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植物と話のできる令嬢は気持ち悪いと婚約破棄され実家から追い出されましたが、荒地を豊かな森に変えて幸せに暮らしました  作者: 茜カナコ


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22、ブルーノと白蛇

 いつも通りの朝、アリスは森の家で朝食を作っているとドアの外から声がするのに気付いた。

「おはようございます、ブルーノです。アリスさん、いらっしゃいますか?」

「はい、ちょっと待って下さい」

 アリスは料理する手を止め、玄関に急いだ。


「おまたせしました」

 アリスがドアを開けると、そこには大きな鳥を抱えたブルーノが立っていた。

「おはようございます、アリスさん。今日は、狩りで仕留めた鴨を持ってきました」

 ブルーノは左手に持った鴨をアリスに渡した。

「まあ! 立派な鴨ですね。これを私に下さるのですか?」

 アリスは差し出された鴨を両手で受け取った。ずっしりと重くてよろけそうになる。

「はい。以前アリスさんが肉は中々手に入れられないとおっしゃっていたのを思い出しまして」

 ブルーノはさりげなくアリスの両手に抱えられた鴨を支えた。


「ブルーノ様、食事はお済みですか?」

「いえ、町に帰ってから食べようと思っています」

 アリスはそれを聞いてにっこりと笑った。

「でしたら、私の家で食べていきませんか?」

 ブルーノは少しためらっていたが、お腹がぐうとなってしまい顔を赤くした。

「うふふ。お腹は正直ですね」

 アリスは笑った。

「お恥ずかしい。……では、遠慮無くお邪魔することにします」

 ブルーノはアリスの家のテラスに置かれたテーブルセットの椅子に腰掛けた。


「質素な食事で恐縮ですが……」

 そう言ってアリスはテーブルに熱々の野菜のスープとパン、チーズと煮込んだ干し肉、卵焼きを二人分、並べた。

 食事を始めようとしたとき、茂みからガサガサという音が聞こえてきた。

「何か来ましたね?」

 ブルーノが剣を構えると、茂みから現れたのは大きな白蛇だった。

「まあ、白蛇さん。おはよう」

 アリスは白蛇に向かっていくと、その大きな長い体と頭を優しく撫でた。

「ああ、アリスさんは白蛇のお友達がいたんでしたっけ」

 ブルーノは剣をしまい、椅子に腰掛けた。その目は白蛇をじっと見つめていた。


「ブルーノ様も、白蛇さんを撫でてみませんか? サラサラして気持ちいいですよ?」

「私は結構です。どうもあの長い体とクネクネした動きが性に合わなくて」

 ブルーノはどうやら蛇が苦手らしい。

 アリスは苦笑した。

 白蛇はブルーノに近づき、ブルーノの大きな手をちろりと舐めた。

「ひゃっ」

 ブルーノは反射的に立ち上がって、白蛇から離れた。

「……ブルーノ様も苦手なものはあるのですね」

「私だって人間ですから、苦手なものの一つや二つはありますよ」


 アリスは白蛇を撫でながら、言った。

「白蛇さん、また私が一人の時に遊びに来て下さい」

「……」

 白蛇は静かに茂みに戻っていった。

「ああ、驚いた」

 ブルーノは白蛇が入っていった茂みのあたりをじっと見ながら席に戻った。

「それじゃ、食事に致しましょう。ブルーノ様」

「はい、アリスさん」


 二人は春の木漏れ日の中でおしゃべりを楽しみながら、ゆっくりと朝食を味わった。

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