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7、ブルーノの忠告

 アリスが朝食の片付けをしていると、ドアをノックする音がした。

「はい、どちら様ですか?」

「おひさしぶりです。ブルーノです」

 アリスは驚いてドアを開けた。


「おひさしぶりです、ブルーノ様。足の具合はもう大丈夫ですか?」

「おかげさまでこの通り、ピンピンしてます」

 そう言ってブルーノはその場で飛び跳ねてから、アリスににっこりと笑いかけた。


「今日はどんなご用事ですか?」

「先日のお礼と、一応心配事があるのでご連絡だけしにきました」

 ブルーノの言葉を聞いて、アリスはブルーノを家に招き入れた。

「どうぞ、おはいりください」


 アリスの家は綺麗に片付いていて、窓の脇には木の実が飾られていた。

「可愛らしい家ですね、アリスさん」

「ありがとうございます。ブルーノ様」


 ブルーノが家に入ると、アリスは客間にブルーノを案内した。

「今、お茶を入れますね」

「おかまいなく」

 アリスはブルーノが席に腰掛けるのを見届けてからキッチンに向かった。


 しばらくしてアリスが紅茶とスコーンを二人分持って、客間に戻ってきた。

「紅茶とスコーンです。お口にあうと良いんですけど」

「ありがとうございます」

 ブルーノはいれたての紅茶を一口飲むと、ため息をついた。


「実は、町の医者がアリスさんのことを良く思っていないようです」

「まあ、そうなんですか?」

「はい」

 ブルーノはまた紅茶を一口飲んだ。


「お金持ちしか相手にしない医者なので、もともと評判が良くなかったんです」

「そうですか」

 アリスはブルーノの向かい側に座ると、自分も紅茶を一口飲んだ。

 ブルーノはちょっと難しい顔をして言った。

「さらに最近はアリスさんの評判が高まったせいで、お客さんが来なくなっているんです」


「それは悪いことをしてしまいました」

「いいえ、アリスさんは少しも悪くありませんよ」

 ブルーノはそう言って微笑むとスコーンを一囓りして話を続けた。

「とにかく、近いうちに医者のマークがアリスさんのところに敵情視察に来ると思います」 

 アリスは困った顔で頷いた。


「まあ、あまり気にしなくても大丈夫だと思いますが。なにかあったら、私は町の宿屋にいますから声をかけて下さい」

「ありがとうございます。ブルーノ様」

 ブルーノは残った紅茶を飲み、スコーンを食べ終えると立ち上がった。


「今日はごちそうさまでした。アリスさん、おきをつけて」

「はい、ブルーノ様」

 アリスは町に帰っていくブルーノをドアの外で見送った。


「お医者さんの患者さんをうばっていたなんて、悪かったかしら……」

 アリスはしょんぼりしながら家の中に戻っていった。

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