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同僚視点

 突然ではあるが、俺は杉本という同僚が気になっている。


 純朴そうで、誰かにマウントを取ったりするようなこともないし、仕事もテキパキとこなすし。


 話しかけたい。でも共通の話題なんてものを持っていなかった。


 何かないか、俺と杉本との共通の話題は!その答えを求めてSNSを彷徨っていると女性向けの化粧の特集記事を見つけた。それはモテメイクと銘打ってあった。


 俺はこの投稿を見た時、これだ!と思った。化粧に興味のない女はいないだろうし、杉本は化粧をしていない!きっと共通の話題になるだろうし、俺の助言がきっかけで化粧をすれば杉本は俺に感謝するだろう!これはすぐに行動に移さなくては!


 そう思ったので杉本に「ちゃんと化粧をしたほうがいい」とアドバイスをした。なのに杉本は「そう」という気の抜けた返事をするくらいだった。これは彼女に響いていない、と俺は思ったから「そうだよ!似合うと思う!」と念押ししたら、わかってくれたのか笑ってくれた。俺の想いは通じたみたいだ!


 そう思っていたのに杉本は昨日と同じだった。


「えっ杉本化粧してない!どうして、した方がいいって!」


 なんで、どうして!?俺のアドバイスをわかってくれたんじゃないのか!?杉本はどこか抜けたような返事をするばかりで俺の言っていることが伝わっていないことがわかる。


 どうしたら伝わるんだ、毎日言わないと杉本には伝わらないのか?


 そう思った翌日、杉本は化粧をしてきた。


 俺は嬉しくなった。


「杉本ちょっと化粧してる!?いいな!やっぱ俺が言ったから!?そうか?そうだな!!」


 俺の気持ちが杉本に伝わって嬉しかった。


 いつも気の抜けたような返事しかしない杉本がいつもよは違う反応をしていたので俺のアドバイスはしっかり届いているとわかった。そして何より俺のアドバイス通りに行動しているって言うことは俺が言っていることが正しいことだっていうことが杉本にもわかっているんだろう。


 確認をするように「化粧するようになったのは俺が言ったから?」と聞くと「うーん、まあ」と杉本は答えた。え、待って。これは脈アリなんじゃないか!?それを表すかのように杉本はその後も化粧をして会社にきた。


 もうこれは脈アリだ!!そう思った俺は杉本にストレートに告白することにした。


「杉本、俺たち付き合わない?」


「え、むり」


 どういうこと?そう問いかける間もなく杉本は立ち去っていった。え、どういうこと?そして次の日から彼女は化粧をしなくなっていた。俺の気持ちは届いていなかったっていうこと?説明を求めようにもそれ以来避けられて会話もしていない。


 おわったことも実感できないまま俺の片想いはおわった。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました!

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