プロローグ1
水の民?視点
「はあっ、はあっ、」
冬の、凍えるような空気の中、僕は歩く。
吐息が、白く光って消えていく。
あともう少しだ。
もう少しで家に着く!
そう思うと、少しだけスピードが上がる。
しばらく歩いていると、見慣れた家が見えてきた。
バタ、と音を響かせ、馬小屋の中に入る。
外は凍え死にそうな寒さだが、中は、馬の温もりで暖かい。
僕は藁にもたれ掛かり、「ふうっ」とため息を付いた。
う~ん、伸びをし僕はうとうととまどろみ始めた。
炎の民?視点
「い゛ったぁ、」
...そういえば何でこんなことになったんだろう。
三ヶ月、くらい前からな気がする。
今の生活が辛くて逃げ出して、それで余計辛いところに来るとか。
俺バカじゃん、笑える。
あ~あ、こんなつもりじゃなかったのに。
と言うか、俺何も悪くないでしょ。
迷子になっちゃっただけなのに。
...誰か、俺のこと助けて──?
星の民?視点
真夜中。
満天の星空の下でうちはある人を待っていた。
んー、来ない。
かれこれここで一時間は待っている。
違う種族、炎の民の彼とは今日待ち合わせたはず。
彼は約束を守る方。
じゃ、理由がある?
来れない理由が。
...考えすぎだよな。
忘れているだけだ、きっと。
でも...
そう考えても、うちの不安は消えていかなかった。