にある
僕はドキドキしてるけど
先輩は何も言わない
僕らは四重極レンズ
電子やイオンのビーム径を絞る
先輩は電極の出口
僕は入口
僕らは四重極レンズ
僕は先輩へこころのビーム径を絞る
でも先輩は近くて遠い
僕にとって
お読みいただき、ありがとうございました。
荷電粒子ビームの制御の説明は複雑なので省きます。
ざっくりと説明すると、荷電粒子が広がりそうになると
磁界の力で中心に向きが戻るようになっています。